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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成25年厚年-第8問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成25年厚年-第8問(法令全般関係)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)厚生年金保険法第23条に基づく改定(いわゆる随時改定)の取扱いは、昇給又は降給により、従前の標準報酬月額等級との間に原則として2等級以上の差が生じた場合に行われるべきものであるが、ここにいう昇給又は降給とは、固定的賃金の増額又は減額をいい、ベースアップ又はベースダウン及び賃金体系の変更による場合並びにこれらの遡及適用によって差額支給を受ける場合を含み、休職のため、一時的に通常の賃金より低額な休職給を受けた場合を含まないものとする。

(B)在職老齢年金の支給停止額を計算する際の「総報酬月額相当額」とは、その者の標準報酬月額と直前の7月1日以前1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算した額である。

(C)被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた子であっても、年額130万円以上の収入を将来にわたって有すると認められる場合は、その者によって生計を維持されていたとは認められず、遺族厚生年金を受けることができる遺族になることはない。

(D)老齢厚生年金の受給権を有する者(平成19年4月1日以後に老齢厚生年金の受給権を取得した者に限る。)であって、その受給権を取得した日から起算して1年を経過した日前に当該老齢厚生年金を請求していなかったものはすべて、実施機関に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる。(一部改正)

(E)60歳台後半の老齢厚生年金の受給権者が被保険者である間の総報酬月額相当額が300,000円であって、老齢厚生年金の額(加給年金額及び繰下げによる加算額を除く。)と老齢基礎年金の額との合計額を12で除して得た額が220,000円の場合、総報酬月額相当額と220,000円との合計額が、支給停止調整額(460,000円)を超えているため、その合計額から支給停止調整額を控除して得た額の2分の1に相当する額である30,000円に12を乗じて得た額に相当する部分が支給停止される。(一部改正)



■解説

(A)正解
法23条、昭和36年1月26日保発4号
随時改定の取扱いは、昇給又は降給によって厚生年金保険法第23条第1項の規定により算定した額(算定月額)による等級と現在の等級との間に原則として2等級以上の差を生じた場合に行われるが、この昇給又は降給とは、固定的賃金の増額又は減額をいい、ベースアップ又はベースダウン及び賃金体系の変更による場合並びにこれらの遡及適用によって差額支給を受ける場合を含み、休職による休職給を受けた場合を含まないものとされている。

(B)誤り
法46条1項
在職老齢年金の支給停止額を計算する際の「総報酬月額相当額」とは、その者の標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算した額とされている。
よって、「直前の7月1日以前1年間の標準賞与額の総額」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法59条1項、令3条の10、平成23年3月23日年発0323第1号
被保険者等の死亡の当時、その者によって生計を維持していたことの認定について必要な事項は、政令で定めることとされており、政令では、被保険者と生計を同じくしていたこと及び厚生労働大臣が定める額(年収850万円)以上の収入を将来にわたって有しないと認められることという要件を定めている。
よって、「年額130万円以上の収入」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法44条の3第1項
老齢厚生年金の受給権を有する者であってその受給権を取得した日から起算して1年を経過した日(1年を経過した日)前に当該老齢厚生年金を請求していなかったものは、実施機関に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができることとされている。
ただし、その者が当該老齢厚生年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付(他の年金たる保険給付又は国民年金法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金を除く。)をいう。)の受給権者であったとき、又は当該老齢厚生年金の受給権を取得した日から1年を経過した日までの間において他の年金たる給付の受給権者となったときは、老齢厚生年金の繰下げの申出を行うことはできないことになっている。
また、老齢厚生年金の繰下げ制度は平成19年4月1日前に受給権を取得した者には適用されない。(法附則42条(平成16年6月11日法律第104号))
よって、「すべて、実施機関に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる。」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法46条1項
60歳台後半の在職老齢年金は、総報酬月額相当額(標準報酬月額と1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額)と基本月額(老齢厚生年金額から加給年金額、繰下げ加算額、経過的加算額を除いた年金額を12で除した額に相当する額)との合計額が支給停止調整額を超える場合につき、当該合計額と支給停止調整額との差額の2分の1に相当する額の支給を停止することとしている。
よって、基本月額を算定する場合に老齢基礎年金の額は含めないこととされており、問題文は誤りとなる。
なお、解説にあたり2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の特例は考慮していない。

  

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