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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成25年厚年-第10問(厚生年金保険の保険給付)
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■平成25年厚年-第10問(厚生年金保険の保険給付)

厚生年金保険法等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)障害手当金は、障害の程度を定めるべき日において、当該障害の原因となった傷病について労働基準法の規定による障害補償を受ける権利を有する者には支給されないが、労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付を受ける権利を有する者には支給される。

(B)昭和9年4月2日以降に生まれた老齢厚生年金の受給権者に支給される配偶者の加給年金額に加算される特別加算の額は、昭和16年4月2日生まれの受給権者よりも昭和18年4月2日生まれの受給権者の方が高額になる。

(C)障害等級3級に該当する者に支給される障害厚生年金の額が、障害等級2級の障害基礎年金の額に3分の2を乗じて得た額に端数処理をして得た額に満たないときは、障害等級2級の障害基礎年金の額に3分の2を乗じて得た額に端数処理をして得た額を支給する。

(D)旧適用法人共済組合員期間に係る退職共済年金の受給権者である妻が、平成19年4月1日前に死亡した場合に、その者の死亡の当時障害等級1級の障害の状態にある夫は、年齢を問わず遺族厚生年金の受給権を取得することができる。夫が当該受給権を取得した当時55歳以上であった場合、当該受給権は夫が障害等級1級又は2級に該当しなくなったときに消滅する。

(E)昭和25年4月2日生まれの女子に支給される特別支給の老齢厚生年金の定額部分の額の計算に係る被保険者期間の月数は、456月を上限とする。



■解説

(A)誤り
法56条
障害手当金は、障害の程度を定めるべき日において、当該傷病について国家公務員災害補償法、地方公務員災害補償法若しくは同法に基づく条例、公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律若しくは労働基準法の規定による障害補償、労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付若しくは障害給付又は船員保険法による障害を支給事由とする給付を受ける権利を有する者には支給されないことになっている。
よって、「労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付を受ける権利を有する者には支給される。」とした問題文は誤りとなる。

(B)正解
法附則60条2項(昭和60年5月1日法律第34号)
特別加算の額は、昭和9年4月2日以後に生まれた受給権者の場合は、配偶者加給年金額に加え、さらに特別加算が行われる。
なお、特別加算の額は、生年月日に応じて決められているが、昭和16年4月2日生まれの受給権者よりも昭和18年4月2日以後に生まれた受給権者の特別加算の額の方が多い。
よって、問題文は正解となる。

(参考)
特別加算額の計算式
生年月日 特別加算額
S9.4.2からS15.4.1 33,200円×改定率
S15.4.2からS16.4.1 66,300円×改定率
S16.4.2からS17.4.1 99,500円×改定率
S17.4.2からS18.4.1 132,600円×改定率
S18.4.2以後 165,800円×改定率
※端数については、50円未満は切捨て、50円以上100円未満は100円に切上げる。

(C)誤り
法50条3項
年金の受給権を有する者は国民年金法の第2号被保険者とされないため、65歳以降被用者年金に加入中に障害になった場合は障害厚生年金のみの支給となる。
その場合、厚生年金保険の独自給付である3級の障害厚生年金には最低保障額(障害基礎年金2級の4分の3相当額)が保障されているが、1級、2級の障害厚生年金については最低保障がないため、障害の程度が重いにもかかわらず、年金額が3級の障害厚生年金より低くなる場合が生じる。このため、1級、2級と3級の障害厚生年金額の逆転が生じないよう、障害基礎年金が支給されない障害厚生年金について、3級の障害厚生年金の最低保障額と同額を保障することとされている。
よって、「障害等級2級の障害基礎年金の額に3分の2を乗じて得た額に端数処理をして得た額」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法附則11条(平成8年6月14日法律第82号)
国共済法においては、障害共済年金の受給権者が、夫、父母又は祖父母である場合には、60歳に達するまでの間は、遺族共済年金は支給停止となるが、障害等級の1級又は2級に該当する程度の障害の状態にある場合には、受給者の年齢を問わず、遺族共済年金を支給することとしている。
なお、遺族厚生年金については、原則として55歳以上である夫、父母又は祖父母のみに受給権が発生することとしつつ、その死亡した者の死亡が平成8年4月前である場合に限り、障害等級の1級又は2級に該当する程度の障害の状態にある場合には、受給者の年齢を問わず、遺族厚生年金を支給することとしている。
このため、旧適用法人共済組合員期間を有する者が平成19年4月1日前に死亡したときに、その者の遺族が夫、父母又は祖父母である場合には、夫、父母又は祖父母が55歳未満であっても障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態にある場合には、経過措置として遺族厚生年金を支給することとしている。
しかしながら、この場合においても、その障害の状態がやんだ場合又はその障害の状態が障害等級の1級又は2級の障害の程度に該当しなくなったときは、当該遺族厚生年金の受給権(当該受給権を取得した当時その者が55歳以上であった場合は除く。)が失権することとしている。
よって、「夫が当該受給権を取得した当時55歳以上であった場合、当該受給権は夫が障害等級1級又は2級に該当しなくなったときに消滅する。」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法附則36条(平成16年6月11日法律第104号)
60歳台前半の老齢厚生年金の定額部分の額の計算に係る被保険者期間の月数については、生年月日に応じて上限(男女によって差はない)が設けられており、昭和25年4月2日生まれの者の被保険者期間の上限は480月となっている。
よって、「456月を上限」とした問題文は誤りとなる。

(参考)
生年月日 被保険者期間の上限
昭和4年4月1日以前 420月
昭和4年4月2日から昭和9年4月1日 432月
昭和9年4月2日から昭和19年4月1日 444月
昭和19年4月2日から昭和20年4月1日 456月
昭和20年4月2日から昭和21年4月1日 468月
昭和21年4月2日以後 480月

  

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