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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成23年厚年-第9問(厚生年金保険の保険給付)
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■平成23年厚年-第9問(厚生年金保険の保険給付)

厚生年金保険の保険給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が61歳となる昭和28年4月2日から昭和30年4月1日までに生まれた男子であって、その者が被保険者でない場合、当該老齢厚生年金の定額部分が支給されることはない。

(B)60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金を受給している被保険者が、その被保険者の資格を喪失し、かつ被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、資格を喪失した日(厚生年金保険法第14条第2号から第4号までのいずれかに該当するに至った日にあっては、その日)の属する月から年金の額を改定する。(一部改正)

(C)老齢厚生年金を受給している被保険者であって適用事業所に使用される者が70歳に到達したときは、その日に被保険者の資格を喪失し、当該喪失日が属する月以後の保険料を納めることはないが、一定の要件に該当する場合は、老齢厚生年金の一部又は全部が支給停止される。(一部改正)

(D)被保険者の死亡により遺族厚生年金の受給権者となった妻が、再婚したことによってその受給権を失ったとき、被保険者の死亡当時その者によって生計を維持していた母がいる場合は、当該母がその遺族厚生年金を受給することができる。

(E)障害等級3級に該当する障害厚生年金の受給権者である被保険者が死亡したときは、保険料納付要件を満たしていない場合であっても、その者の遺族に遺族厚生年金を支給する。



■解説

(A)誤り
法附則9条の2、法附則9条の3
60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者のうち、報酬比例部分のみの支給を受けている者(厚生年金保険の被保険者を除く)が障害等級3級以上の障害の状態にある場合は、請求することによって、請求月の翌月から定額部分相当分と報酬比例部分相当分とを合わせた額の年金が支給されることになる。(障害者の年金額の特例)
また、60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者のうち、厚生年金保険の被保険者期間が44年以上ある者(厚生年金保険の被保険者を除く)に支給される年金額は定額部分相当分と報酬比例部分相当分とを合わせた額とされている。(長期加入者の年金額の特例)
よって、問題文の例の場合であっても障害者の年金額の特例又は長期加入者の特例に該当する場合は、定額部分相当額が支給されることがあるため、「定額部分が支給されることはない。」とした問題文は誤りとなる。
なお、障害者の年金額の特例に該当する者の障害の状態が軽快し、障害等級3級に該当しなくなった場合は、長期加入者の年金額の特例等に該当する場合を除き、特例の適用がなくなり、報酬比例部分相当額の年金に改定されることになる。

(B)誤り
法43条3項
老齢厚生年金の受給権を取得した以後の厚生年金保険の被保険者期間については、当該老齢厚生年金の年金額の計算の基礎としないこととされているが、被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、資格を喪失した日(厚生年金保険法第14条第2号から第4号までのいずれかに該当するに至った日にあっては、その日)から起算して1月を経過した日の属する月から、年金額が改定されることになっている。
よって、「資格を喪失した日(厚生年金保険法第14条第2号から第4号までのいずれかに該当するに至った日にあっては、その日)の属する月から年金の額を改定」とした問題文は誤りとなる。

(C)正解
法46条1項、法附則43条1項(平成16年6月11日法律第104号)
老齢厚生年金の受給権者であって適用事業所に使用される者が70歳に到達したときはその日に被保険者資格を喪失するが、70歳以上の使用される者についても、60歳台後半の在職老齢年金の仕組みの対象とされ、一定の要件に該当する場合は、年金額の全部又は一部が支給されることになる。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
法59条2項
父母は、配偶者又は子が、孫は、配偶者、子又は父母が、祖父母は、配偶者、子、父母又は孫が遺族厚生年金の受給権を取得したときは、それぞれ遺族厚生年金を受けることができる遺族としないことになっているため、
遺族厚生年金の受給権者である配偶者が失権した場合であっても、父母は当該遺族厚生年金を受給することはできない。(遺族厚生年金は労災保険法の遺族補償年金と異なり転給の制度が設けられていない。)
よって、「母がその遺族厚生年金を受給することができる。」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法58条1項
遺族基礎年金と同様、被保険者が死亡した場合及び老齢厚生年金を受けることができる者(老齢厚生年金の受給に必要な加入期間の要件を満たしている者を含む。)が死亡した場合のほか、初診日において被保険者であった者が被保険者でなくなった後にその傷病により死亡した場合(初診日から5年以内)、障害等級1級又は2級の障害厚生年金の受給権者が死亡した場合についても遺族厚生年金が支給されることになっている。
このうち、被保険者が死亡した場合及び初診日において被保険者であった者がその傷病により被保険者でなくなった後に死亡した場合(初診日から5年以内)については、保険料納付要件を満たす必要がある。
問題文の事例の場合、障害等級3級の障害厚生年金の受給権者であるため、こちらでは遺族厚生年金の支給要件に該当せず、被保険者が死亡したことによる遺族厚生年金の支給要件に該当することとなるが、保険料納付要件を満たしていないため、その遺族に遺族厚生年金金は支給されないことになる。
よって、「その者の遺族に遺族厚生年金を支給する」とした問題文は誤りとなる。

  

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