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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成30年厚年-第3問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成30年厚年-第3問(法令全般関係)

厚生年金保険法等に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

(ア)保険料を徴収する権利が時効によって消滅したときは、当該保険料に係る被保険者であった期間に基づく保険給付は行わない。当該被保険者であった期間に係る被保険者の資格の取得について、厚生年金保険法第31条第1項の規定による確認の請求があった後に、保険料を徴収する権利が時効によって消滅したものであるときも同様に保険給付は行わない。

(イ)厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律の施行日(平成19年7月6日)において厚生年金保険法による保険給付を受ける権利を有する者について、厚生年金保険法第28条の規定により記録した事項の訂正がなされた上で当該保険給付を受ける権利に係る裁定が行われた場合においては、その裁定による当該記録した事項の訂正に係る保険給付を受ける権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利について当該裁定の日までに消滅時効が完成した場合においても、当該権利に基づく保険給付を支払うものとされている。

(ウ)年金たる保険給付を受ける権利の時効は、当該年金たる保険給付がその全額につき支給を停止されている間であっても進行する。

(エ)厚生年金保険法第86条の規定によると、厚生労働大臣は、保険料の納付義務者が保険料を滞納したため期限を指定して督促したにもかかわらずその期限までに保険料を納付しないときは、納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法第252条の19第1項の指定都市にあっては、区又は総合区とする。以下同じ。)に対して、その処分を請求することができ、当該処分の請求を受けた市町村が市町村税の例によってこれを処分したときは、厚生労働大臣は、徴収金の100分の4に相当する額を当該市町村に交付しなければならないとされている。

(オ)脱退一時金は、最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過しているときは、請求することができない。

(A)(アとイ)
(B)(アとウ)
(C)(イとエ)
(D)(ウとオ)
(E)(エとオ)



■解説

(ア)誤り
法75条
厚生年金保険は、被保険者であっても保険料を徴収できない期間については、保険給付を制限することとしている。被保険者資格の届出がなされない場合、保険料の徴収を行うことが困難であることから、時効によって消滅した保険料にかかる期間については保険給付の対象外としている。ただし、被保険者の資格の届出又は確認の請求があれば、保険者は被保険者資格について認知したこととされるため、確認の請求があった後に、保険料を徴収する権利が時効によって消滅したときには、当該期間に基づく保険給付は行われることとしている。
よって、問題文は誤りとなる。

(イ)正解
厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律第1条
厚生労働大臣は、厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律の施行の日(平成19年7月6日)において厚生年金保険法による保険給付を受ける権利を有する者又は施行日前において当該権利を有していた者について、厚生年金保険法第28条の規定により記録した事項の訂正がなされた上で当該保険給付を受ける権利に係る裁定(裁定の訂正を含む。)が行われた場合においては、その裁定による当該記録した事項の訂正に係る保険給付を受ける権利に基づき支払期月ごとに又は一時金として支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利について当該裁定の日までに消滅時効が完成した場合においても、当該権利に基づく保険給付を支払うものとされている。
よって、問題文は正解となる。

(ウ)誤り
法92条2項
年金たる保険給付を受ける権利の時効は、当該年金たる保険給付がその全額につき支給を停止されている間は、進行しないこととされている。
これは、業務上の事故で労働基準法による障害補償または遺族補償を受けることができるときは、障害厚生年金又は遺族厚生年金は6年間その支給を停止されることになっていることから、6年経過後にはじめて裁定請求がなされる事例が少なくない。その場合、時効が完成して支給を受けらないということを防ぐため、保険給付がその全額について支給停止されている間は、消滅時効は進行しない旨の規定が設けられたものである。
よって、問題文は誤りとなる。

(エ)正解
法86条5項・6項
厚生労働大臣は、納付義務者が次のいずれかに該当する場合においては、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法第252条の19第1項の指定都市にあっては、区又は総合区とする。)に対して、その処分を請求することができる。
(1)督促を受けた者がその指定の期限までに保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金を納付しないとき。
(2)納期を繰り上げて保険料納入の告知を受けた者がその指定の期限までに保険料を納付しないとき。
なお、市町村は、この処分の請求を受けたときは、市町村税の例によってこれを処分することができ、厚生労働大臣は、徴収金の100分の4に相当する額を当該市町村に交付しなければならないことになっている。
よって、問題文は正解となる。

(オ)正解
法附則92条1項
脱退一時金は、支給要件を満たしている場合であっても、最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた場合は、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過しているときは請求できないことになっている。
よって、問題文は正解となる。

※誤っているものの組合せは、(ア)と(ウ)であるため、(B)が正解となる。

  

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