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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成27年厚年-第10問(保険給付等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成27年厚年-第10問(保険給付等)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)厚生労働大臣は、標準報酬の決定又は改定を行ったときはその旨を原則として事業主に通知しなければならないが、厚生年金保険法第78条の14第2項及び第3項に規定する「特定被保険者及び被扶養配偶者についての標準報酬の特例」における標準報酬の改定又は決定を行ったときは、その旨を特定被保険者及び被扶養配偶者に通知しなければならない。

(B)厚生年金保険の被保険者期間が離婚時みなし被保険者期間としてみなされた期間のみである者は、特別支給の老齢厚生年金を受給することはできない。

(C)離婚等をした場合に当事者が行う標準報酬の改定又は決定の請求について、請求すべき按分割合の合意のための協議が調わないときは、当事者の一方の申立てにより、家庭裁判所は当該対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して、請求すべき按分割合を定めることができる。

(D)子のない妻が、被保険者である夫の死亡による遺族厚生年金の受給権を取得したときに30歳以上40歳未満であった場合、妻が40歳に達しても中高齢寡婦加算は加算されない。

(E)9月3日に出産した被保険者について、その年の定時決定により標準報酬月額が280,000円から240,000円に改定され、産後休業終了後は引き続き育児休業を取得した。職場復帰後は育児休業等終了時改定に該当し、標準報酬月額は180,000円に改定された。この被保険者が、出産日から継続して子を養育しており、厚生年金保険法第26条に規定する養育期間標準報酬月額特例の申出をする場合の従前標準報酬月額は240,000円である。

■解説

(A)正解
法29条1項、法78条の16
厚生労働大臣は、標準報酬の決定又は改定を行ったときは、その旨を事業主に通知しなければならないことになっているが、特定被保険者及び被扶養配偶者についての標準報酬の特例における標準報酬の決定又は改定を行ったときは、実施機関として、その旨を特定被保険者及び被扶養配偶者に通知しなければならないこととされている。
よって、問題文は正解となる。
なお、第2号厚生年金被保険者であり、若しくはあった者、第3号厚生年金被保険者であり、若しくはあった者又は第4号厚生年金被保険者であり、若しくはあった者及びこれらの者に係る事業主については、この規定は適用しないこととされている。

(B)正解
法附則17条の10
離婚時の年金分割により標準報酬が改定等された者について、離婚時みなし被保険者期間については年金受給資格期間には算入せず、また、分割は基礎年金の額や定額部分の額に影響を及ぼさないこととされている。
具体的には、離婚時みなし被保険者期間については、特別支給の老齢厚生年金の支給要件(1年以上の被保険者期間)に含めない、定額部分の額の算定の基礎としない、長期加入者の特例の要件(44年以上の被保険者期間)には含めない、脱退一時金の支給要件(6月以上の被保険者期間)には含めないこと等が規定されている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法78条の2第2項
離婚等をした場合に当事者が行う標準報酬の改定等について、当事者の合意のための協議が調わないとき、または協議をすることができないときには、当事者の一方は、申立により、裁判所の処分を求めることができることになっている。
その場合、保険料納付に対する当事者それぞれの寄与の程度その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所は、請求すべき按分割合を定めることとし、改定等を行うことが適当でないと認める場合は、それを定めないこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法62条1項
中高齢寡婦加算については、夫の死亡当時40歳以上の妻、40歳到達時に遺族基礎年金の受給権を有する妻(子を養育する妻)が受給する遺族厚生年金を対象として加算されることになっている。
なお、40歳到達時の遺族基礎年金の受給権を有する妻については、遺族基礎年金の支給を受けることができる間は、中高齢寡婦加算は支給が停止されることになっている。
よって、子のない妻の場合は、夫の死亡当時40歳以上でなければ40歳に到達しても中高齢寡婦加算は加算されないため、問題文は正解となる。

(E)誤り
法26条1項
3歳未満の子を養育する期間の各月(被保険者の申出があった日前の2年間にある月に限る。)の標準報酬月額が、子の養育を開始した月の前月(当該月に被保険者でない場合には、当該月1年以内の直近の被保険者であった月、以下「基準月」という。)の標準報酬月額(従前標準報酬月額)を下回る場合には、従前標準報酬月額を当該下回る月の標準報酬月額とみなして、年金額を計算することとされている。
問題文の事例の場合は、子の養育を開始した月は出産日である9月3日で、その前月である8月が基準月となる。定時決定により標準報酬月額が改定されるのは9月1日からとなるため、当該被保険者の基準月の標準報酬月額は280,000円となる。
よって、「従前標準報酬月額は240,000円」とした問題文は誤りとなる。

  

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