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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成30年厚年-第10問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成30年厚年-第10問(法令全般関係)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)障害等級1級の障害厚生年金の受給権者(厚生年金保険法第58条第1項第4号に規定するいわゆる長期要件には該当しないものとする。)が死亡し、その者が2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を有していた場合、遺族厚生年金の額については、その死亡した者に係る2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算し、1の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして額の計算をする。なお、それぞれの期間を合算しても300か月に満たない場合は、300か月として計算する。

(B)第1号厚生年金被保険者期間と第2号厚生年金被保険者期間を有する者に係る老齢厚生年金について、支給繰下げの申出を行う場合、第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金の申出と、第2号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金の申出を同時に行わなければならない。

(C)被保険者である老齢厚生年金の受給権者は、その受給権を取得した当時、加給年金額の対象となる配偶者がいたが、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240未満であったため加給年金額が加算されなかった。その後、被保険者資格を喪失した際に、被保険者期間の月数が240以上になり、当該240以上となるに至った当時、加給年金額の対象となる配偶者がいたとしても、当該老齢厚生年金の受給権を取得した当時における被保険者期間が240未満であるため、加給年金額が加算されることはない。

(D)実施機関は、被保険者の資格を取得した者について、日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した月前1か月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額を報酬月額として、その者の標準報酬月額を決定する。当該標準報酬月額は、被保険者の資格を取得した月からその年の8月(6月1日から12月31日までの間に被保険者の資格を取得した者については、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。

(E)第1号厚生年金被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合において、事業主が被保険者の負担すべき保険料を報酬から控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。



■解説

(A)正解
法78条の32第1項、令3条の13の6第1項
2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の遺族に係る遺族厚生年金(厚生年金保険法第58条第1項第1号から第3号までのいずれかに該当することにより支給されるもの(短期要件)に限る。)の額については、死亡した者に係る2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算し、1の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして、遺族厚生年金の額の計算及びその支給停止に関する規定その他政令で定める規定を適用することとされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法78条の28
2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る老齢厚生年金について、支給繰下げの申出を行う場合においては、1の期間に基づく老齢厚生年金についての支給繰下げの申出は、他の期間に基づく老齢厚生年金についての支給繰下げの申出と同時に行わなければならないことになっている。
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
法44条1項
老齢厚生年金の受給権を取得した当時は被保険者期間が240月未満であったために加給年金額が加算されていなかった受給権者について、その後、退職した時点で改定が行われ240月以上となった場合には、退職時改定の規定により当該月数が240以上となるに至った当時の生計維持関係を確認し加給年金額が加算されることになる。
よって、「加給年金額が加算されることはない。」とした問題文は誤りとなる。

(D)正解
法22条
実施機関は、被保険者の資格を取得した者があるときは、次の額を報酬月額として、標準報酬月額を決定することになっている。
(1)月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の30倍に相当する額
(2)日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した月前1月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額
(3)上記(1)、(2)によって算定することが困難であるものについては、被保険者の資格を取得した月前1月間に、その地方で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額
(4)上記(1)、(2)、(3)のうち2以上に該当する報酬を受ける場合には、それぞれについて、上記(1)、(2)、(3)によって算定した額の合算額
なお、資格取得時に決定された標準報酬月額は、原則として、被保険者の資格を取得した月からその年の8月(6月1日から12月31日までの間に被保険者の資格を取得した者については、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
法84条
事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所又は船舶に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができ、保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならないことになっている。
よって、問題文は正解となる。

  

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