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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成24年厚年-第4問(保険給付等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成24年厚年-第4問(保険給付等)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)60歳台前半の在職老齢年金と60歳台後半の在職老齢年金については、それぞれの支給停止額の計算式だけではなく、総報酬月額相当額と基本月額の計算式も異なる。

(B)老齢厚生年金の受給権者である夫(昭和23年4月2日生まれ)と国民年金の加入期間しか有さない妻(昭和21年4月2日生まれ)の例において、夫が定額部分が支給される64歳に達したとき、配偶者加給年金額の対象となる要件を満たしている場合には、66歳の妻の老齢基礎年金に振替加算が行われる。

(C)日本に6か月以上滞在する外国人は、厚生年金保険法附則第29条に定める厚生年金保険の脱退一時金の支給要件を満たす限り、合計して被保険者期間の区分の上限である36か月に達するまでは、何度でも出国のつど脱退一時金を受給することができる。

(D)60歳台後半の在職老齢年金においては、支給停止の対象となるのは老齢厚生年金と経過的加算額であり、老齢基礎年金は支給停止の対象にはならない。

(E)厚生年金保険の保険料は、月末に被保険者の資格を取得した月は当該月の保険料が徴収されるが、月の末日付けで退職したときは、退職した日が属する月分の保険料は徴収されない。



■解説

(A)誤り
法46条、法附則11条
60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者が被保険者である間は、その者の総報酬月額相当額(標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額)と基本月額(老齢厚生年金額から加給年金額を除いた年金額を12で除して得た額に相当する額)との合計額が支給停止調整開始額以下であるときは、老齢厚生年金は支給停止せず、合計額が支給停止調整開始額を超えるときに、老齢厚生年金が支給停止されることになっている。そして、支給停止額は、基本月額が支給停止開始調整額以下かそれを超えるか、また、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額以下かそれを超えるかによって4つの場合に応じて計算されることになっている。
一方、60歳台後半の在職老齢年金は、総報酬月額相当額(標準報酬月額と1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額)と基本月額(老齢厚生年金額から加給年金額、繰下げ加算額、経過的加算額を除いた年金額を12で除した額に相当する額)との合計額が支給停止調整額を超える場合につき、当該合計額と支給停止調整額との差額の2分の1に相当する額の支給を停止することとしている。
よって、60歳台前半と60歳台後半の在職老齢年金の支給停止額の計算式は異なっているが、総報酬月額相当額の計算式は同じであり、基本月額の計算式は控除される加算額は異なるが基本的には同じであるため、「総報酬月額相当額と基本月額の計算式も異なる」とした問題文は誤りとなる。

(B)正解
法附則14条2項(昭和60年5月1日法律第34号)、法附則19条5項(平成6年11月9日法律第95号)
妻の年齢が夫の年齢よりも高い場合のように、妻が65歳に達したとき以後に夫の老齢厚生年金等の受給権が発生する場合であっても、当該老齢厚生年金等の受給権が発生した時点において、加給年金額の対象となる要件を満たしている場合には、そのときから振替加算が行われる。
よって、問題文は正解となる。
なお、平成6年改正により平成13年度以降段階的に導入されることとされた報酬比例部分相当額の厚生年金保険法附則第8条の老齢厚生年金については、加入年金額が加算されないため、妻が65歳に達した場合でも夫が当該報酬比例部分相当額の老齢厚生年金を受給しているときは、妻に対する振替加算についても行われない。

(C)誤り
法附則29条1項
脱退一時金の支給要件は次のとおりである。
(1)請求のときに日本国籍を有していないこと
(2)厚生年金保険の被保険者期間が6か月以上であること
(3)老齢厚生年金等の保険料納付要件を満たしていなこと
(4)脱退一時金の請求をしたこと
ただし、次のいずれかに該当する場合は脱退一時金の支給を請求できない。
(1)日本国内に住所を有する場合
(2)本人が納付した保険料が障害厚生年金等の給付の受給権に結びついたことがある場合
(3)最後に国民年金の被保険者資格を喪失した日から2年を超えている場合(※)
(4)外国との年金通算協定の締結等により、厚生年金保険法による老齢給付に相当する給付を受けられるようになった場合
※請求の期限を外国人が日本国内に住所を有しなくなって国民年金の被保険者資格を喪失してから2年以内に限る趣旨であるが、国内にいるときに60歳到達等により資格を喪失したときはそれ以後国内に住所を有しなくなったときから2年以内に請求しなければならない。
よって、支給要件に該当すれば、出国の都度何度でも脱退一時金を受給することは可能であるが、「合計して被保険者期間の区分の上限である36か月に達するまで」という要件はなく、問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法附則62条1項(昭和60年5月1日法律第34号)
老齢厚生年金の受給権者が厚生年金保険の被保険者である場合には、加入年金額や老齢厚生年金を繰下げた場合の繰下げ加算額を除く老齢厚生年金について標準報酬月額に応じて支給停止が行われるが、一階部分の額に相当する経過的加算額に相当する金額、老齢基礎年金についても支給停止の対象から除外されている。
よって、「支給停止の対象となるのは老齢厚生年金と経過的加算額」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法19条、法81条2項
被保険者期間を計算する場合には、月によるものとされ、被保険者資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までが算入されることになっている。そして保険料は被保険者期間の計算の基礎となる各月につき徴収されることになっている。
月の末日で退職した場合の資格喪失日はその翌月1日となり、退職月(資格を喪失した月の前月)は被保険者期間に算入されるため保険料が徴収されることになる。
よって、「月の末日付けで退職したときは、退職した日が属する月分の保険料は徴収されない。」とした問題文は誤りとなる。
なお、月末に被保険者資格を取得した場合、その月は被保険者期間であるので、当該月の保険料は徴収される。

  

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