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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成22年厚年-第6問(法令全般関係)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)昭和7年4月2日以降に生まれた高齢任意単独加入被保険者であった者で、平成14年4月1日に厚生年金保険の適用事業所以外の事業所に引き続き使用されるものは、翌日に厚生年金保険法第9条の規定による被保険者の資格を取得し、当該高齢任意単独加入被保険者資格を喪失する。

(B)離婚時の分割請求により標準報酬が改定された第2号改定者について、当該改定を受けた標準賞与額は、当該第2号改定者がその後60歳台前半の在職老齢年金の受給権者となった場合においても、総報酬月額相当額の計算の対象とはならない。

(C)老齢厚生年金の受給権者について、受給権を取得した当時、生計を維持していた子が19歳に達した後初めて障害等級1級または2級に該当する障害の状態になった場合には、当該子が20歳に達するまでの間、加給年金額が加算される。

(D)政府は、厚生年金保険事業の財政の長期にわたる均衡を保つため、保険給付の額を調整することとし、当該調整期間の開始年度を政令により平成18年度と定めた。

(E)厚生労働大臣は、保険給付に関する処分を行ったときは、5日以内に、文書でその内容を、請求権者または受給権者に通知しなければならない。



■解説

(A)誤り
法附則14条2項(平成12年3月31日法律第18号)
昭和7年4月2日以後に生まれた者であり、かつ、平成14年3月31日において高齢任意単独加入被保険者であった者は、平成14年4月1日において任意単独加入被保険者の資格を取得し、当該高齢任意単独加入被保険者の資格を喪失することとされた。そして、その取得及び喪失に係る確認行為は要しないこととされた。
よって、「翌日に」とした問題文は誤りとなる。

(B)正解
法46条1項、法78条の11、法附則48条(平成16年6月11日法律第104号)
在職支給停止については、その月の標準報酬月額と直近1年の標準賞与額の12分の1をベースとして行われる仕組みになっている。これは、異なる賞与の支給形態により、受給者にとっての有利・不利が発生しないように、またできるだけ均等に支給停止額が決定されるようにするために、年間賞与額を基礎として支給停止額を計算することとしたためである。離婚分割後は、過去の標準報酬は分割後のものとなるが、在職支給停止の計算に改定後の標準賞与額を用いることについては、離婚するしないにかかわらず、その人自身が過去に獲得した賃金の実績は変わらないはずであるのに、その実績が変化したものとして在職支給停止を行うこととなり、その結果として、例えば、離婚後に低い報酬で働き始めた妻が、夫から高い標準賞与額を受け取った結果、年金の増額分以上に支給停止額が増額され、結果として受取額が減少するといった事態が発生する可能性があるといった問題があることから、改定前の標準賞与額で計算することとされている。
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
法44条4項
子(障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子を除く。)に対する加給年金額の加算については、18歳に達した日以後最初の3月31日までとされているが、障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある子(18歳に達する日以後最初の3月31日までの間にある子を除く。)についてはその事情がやんだとき又は20歳に達するまで加給年金額の加算対象とされている。
しかし、問題文の事例の場合、18歳に達した日以後最初の3月31日を経過したことにより、加給年金額の加算対象となる子に該当しなくなった後に、はじめて障害等級1級又は2級の障害に該当する障害の状態になっているため、再度、加給年金額の加算対象とはならない。
よって、「当該子が20歳に達するまでの間、加給年金額が加算される」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法34条1項、令2条
財政の現況及び見通しの作成に当たって、財政均衡期間において財政の不均衡が見込まれる場合には、給付額を調整するため、年金額の改定にマクロ経済スライドを適用する期間を開始し、財政の現況及び見通しにおいて、財政の均衡が見込まれる場合には、調整期間を終了することとされているが、この調整期間の開始年度は政令において平成17年度と規定されている。
よって、「政令により平成18年度と定めた」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
則82条1項
厚生労働大臣は、保険給付又は脱退一時金に関する処分を行ったときは、速やかに、文書でその内容を、請求者又は受給権者に通知しなければならないことになっている。
よって、「5日以内」とした問題文は誤りとなる。

  

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