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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成29年厚年-第10問(保険給付等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成29年厚年-第10問(保険給付等)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)遺族厚生年金及び当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得した妻について、当該受給権の取得から1年後に子の死亡により当該遺族基礎年金の受給権が消滅した場合であって、当該消滅した日において妻が30歳に到達する日前であった場合は、当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過したときに当該遺族厚生年金の受給権は消滅する。

(B)昭和29年4月1日生まれの女性(障害の状態になく、第1号厚生年金被保険者期間を120月、国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間を180月有するものとする。)が、特別支給の老齢厚生年金における報酬比例部分を受給することができるのは60歳からであり、また、定額部分を受給することができるのは64歳からである。なお、支給繰上げの請求はしないものとする。

(C)特別支給の老齢厚生年金は、その受給権者が雇用保険法の規定による基本手当の受給資格を有する場合であっても、当該受給権者が同法の規定による求職の申込みをしないときは、基本手当との調整の仕組みによる支給停止は行われない。

(D)平成29年4月において、総報酬月額相当額が480,000円の66歳の被保険者(第1号厚生年金被保険者期間のみを有し、前月以前の月に属する日から引き続き当該被保険者の資格を有する者とする。)が、基本月額が100,000円の老齢厚生年金を受給することができる場合、在職老齢年金の仕組みにより月額55,000円の老齢厚生年金が支給停止される。(一部改正)

(E)被保険者が死亡した当時、妻、15歳の子及び65歳の母が当該被保険者により生計を維持していた。妻及び子が当該被保険者の死亡により遺族厚生年金の受給権を取得したが、その1年後に妻が死亡した。この場合、母が当該被保険者の死亡による遺族厚生年金の受給権を取得することはない。



■解説

(A)誤り
法63条1項
子を養育しない妻が受給する遺族厚生年金のうち夫の死亡時において30歳未満である妻が受給する遺族厚生年金については、一定期間(5年間)を経過した時点で失権することとされている。具体的な要件は次のとおりとなっている。
(1)30歳未満で遺族厚生年金の受給権のみを取得した妻が、その受給権取得以後に胎児出生により遺族基礎年金の受給権を取得することなく5年が経過したとき
(2)30歳未満で遺族厚生年金及び遺族基礎年金の受給権を取得した妻が、その受給権取得後30歳未満である間に遺族基礎年金の受給権が消滅した場合は、当該遺族基礎年金の失権から5年を経過したとき
よって、「当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から起算」とした問題文は誤りとなる。

(B)正解
法附則8条、法附則20条1項(平成6年11月9日法律第95号)
特別支給の老齢厚生年金について、昭和27年4月2日から昭和29年4月1日生まれの女性(第1号厚生年金被保険者であり、又は第1号厚生年金被保険者期間を有する者であり、障害等級に該当しない。)には64歳から定額部分が、60歳から報酬比例部分が支給される。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法附則7条の4、法附則11条の5
60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者が雇用保険法の規定による求職の申込みをしたときは、当該求職の申込みがあった月の翌月から、当該基本手当に係る受給期間が経過するか、又は所定給付日数が満了するに至った月までの間(調整対象期間)、60歳台前半の老齢厚生年金(定額部分も含む。)の支給を停止することとされているが、求職の申込みをしないときは、基本手当との調整の仕組みによる支給停止は行われない。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法46条
60歳台後半の在職老齢年金は、総報酬月額相当額(標準報酬月額と1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額)と基本月額(老齢厚生年金額から加給年金額、繰下げ加算額、経過的加算額を除いた年金額を12で除した額に相当する額)との合計額が支給停止調整額(470,000円)を超える場合につき、当該合計額と支給停止調整額との差額の2分の1に相当する額の支給を停止することとしている。
問題文の場合は、基本月額が100,000円、総報酬月額相当額が480,000円なので、支給停止額は、「(100,000円+480,000円−470,000円)÷2」で55,000円となる。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
法59条2項
父母は、配偶者又は子が、孫は、配偶者、子又は父母が、祖父母は、配偶者、子、父母又は孫が遺族厚生年金の受給権を取得したときは、それぞれ遺族厚生年金を受けることができる遺族としないこととされている。
よって、問題文は正解となる。

  

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