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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成29年厚年-第2問(法令全般関係)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)第1号厚生年金被保険者を使用する事業主が、正当な理由がなく厚生年金保険法第27条の規定に違反して、厚生労働大臣に対し、当該被保険者に係る報酬月額及び賞与額に関する事項を届け出なければならないにもかかわらず、これを届け出なかったときは、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する旨の罰則が定められている。

(B)昭和27年4月2日生まれの遺族厚生年金の受給権者が65歳に達し、老齢厚生年金の受給権を取得した場合、当該遺族厚生年金は、当該老齢厚生年金の額(加給年金額が加算されている場合は、その額を除く。)に相当する部分の支給が停止される。

(C)第1号厚生年金被保険者に係る厚生労働大臣による保険料の滞納処分に不服がある者は社会保険審査官に対して、また、第1号厚生年金被保険者に係る脱退一時金に関する処分に不服がある者は社会保険審査会に対して、それぞれ審査請求をすることができる。

(D)政府等は、第三者の行為によって生じた事故により保険給付を行ったときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。また、政府等は、受給権者が当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、その価額の限度で、保険給付を
しないことができる。

(E)障害の程度が障害等級3級に該当する者に支給される障害厚生年金の額は、障害等級2級に該当する者に支給される障害基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)に満たないときは、当該額とされる。



■解説

(A)正解
法102条
事業主が、正当な理由がなく、厚生年金保険法第27条の規定に違反して、資格の取得及び喪失(70歳以上の使用される者にあっては、厚生労働省令で定める要件に該当するに至った日及び当該要件に該当しなくなった日)並びに報酬月額及び賞与額に関する事項を厚生労働大臣に届出をせず、又は虚偽の届出をしたときは、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることになっている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法60条1項、法64条の2
遺族厚生年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る。)は、その受給権者が老齢厚生年金の受給権を有するときは、当該老齢厚生年金の額に相当する部分(加給年金額は除く。)の支給を停止することとされている。
これは、従来の遺族厚生年金と老齢厚生年金の受給権を有する場合の併給調整の仕組みでは、遺族厚生年金を受給した場合には、自分自身の被保険者期間に基づく老齢厚生年金が受給できない(遺族厚生年金の3分の2と老齢厚生年金の2分の1の併給の場合にあっても、自分自身の老齢厚生年金の2分の1は受けられない。)ために「掛け捨て感」が生じる問題があり、これを踏まえて、平成16年改正による遺族給付の受給方法では、まず、自分自身の老齢厚生年金を優先的に受給し、遺族厚生年金の年金額については、従来の受給方法で受けることができた額の中で最も多い額とし、そのうち優先的に受給する老齢厚生年金相当額を支給停止する仕組みとなった。
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
法91条1項、法附則29条6項
第1号厚生年金被保険者に係る厚生労働大臣による保険料の滞納処分に不服がある者、第1号厚生年金被保険者に係る脱退一時金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して、審査請求をすることができる。
よって、「第1号厚生年金被保険者に係る厚生労働大臣による保険料の滞納処分に不服がある者について、社会保険審査官に対して、審査請求することができる」とした問題文は誤りとなる。

(D)正解
法40条
政府等は、事故が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。この場合において、受給権者が、当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府等は、その価額の限度で、保険給付をしないことができる。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
法50条3項
障害基礎年金が支給されない障害厚生年金(障害等級3級の障害厚生年金には障害基礎年金は支給されない。)については、障害厚生年金の最低保障額(障害基礎年金2級の4分の3相当額)と同額を保障することとされている。
よって、問題文は正解となる。

  

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