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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成29年厚年-第7問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成29年厚年-第7問(法令全般関係)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)保険料は、法人たる納付義務者が解散した場合は、納期前であってもすべて徴収することができる。

(B)子の加算額が加算された障害基礎年金の支給を受けている者に、当該子に係る加給年金額が加算された老齢厚生年金が併給されることとなった場合、当該老齢厚生年金については、当該子について加算する額に相当する部分の支給が停止される。

(C)被保険者期間の月数を12月以上有する昭和31年4月2日生まれの男性が老齢厚生年金の支給繰上げの請求をした場合、その者に支給する老齢厚生年金の額の計算に用いる減額率は、請求日の属する月から62歳に達する日の属する月の前月までの月数に一定率を乗じて得た率である。なお、本問の男性は、第1号厚生年金被保険者期間のみを有し、かつ、坑内員たる被保険者であった期間及び船員たる被保険者であった期間を有しないものとする。

(D)いわゆる事後重症による障害厚生年金について、障害認定日に障害等級に該当しなかった者が障害認定日後65歳に達する日の前日までに当該傷病により障害等級3級に該当する程度の障害の状態となり、初診日の前日において保険料納付要件を満たしている場合は、65歳に達した日以後であっても障害厚生年金の支給を請求できる。

(E)傷病に係る初診日が平成27年9月1日で、障害認定日が平成29年3月1日である障害厚生年金の額の計算において、平成29年4月以後の被保険者期間はその計算の基礎としない。なお、当該傷病以外の傷病を有しないものとする。



■解説

(A)正解
法85条
厚生年金保険の保険料は、次に該当する場合においては、納期前であっても、すべて徴収することができることになっている。
1.納付義務者が、次のいずれかに該当する場合
(1)国税、地方税その他の公課の滞納によって、滞納処分を受けるとき
(2)強制執行を受けるとき
(3)破産手続開始の決定を受けたとき
(4)企業担保権の実行手続の開始があったとき
(5)競売の開始があったとき
2.法人たる納付義務者が、解散をした場合
3.被保険者の使用される事業所が、廃止された場合
4.被保険者の使用される船舶について船舶所有者の変更があった場合、又は当該船舶が滅失し、沈没し、若しくは全く運航に堪えなくなるに至った場合
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法44条1項
受給権者が65歳に達しているときの障害基礎年金については、老齢厚生年金との併給は可能であるが、障害基礎年金において子の加算がある場合(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときを除く。)、老齢厚生年金における子の加算については支給停止されることになっている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法附則8条の2第1項、法附則13条の4、令8条の2の3
第1号厚生年金被保険者期間のみを有する昭和31年4月2日生まれの男性の特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は62歳となる。この場合において、支給繰上げの請求をした場合、その者に支給する老齢厚生年金の額の計算に用いる減額率は、請求日の属する月から62歳に達する日の属する月の前月までの月数に一定率を乗じて得た率となる。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
法47条の2
傷病の初診日において被保険者であった者について、障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態になかったものが、同日後65歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは、その期間内に障害厚生年金の支給を請求することができる。
よって、事後重症による障害厚生年金は65歳に達する日の前日までの間に請求しなければならず、「65歳に達した日以後であっても障害厚生年金の支給を請求できる。」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
法47条1項、法51条
障害厚生年金の年金額の計算の基礎となる被保険者期間は、昭和60年改正前は、年金受給権が発生した月の前月までの期間とされていたが、現在では、障害認定日の属する月までの被保険者期間を基礎とすることとしている。
よって、問題文は正解となる。
なお、障害認定日が昭和61年4月1日前にある傷病による障害厚生年金について、その年金額の計算の基礎となる厚生年金保険の被保険者期間を障害認定日又は昭和61年3月31日のいずれか遅い日までの期間とする特例が設けられている。これは、障害年金の事後重症制度の5年間の制限期間が撤廃され、障害厚生年金の額は、障害認定日(事後重症の場合も初診日から起算して1年6か月を経過した日である。)までの被保険者期間を年金額の計算の基礎とすることに改められたことに伴う経過措置である。(法附則70条(昭和60年5月1日法律第34号))

  

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