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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成28年厚年-第5問(加給年金額)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成28年厚年-第5問(加給年金額)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)配偶者に係る加給年金額が加算された老齢厚生年金について、その対象となる配偶者が繰上げ支給の老齢基礎年金の支給を受けるときは、当該配偶者については65歳に達したものとみなされ、加給年金額に相当する部分が支給されなくなる。

(B)加給年金額が加算された老齢厚生年金について、その加算の対象となる配偶者が老齢厚生年金の支給を受けることができるときは、その間、加給年金額の部分の支給が停止されるが、この支給停止は当該配偶者の老齢厚生年金の計算の基礎となる被保険者期間が300か月以上の場合に限られる。

(C)第1号厚生年金被保険者期間を170か月、第2号厚生年金被保険者期間を130か月有する昭和25年10月2日生まれの男性が、老齢厚生年金の受給権を65歳となった平成27年10月1日に取得した。この場合、一定の要件を満たす配偶者がいれば、第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金に加給年金額が加算される。なお、この者は、障害等級3級以上の障害の状態になく、上記以外の被保険者期間を有しないものとする。

(D)老齢厚生年金に加算される加給年金額は、厚生年金保険法第44条第2項に規定する所定の額に改定率を乗じて得た額とされるが、この計算において、5円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数が生じたときは、これを10円に切り上げるものとされている。

(E)昭和9年4月2日以後に生まれた老齢厚生年金の受給権者に支給される配偶者に係る加給年金額については、その配偶者の生年月日に応じた特別加算が行われる。



■解説

(A)誤り
法44条4項、法46条6項
老齢厚生年金の配偶者加給については、配偶者が老齢厚生年金(240月以上の被保険者期間を有するもの)、障害厚生年金、国民年金法による障害基礎年金、退職共済年金又は障害共済年金その他の老齢若しくは障害を支給事由とする給付であって政令で定めるものを受けることができるときは、その加給年金額を支給停止することとされている。配偶者が繰上げ支給の老齢基礎年金を受給している場合であってもその配偶者を対象とした加給年金額は支給停止にならない。
よって、「加給年金額に相当する部分が支給されなくなる。」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法46条6項、令3条の7
老齢厚生年金の配偶者加給については、配偶者が老齢厚生年金(240月以上の被保険者期間を有するもの)を受けることができるときは、その加給年金額を支給停止することとされている。
よって、「300か月以上の場合に限られる。」とした問題文は誤りとなる。
なお、厚生年金保険の被保険者期間が240月未満のものであっても40歳以後の被保険者期間が15年以上ある場合には、240月あるものとみなして加給年金の支給を停止することになっている。

(C)正解
法44条1項、法78条の27、令3条の13第2項
加給年金額は、老齢厚生年金の年金額の計算の基礎となった被保険者期間の月数が240月(中高齢期間短縮特例者はその期間)以上ある場合に加算されることになっているが、二以上の種別の被保険者であった期間を有する者については、その者の二以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に係る被保険者期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして要件を判断することとされている。
この場合の加給年金額は、最初に受給権を取得した老齢厚生年金に加算することになっているが、同時に受給権を取得した場合は被保険者期間の長い方に加算される。
問題文の事例の場合は、第1号厚生年金被保険者期間と第2号厚生年金被保険者期間あわせて300月あるため加給年金額が加算されることになり、加給年金額は被保険者期間の長い第1号厚生年金被保険者期間に係る老齢厚生年金に加算されることになる。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
法44条2項
老齢厚生年金に加算される加給年金額は、厚生年金保険法第44条第2項に規定する所定の額に改定率を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)とされている。
よって、「5円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数が生じたときは、これを10円に切り上げる」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法附則60条2項(昭和60年5月1日法律第34号)
老齢厚生年金の受給権者が昭和9年4月2日以後生まれであるときは、受給権者の生年月日に応じて老齢年金の加給年金額に一定の加算(特別加算)が行われる。
よって、「配偶者の生年月日に応じた」とした問題文は誤りとなる。

  

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