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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成27年厚年-第7問(保険給付等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成27年厚年-第7問(保険給付等)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、厚生年金保険法第59条第1項に規定する遺族厚生年金を受けることができる遺族の範囲の適用については、将来に向かって、その子は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していた子とみなす。

(B)障害手当金の額の計算に当たって、給付乗率は生年月日に応じた読み替えは行わず、計算の基礎となる被保険者期間の月数が300か月に満たないときは、これを300か月として計算する。

(C)老齢厚生年金(その計算の基礎となる被保険者期間の月数は240か月以上。)の加給年金額に係る生計維持関係の認定要件について、受給権者がその権利を取得した当時、その前年の収入(前年の収入が確定しない場合にあっては前々年の収入)が厚生労働大臣の定める金額以上の収入を有すると認められる者以外の者でなければならず、この要件に該当しないが、定年退職等の事情により近い将来収入がこの金額を下回ると認められる場合であっても、生計維持関係が認定されることはない。

(D)老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間及び合算対象期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)が死亡したことにより、子が遺族厚生年金の受給権者となった場合において、その子が障害等級3級に該当する障害の状態にあるときであっても、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときに、子の有する遺族厚生年金の受給権は消滅する。(一部改正)

(E)受給権者が、正当な理由がなくて厚生年金保険法第98条第3項の規定による届出をせず又は書類その他の物件を提出しないときは、保険給付の支払を一時差し止めることができる。



■解説

(A)正解
法59条3項
被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、遺族厚生年金を受けることができる遺族の範囲の適用については、将来に向って、その子は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していた子とみなすことになっている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法57条
障害手当金の額は、老齢厚生年金(報酬比例部分)の額の規定の例により計算された額(障害手当金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300として計算する)の100分の200に相当する額である。しかしながら、給付乗率の生年月日に応じた読み替えは行われない。
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
令3条の5、平成23年3月23日年発第323001号
生計維持認定対象者(障害厚生年金及び障害基礎年金並びに障害年金の生計維持認定対象者は除く。)に係る収入に関する認定に当たっては、次のいずれかに該当する者は、厚生労働大臣の定める金額(年額850万円)以上の収入を将来にわたって有すると認められる者以外の者に該当するものとする。
(1)前年の収入(前年の収入が確定しない場合にあっては、前々年の収入)が年額850万円未満であること。
(2)前年の所得(前年の所得が確定しない場合にあっては、前々年の所得)が年額655.5万円未満であること。
(3)一時的な所得があるときは、これを除いた後、前記(1)又は(2)に該当すること。
(4)前記の(1)、(2)又は(3)に該当しないが、定年退職等の事情により近い将来(おおむね5年以内)収入が年額850万円未満又は所得が年額655.5万円未満となると認められること。
よって、「生計維持関係が認定されることはない。」とした問題文は誤りとなる。
なお、障害厚生年金及び障害基礎年金の生計維持認定対象者に係る収入に関する認定に当たっては、次のいずれかに該当する者は、厚生労働大臣の定める金額(年額850万円)以上の収入を有すると認められる者以外の者に該当するものとする。
(1)前年の収入(前年の収入が確定しない場合にあっては、前々年の収入)が年額850万円未満であること。
(2)前年の所得(前年の所得が確定しない場合にあっては、前々年の所得)が年額655.5万円未満であること。
(3)一時的な所得があるときは、これを除いた後、前記(1)又は(2)に該当すること。
(4)前記の(1)、(2)又は(3)に該当しないが、定年退職等の事情により現に収入が年額850万円未満又は所得が年額655.5万円未満となると認められること。

(D)正解
法63条2項
障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にない子や孫に支給される遺族厚生年金については、その事情がやんだとき(18歳の誕生日の属する年度の年度末までにあるときは除く)又は、20歳に達したとき(20歳に達すると障害基礎年金が支給されるため)に受給権が消滅することになっている。
よって、問題文の場合は障害等級3級の障害の状態にある子であるため18歳の誕生日の属する年度の年度末で受給権は消滅する。

(E)正解
法78条
受給権者が、正当な理由がなくて、厚生年金保険法第98条第3項の規定による届出をせず、又は書類その他の物件を提出しないときは、保険給付の支払を一時差し止めることができることになっている。
よって、問題文は正解となる。
なお、この規定は第2号厚生年金被保険者期間、第3号厚生年金被保険者期間又は第4号厚生年金被保険者期間に基づく保険給付については、適用しないこととされている。

  

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