社会保険労務士試験に楽に合格する方法論を研究するサイト
社会保険労務士試験情報局
トップページ社会保険労務士の勉強メモ 保険給付の対象となる診療  
■社会保険労務士の勉強メモ(健康保険法)




■原則

健康保険は疾病・負傷等に対して保険給付を行なうことを目的としているため、単なる疲労やけん怠、正常な妊娠出産、美容目的の整形など一般的に病気とみなされないものについては、保険給付の対象にならない。
また、健康診断や予防注射なども保険給付の対象外となっている。

■具体的な事例

1.疲労・けん怠
(1)従来保険診療の対象外として取扱われてきた半陰陽、類宦官症、不妊症、月経異常であって、保険医において診療の必要があると認められたものは、身体的苦痛の有無にかかわらず、今後療養の給付の対象になること。(昭和37年9月25日保険発第94号)

(2)近視等の屈折異常を主訴とする患者に対する診療は、療養の給付として取扱って差し支えない。(昭和40年2月1日保険発第14号)

(3)身体機能に障害のない異常、疾患は原則として給付外とするが、他人に不快感をあたえる程度のものであり、かつ治療により治癒又は軽快するものであれば給付内とする。(昭和27年6月20日保険発第157号)

(4)温泉療法は、温泉のある病院又は診療所において、常時直接医師の指導のもとに行なわれる温泉療法すなわち薬治、熱気浴等の理学的療法として現物給付を行なうものである。(昭和28年7月8日保文発第3995号)

2.妊娠・出産
(1)医師の手当を必要とする異常分娩の場合、保険医療機関において手当をうけたときには療養の給付として取扱う。正常分娩の場合において、医師の手当を受けても療養の給付の範囲外とし、右に要した費用は被保険者の負担である。(昭和17年1月28日社発第82号)

(2)鉗子分娩の必要があって入院した患者の産褥経過中の悪露交換は産褥に異常があり、その異常の治療として必要な場合のほかは療養の給付の対象にならない。(昭和33年12月10日保険発第174号)

(3)優生保護法による優生手術及び人工妊娠中絶術の保険給付については、次の事項について療養の給付を行なう。但し、人工妊娠中絶のうち妊娠4ヵ月以上のものにあっては、療養の給付及び分娩の給付の対象とし、妊娠4ヵ月未満のものにあっては、療養の給付のみを対象とすること及び優生保護法第四条の強制優生手術は、療養の給付の対象とならない。

1.優生保護法第3条第1項各号及び第2項の優生手術
2.同法第12条精神病者等に対する優生手術
3.同法第14条第1項各号の医師の認定による人工妊娠中絶術。但し、右の第4号に規定するもののうち単に経済的理由によるものを除く。
(昭和27年9月29日保発第56号)

3.美容整形等
(1)女子顔面黒皮症は病変が先天性のものであって、身体機能に障害のないものは給付外である。後天性に起こった異常で、他人に不快の感を与えるものであって、治療により治癒又は軽快するものであれば給付して差し支えない。(昭和27年6月20日保発第157号)

(2)白髪染による皮膚炎、後胎症の尋常性白斑は給付外と思料される。(昭和26年4月10日保文発第984号)

(3)自毛症(外傷による局部的栄養欠乏からきたもの)は、特に著しくないものは給付外である。(昭和25年5月11日保発第87号)

(4)腋臭については、悪臭はなはだしく他人の就業に支障を生ずる事実が明らかであって、客観的に治療の必要がある場合は給付して差し支えない。(昭和5年9月5日保規発第445号)

(5)斜視手術は、労務に支障を及ぼす程度の疾病と認めた場合は保険給付の範囲である。(昭和24年10月26日保発第310号)

(6)火傷により筋肉が癒着し屈伸の不能甚だしく治療が未だ完成しないと認められるものに対し、整形手術又は植皮術を行なうものは、療養の給付の範囲に属する。(昭和3年6月8日庶発第604号)

(7)多発性円形脱毛症に対する毛植術は現段階では保険給付として認められない。(昭和27年4月28日保発第117号)

4.健康診断・予防注射
(1)定期的健康診断により初めて結核症と決定された患者について、その時(健康診断時)のツベルクリン反応、血沈検査、X線検査等の費用は保険給付の対象にならない。(昭和28年4月3日保発第59号)

(2)身体に違和がありとして診察を求めたとき、診断の結果何等疾病と認めるべき徴候がない場合にもその診断に要した費用は、療養に要した費用として請求できる。(昭和10年11月9日保規第338号)

(3)特に感染の危険があると認められる場合は発病前といえども破傷風血清注射を行なうことは差し支えない。(昭和24年7月7日保発第223号)

(4)百日咳の予防として行なう血清注射は、単なる予防的に行なうことは給付外とするが、家庭内に百日咳患者が発生し、これとともに未感染者があるときは、その感染は必然的とみられるので、この場合は給付すべきものとする。(昭和27年5月26日保発第138号)

(5)BCG潰瘍(二次感染を含む)は給付の対象となる。(昭和28年10月13日保発第222号)

5.その他
被保険者の資格取得が適正である限り、資格取得前の疾病又は負傷に対しても保険給付を行なう。(昭和26年10月16日保文発第4111号)

  

→社会保険労務士の勉強メモに戻る
Copyright (C) 2005 社会保険労務士試験情報局 All Rights Reserved