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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成21年厚年-第9問(障害厚生年金)
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■平成21年厚年-第9問(障害厚生年金)

障害厚生年金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)その権利を取得した当時から障害等級3級に該当する程度の障害により障害厚生年金を受給している者に対してさらに障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金を支給するが、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。

(B)障害厚生年金の受給権者(当該障害厚生年金の全額が支給停止されている者を除く。)であって、その障害の程度の診査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定したものは、厚生労働大臣が指定した年において、指定日までに、指定日前1月以内に作成されたその障害の現状に関する医師又は歯科医師の診断書を日本年金機構に提出しなければならない。(一部改正)

(C)障害厚生年金の受給権は、障害等級3級以上の障害の状態に該当しなくなり、そのまま65歳に達した日又は障害の状態に該当しなくなった日から起算してそのまま該当することなく3年経過した日のどちらか早い日に消滅する。

(D)65歳未満の障害厚生年金の受給権者は、障害の程度が増進したことによる障害厚生年金の額の改定の請求を当該障害厚生年金の受給権を取得した日又は厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して1年6か月を経過した日後でなければ行うことができない。(一部改正)

(E)障害厚生年金の額は、当該額の計算の基礎となる月数にかかわらず老齢厚生年金の額の計算の例により計算した額とするが、障害等級1級に該当する者については、当該額に100分の125を乗じて得た額に相当する額とする。



■解説

(A)誤り
法48条
障害厚生年金の受給権者に対して更に障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金を支給することとされている。
そして、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金の受給権を取得したときは、従前の障害厚生年金の受給権は消滅することとされている。(2以上の障害が生じた場合の併合認定)
しかし、この併合認定の対象となるのは、先発の障害厚生年金が短期間でも障害等級1級又は2級の状態にあった場合に限られており、問題文の事例のように先発の障害厚生年金が「その権利を取得した当時から障害等級3級に該当する程度の障害」である場合は併合認定の対象とならない。
よって、問題文は誤りとなる。
なお、問題文の事例の場合は、基準障害による障害厚生年金(複数の障害がある場合に一つひとつの障害では障害等級に該当しない場合であっても、複数の障害を併合して初めて障害等級の2級以上に該当するに至ったときに障害基礎年金と同じく障害厚生年金が支給される。)の対象となる。(法47条の3)

(B)正解
則51条の4
障害厚生年金の受給権者であって、その障害の程度の診査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定したものは、厚生労働大臣が指定した年において、指定日までに、指定日前1月以内に作成されたその障害の現状に関する医師又は歯科医師の診断書を日本年金機構に提出しなければならない。(当該障害厚生年金の額の全部につき支給が停止されているときは除く。 )
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
法53条
障害厚生年金の受給権は、障害等級に該当しないときは、65歳までの間は支給停止とし、65歳に達したときに失権することとされているが、障害等級に該当しなくなった時点から65歳到達までの間が3年未満であるとき(例えば64歳のときに障害等級に該当しなくなったときなど)は、該当しなくなった時点から3年を経過したときに受給権が消滅することとされている。
よって、「どちらか早い日に消滅する」(正しくは「どちらか遅い日」)とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法52条2項・3項
障害厚生年金の受給権者は、厚生労働大臣に対し、障害の程度が増進したことによる障害厚生年金の額の改定を請求することができるが、この請求は、障害厚生年金の受給権を取得した日又は厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければ行うことができないことになっている。
よって、「1年6か月を経過した日後」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法50条1項・2項
障害厚生年金の額は、老齢厚生年金の額の計算の規定の例によるものとされているが、厚生年金保険の被保険者期間が300月に満たない場合については、300月として計算することとされている。
よって、「当該額の計算の基礎となる月数にかかわらず」とした問題文は誤りとなる。
なお、障害等級の1級に該当する者については、算定額を100分の125倍した額とすることとしている。

  

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