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■平成26年厚年-第1問(遺族厚生年金等)

遺族厚生年金等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問において遺族基礎年金及び遺族厚生年金の受給権者の所在が明らかでない場合を考慮する必要はない。

(A)被保険者の死亡により妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、子に対する遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給が停止される。この場合、当該被保険者の死亡について、妻が国民年金法よる遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子が当該遺族基礎年金の受給権を有することにより妻に対する遺族厚生年金の支給が停止されているときであっても、子に対する遺族厚生年金の支給停止は解除されない。(一部改正)

(B)国家公務員共済組合法による障害共済年金を受給している厚生年金保険の被保険者が30歳で死亡した場合、死亡した者の遺族に支給される遺族厚生年金と遺族共済年金は併給調整の対象となる。(参考問題)

(C)被保険者の死亡により妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、妻の遺族厚生年金は、妻が遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって、子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、支給停止される。

(D)遺族厚生年金の受給権者である子が2人いる場合において、そのどちらかが死亡したときは、他の受給権者に支給される遺族厚生年金の額は、受給権者の数に減少が生じた月の翌月から改定される。

(E)遺族厚生年金の受給権は、受給権発生後に直系姻族の養子となった場合であっても、消滅しない。



■解説

(A)誤り
法66条1項
子及び配偶者が遺族厚生年金の受給権者となった場合については、原則として配偶者に遺族厚生年金を支給し、子に対する遺族厚生年金は支給停止することとされている。しかしながら、当該被保険者の死亡について、配偶者が国民年金法よる遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子が当該遺族基礎年金の受給権を有することにより配偶者に対する遺族厚生年金の支給が停止されているときは、子に対する遺族厚生年金の支給停止が解除されることになっている。
よって、「子に対する遺族厚生年金の支給停止は解除されない」とした問題文は誤りとなる。

(B)正解だった
平成27年10月1日から「被用者年金一元化法」により、被用者年金制度が厚生年金保険に統一されたため参考問題とする。
遺族厚生年金と遺族共済年金はそれぞれの支給要件が短期要件か長期要件であるかによって、調整方法が異なっていた。
短期要件の遺族厚生(共済)年金は、年金額の計算上加入期間の300月のみなしが行われるので、他の短期要件の遺族共済(厚生)年金とは、重複支給を避けるために併給しないこととされていた。
一方、長期要件の遺族厚生年金と遺族共済年金はいずれも実際の加入期間に基づいて年金額が計算され重複が生じないため併給されることとされていた。
具体的には次のとおりとなっていた。
短期要件の遺族共済年金 長期要件の遺族共済年金
短期要件の遺族厚生年金 選択受給 選択受給
長期要件の遺族厚生年金 遺族共済年金が優先 併給可能

(C)正解
法66条2項
被保険者等の死亡について、配偶者が遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子が当該遺族基礎年金の受給権を有する場合(例えば先妻の子と後妻で生計を同一にしていないような場合)は、配偶者に対する遺族厚生年金が支給停止され、子に遺族厚生年金が支給される。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法61条1項
配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合において、受給権者の数に増減を生じたときは、増減を生じた月の翌月から、年金の額を改定することとされている。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
法63条1項
遺族厚生年金の受給権は、受給権者が、直系血族及び直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったときに消滅することになっている。
よって、直系姻族の養子になった場合には受給権は消滅しないため、問題文は正解となる。

  

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