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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成29年厚年-第8問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成29年厚年-第8問(法令全般関係)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の脱退一時金は、それぞれの種別の被保険者であった期間ごとに6か月以上の期間がなければ受給資格を得ることはできない。

(B)平成28年5月31日に育児休業を終えて同年6月1日に職場復帰した3歳に満たない子を養育する被保険者が、育児休業等終了時改定に該当した場合、その者の標準報酬月額は同年9月から改定される。また、当該被保険者を使用する事業主は、当該被保険者に対して同年10月に支給する報酬から改定後の標準報酬月額に基づく保険料を控除することができる。

(C)第1号厚生年金被保険者に係る適用事業所の事業主は、被保険者が70歳に到達し、引き続き当該事業所に使用される場合、被保険者の資格喪失の届出にあわせて70歳以上の使用される者の該当の届出をしなければならないが、70歳以上の者(厚生年金保険法第12条各号に定める適用除外者に該当する者を除く。)を新たに雇い入れたときは、70歳以上の使用される者の該当の届出をすることを要しない。なお、本問の事業所は、特定適用事業所とする。

(D)障害等級1級又は2級の障害厚生年金の額は、受給権者によって生計を維持している子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満で障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子に限る。)があるときは、当該子に係る加給年金額が加算された額とする。

(E)被保険者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたが、年収850万円以上の給与収入を将来にわたって有すると認められたため、遺族厚生年金の受給権を得られなかった配偶者について、その後、給与収入が年収850万円未満に減少した場合は、当該減少したと認められたときから遺族厚生年金の受給権を得ることができる。



■解説

(A)誤り
法附則30条
ニ以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る脱退一時金については、その者のニ以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に係る被保険者期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有する者とみなして受給資格を確認することとされている。
よって、「それぞれの種別の被保険者であった期間ごとに6か月以上」とした問題文は誤りとなる。

(B)正解
法23条の2第2項、法84条1項
育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定は、育児休業等終了日の翌日から起算して2か月を経過した日の属する月の翌月から行われる。問題文の事例の場合は、9月から改定されることになる。
そして、事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所又は船舶に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができることになっているため、9月改定額に基づく保険料は10月支払分の報酬から控除することになる。
よって、問題分は正解となる。

(C)誤り
法27条、則10条の4、則15条の2
被保険者が70歳に到達し、引き続き当該事業所に使用される場合だけでなく、70歳以上の者(厚生年金保険法第12条各号に定める適用除外者に該当する者を除く。)を新たに雇い入れたときについても、70歳以上の使用される者の該当の届出をしなければならない。
よって、問題文は誤りとなる。
なお、平成31年4月より、次の要件(1)及び(2)の両方に該当する被保険者の方について、70歳到達届の提出が不要(届出省略)となった。
(1)70歳到達日の前日以前から適用事業所に使用されており、70歳到達日以降も引き続き同一の適用事業所に使用される被保険者
(2)70歳到達日時点の標準報酬月額相当額が、70歳到達日の前日における標準報酬月額と同額である被保険者

(D)誤り
法50条の2
障害の程度が障害等級の1級又は2級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、受給権者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者があるときは、加給年金額を加算した額とされているが、障害厚生年金に子に係る加給年金額が加算される規定はない。
よって、問題文は誤りとなる。

(E)誤り
令3条の10、平成23年3月23日、年発0323第1号、平成26年3月31日年発0331第7号
遺族厚生年金の受給権者に係る生計維持関係の認定については、生計維持関係等の認定日(被保険者又は被保険者であった者の死亡当時)に生計同一要件及び収入要件を満たす場合は、被保険者又は被保険者であった者と生計維持関係があるものと認定することとされている。よって、認定日に年収850万円以上の給与収入を将来にわたって有すると認められた場合は、その後、年収850万円未満に減少したときであっても遺族厚生年金の受給権を得ることはできない。
よって、問題文は誤りとなる。

  

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