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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成30年厚年-第4問(保険給付等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成30年厚年-第4問(保険給付等)

厚生年金保険法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

(ア)在職老齢年金の仕組みにより支給停止が行われている特別支給の老齢厚生年金の受給権を有している63歳の者が、雇用保険法に基づく高年齢雇用継続基本給付金を受給した場合、当該高年齢雇用継続基本給付金の受給期間中は、当該特別支給の老齢厚生年金には、在職による支給停止基準額に加えて、最大で当該受給権者に係る標準報酬月額の10%相当額が支給停止される。

(イ)第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金の受給権者(加給年金額の対象者があるものとする。)は、その額の全部につき支給が停止されている場合を除き、正当な理由なくして、厚生年金保険法施行規則第35条の3に規定する加給年金額の対象者がある老齢厚生年金の受給権者に係る現況の届書を提出しないときは、当該老齢厚生年金が支給停止され、その後、当該届書が提出されれば、提出された月から支給停止が解除される。

(ウ)障害等級3級の障害厚生年金の受給権者であった者が、64歳の時点で障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったために支給が停止された。その者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しないまま65歳に達したとしても、その時点では当該障害厚生年金の受給権は消滅しない。

(エ)2つの被保険者の種別に係る被保険者であった期間を有する者に、一方の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に基づく老齢厚生年金と他方の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に基づく老齢厚生年金の受給権が発生した。当該2つの老齢厚生年金の受給権発生日が異なり、加給年金額の加算を受けることができる場合は、遅い日において受給権を取得した種別に係る老齢厚生年金においてのみ加給年金額の加算を受けることができる。

(オ)繰上げ支給の老齢厚生年金を受給している者であって、当該繰上げの請求があった日以後の被保険者期間を有する者が65歳に達したときは、その者が65歳に達した日の属する月前における被保険者であった期間を当該老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、65歳に達した日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。

(A)(アとイ)
(B)(アとウ)
(C)(イとエ)
(D)(ウとオ)
(E)(エとオ)



■解説

(ア)誤り
法附則11条の6
雇用保険法による高年齢雇用継続給付と在職老齢年金は、個人に対して同一時期に支給される公的な現金給付であり、また、高年齢雇用継続給付は失業給付と同質の給付であることに鑑み、失業給付の場合と同様、高年齢雇用継続給付の受給者については、在職老齢年金について一定の調整を行うものとされている。
調整方法の基本的な考え方は、高年齢雇用継続給付が賃金額に応じてその一定割合(15%)を支給する給付であることに鑑み、賃金と年金の調整方法に準じつつ、雇用継続の援助促進という高年齢雇用継続給付の趣旨を考慮して賃金との調整よりも緩和するとともに、年金制度の枠内での事務処理も考慮し、老齢厚生年金について、原則として、受給者の標準報酬月額の約6%を限度に年金を支給停止することとしている。
よって、「標準報酬月額の10%相当額」とした問題文は誤りとなる。

(イ)誤り
法78条
受給権者が、正当な理由がなくて、厚生年金保険法第98条第3項の規定による届出をせず、又は書類その他の物件を提出しないときは、保険給付の支払を一時差し止めることができることになっている。
よって、問題文は正解となる。
なお、この規定は第2号厚生年金被保険者期間、第3号厚生年金被保険者期間又は第4号厚生年金被保険者期間に基づく保険給付については、適用しないこととされている。
よって、「当該老齢厚生年金が支給停止され、その後、当該届書が提出されれば、提出された月から支給停止が解除される。」とした問題文は誤りとなる。

(ウ)正解
法53条
障害厚生年金の受給権は、障害等級に該当しないときは、65歳までの間は支給停止とし、65歳に達したときに失権することとされているが、障害等級に該当しなくなった時点から65歳到達までの間が3年未満であるとき(例えば63歳のときに障害等級に該当しなくなったときなど)は、該当しなくなった時点から3年を経過したときに受給権が消滅することとされている。
よって、問題文は正解となる。

(エ)誤り
法78条の27、令3条の13第2項
2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る老齢厚生年金の受給権発生日が異なる場合、各号の厚生年金被保険者期間のうち1の期間に基づく老齢厚生年金のうち最も早い日において受給権を取得したものについて、加給年金額を加算することとされている。
よって、「遅い日において受給権を取得した種別に係る老齢厚生年金においてのみ加給年金額の加算を受けることができる。」とした問題文は誤りとなる。

(オ)正解
法附則7条の3第5項
繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者であって、当該繰上げの請求があった日以後の被保険者期間を有するものが65歳に達したときは、その者が65歳に達した日の属する月前における被保険者であった期間を当該老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、65歳に達した日の属する月の翌月から年金額の改定が行われることになっている。
よって、問題文は正解となる。

※正解の組合せは、(ウ)と(オ)であるため、(D)が正解となる。

  

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