社会保険労務士試験に楽に合格する方法論を研究するサイト
社会保険労務士試験情報局
トップページ社会保険労務士の勉強メモ 保険医療機関等及び保険医等に関する規定  
■社会保険労務士の勉強メモ(健康保険法)




■保険医又は保険薬剤師の登録

1.保険医・保険薬剤師
保険医療機関で健康保険の診療の従事する医師若しくは歯科医師又は保険薬局において健康保険の調剤に従事する薬剤師は厚生労働大臣の登録を受けた医師若しくは歯科医師(保険医)又は薬剤師(保険薬剤師)でなければならない。(法第64条)

※厚生労働大臣の権限は、「地方社会保険事務局長」に委任されている。

2.登録について
医師若しくは歯科医師又は薬剤師の申請により行う。(法第71条第1項)

3.登録の拒否
(1)厚生労働大臣(「地方社会保険事務局長」に委任)は申請があった場合において、「登録を取り消され、その取消しの日から5年を経過しないものであるとき」、「保険医又は保険薬剤師として著しく不適当と認めるとき」は登録をしないことができる。(法第71条第2項)

(2)上記(1)の場合において、厚生労働大臣は、地方社会保険医療協議会の議を経なければならない。(法第71条第3項)

(参考)
登録は、その名簿に記載することによって行うものであるから、登録の年月日は、名簿に所定の事項を記載した日であり、受理年月日ではない。
保険医の登録の申請のあった場合には、保険診療に従事すると否にかかわらず、登録しなければならない。
ただし、登録の取り消しを受けて5年を経過しないもの、(その他保険医療機関として著しく不適当と認められる場合)については拒否することもあり得る。
大学病院の無給の研究生である医師の如きものであっても、保険診療に少しでも従事する医師は、登録を受けなければならない。(昭和32年9月2日保発第123号)

■保険医療機関又は保険薬局の指定

1.指定について
保険医療機関又は保険薬局の指定は、病院若しくは診療所又は薬局の開設者の申請により行う。(法第65条第1項)

(参考)
1.指定は、医療法に規定する病院若しくは診療所又は薬事法に規定する薬局について行われるものであるから、その廃止、開設者の死亡等により病院若しくは診療所又は薬局としての同一性が失われた場合には、保険医療機関又は保険薬局の指定の効力も同時に失われるものであること。(昭和32年5月15日保発第42号)

2.開設者変更のときは、同一性が失われるために指定の効力も当然失われ、あらためて指定を受けなければならない。(昭和32年9月2日保険発第123号)

※開設場所変更の場合も同様、ただし保険医療機関等に保険医又は保険薬剤師が皆無になっても保険医療機関等の指定の効力は当然に失効するものではなく、なお存続する。

3.指定の遡及
(1)指定期日は地方社会保険医療協議会に諮問した日以後とすべきであって、その日前に遡及して指定することは原則としてみとめない。ただし、保険医療機関又は保険薬局に指定された後当該病院若しくは診療所又は薬局の開設者に異動(死亡等により)があって、新たに指定を受けるときは遡及を認める。この場合第三者の権利関係に不利益を与えるおそれが全くないときに限られる。(昭和32年7月18日保険発第104号)

(2)「イ.同一施設において単に開設者に変更(死亡以外の理由)があったのみで、患者は引き続き入院その他の診療を受けている場合」、「ロ.診療所を附近に移転し同日附で新旧診療所を改廃して入院その他の診療を引き続き行っている場合」には、昭和32年7月18日保険発第104号通知の場合に準ずるものとして指定期日を遡及することもやむを得ないものと考える。ただし、「ロ」については、移転後の診療所と移転前の診療所との距離が至近の場合に限るものとする。なお。いずれの場合にあっても、第三者の利益関係に不利益を与えるおそれがあるものについては、遡及して指定しないものである。(昭和33年8月21日保険発第110号)

2.指定の更新について
(1)保険医療機関又は保険薬局の指定は、指定の日から起算して6年を経過したときはその効力を失う。(法第68条第1項)

(2)保険医療機関(病院又は療養病床を有する診療所等は除く)又は保険薬局であって厚生労働省令で定めるものについては、効力を失う日前6月から同日前3月までの間に別段の申出がないときは更新される。(法第68条第2項)

(参考)
1.この規定は保険医療機関の自動更新の根拠規定である。ただし、自動更新が適用されるのは、個人病院と個人薬局に限られる。

2.「厚生労働省令で定めるもの」とは?
法第68条第2項に規定する厚生労働省令で定める保険医療機関又は保険薬局は、保険医である医師若しくは歯科医師の開設する診療所である保険医療機関又は保険薬剤師である薬剤師の開設する保険薬局であって、その指定を受けた日からおおむね引き続き当該開設者である保険医若しくは保険薬剤師のみが診療若しくは調剤に従事しているもの又はその指定を受けた日からおおむね引き続き当該開設者である保険医若しくは保険薬剤師及びその者と同一の世帯に属する配偶者、直系血族若しくは兄弟姉妹である保険医若しくは保険薬剤師のみが診療若しくは調剤に従事しているものとする。(指定省令第4条)

3.みなし指定について
診療所又は薬局が医師若しくは歯科医師又は薬剤師の開設したものであり、かつ、当該開設者である医師若しくは歯科医師又は薬剤師のみが診療又は調剤に従事している場合において、当該医師若しくは歯科医師又は薬剤師について第64条(保険医又は保険薬剤師)の登録があったときは、当該診療所又は薬局について、第63条第3項第1号(保険医療機関又は保険薬局)の指定があったものとみなす。ただし、当該診療所又は薬局が、第65条第3項又は第4項に規定する要件に該当する場合であって厚生労働大臣が同号の指定があったものとみなすことが不適当と認めるときは、この限りでない。(法第69条)

(参考)
個人開業医、個人薬局については、保険医又は保険薬剤師の登録があれば重ねて保険医療機関又は保険薬局の指定手続をする必要がないので、事務手続きの簡略化を図るため、保険医等の登録があったときには、保険医療機関等の指定があったものとみなすことにしている。

4.指定の拒否
(1)厚生労働大臣(「地方社会保険事務局長」に委任)は、保険医療機関又は保険薬局の申請があった場合に、次のいずれかに該当するときには保険医療機関又は保険薬局の指定をしないことができる。(法第65条第3項)

1.保険医療機関若しくは保険薬局の指定又は特定承認保険医療機関の承認を取り消され、その取消しの日から5年を経過しないとき
2.保険給付に関し診療又は調剤の内容の適切さを欠くとして重ねて厚生労働大臣の指導を受けたとき
3.保険医療機関又は保険薬局として著しく不適当と認めるものであるとき

(2)上記(1)の場合において、厚生労働大臣は、地方社会保険医療協議会の議を経なければならない。(法第67条)

■保険医療機関等の指定の辞退又は保険医等の登録の抹消

1.保険医療機関又は保険薬局は、1月以上の予告期間を設けて、その指定を辞退することができる。(法第79条第1項)

(参考)
1.病院又は診療所は、同時に特定承認保険医療機関及び保険医療機関であることはできない。(法第86条第7項)

2.特定承認保険医療機関が保険医療機関の指定を受けたときは、その承認を辞退したものとみなす。(法第86条第8項)

3.保険医療機関が特定承認保険医療機関の承認を受けたときは、その指定を辞退したものとみなす。(法第86条第9項)

2.保険医又は保険薬剤師は、1月以上の予告期間を設けて、その登録の抹消を求めることができる。(法第79条第2項)

■保険医療機関等の指定・保険医等の登録の取消し

1.厚生労働大臣は、保険医療機関等が規定に違反場合や不正があった場合などは、保険医療機関等の指定を取り消すことができる。(法第80条)→地方社会保険医療協議会に諮問することが必要。

2.厚生労働大臣は、保険医等が規定に違反場合や不正があった場合などは、保険医等の登録を取り消すことができる。(法第80条)→地方社会保険医療協議会に諮問することが必要

■社会保険医療協議会への諮問

1.厚生労働大臣は、保険医療機関又は保険薬局の責務、保険医又は保険薬剤師の責務について厚生労働省令を定めようとするとき、又は、入院時の食事療養の内容及び選定療養の内容の定め、若しくは療養の給付に要する費用の額について定めをしようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。(法第82条第1項)

2.厚生労働大臣は、保険医療機関若しくは保険薬局に係る指定を行おうとするとき、若しくはその指定を取り消そうとするとき、又は保険医若しくは保険薬剤師に係る登録を取り消そうとするときは政令に定めるところにより、地方社会保険医療協議会に諮問するものとする。(法第82条第2項)

(参考)
「指定を取り消す場合」には、地方社会保険医療協議会に諮問することを要し、「指定を拒む場合」には地方社会保険医療協議会の議決を求めなければならない。(登録の取消しの場合も同様)

■処分に対する弁明の機会の付与

厚生労働大臣は、保険医療機関に係る第63条第3項第1号の指定をしないこととするとき、若しくはその申請に係る病床の全部若しくは一部を除いて指定(指定の変更を含む。)を行おうとするとき、若しくは保険薬局に係る同号の指定をしないこととするとき、又は保険医若しくは保険薬剤師に係る第64条の登録をしないこととするときは、当該医療機関若しくは薬局の開設者又は当該保険医若しくは保険薬剤師に対し、弁明の機会を与えなければならない。この場合においては、あらかじめ、書面で、弁明をすべき日時、場所及びその事由を通知しなければならない。(法第83条)

(参考)
1.公正な行政処分の遂行を確保するための規定

2.弁明は口答又は文書の何れでも差し支えない。なお、代理人の弁明も差し支えないが、委任状等による正当な代理人であることの確認が必要である。(昭和32年9月2日保発第123号)

3.「弁明をすべき日時、場所及びその事由」の通知は必ず「書面」で通知する必要がある。

■その他の参考事項

1.保険医療機関として指定をうけた病院が、保険者を2、3に限定しその被保険者及び被扶養者のみを診療することはできない。(昭和32年9月2日保発第123号)

2.政府管掌健康保険の適用事業所の事業主がその従業員のために開設する診療所は、法第63条第3項第2号の医療機関になり得ない。(昭和32年9月2日保発第123号)

3.法第63条第3項第2号に掲げる病院(特定の保険者と診療契約を結んだ病院)が他の特定の組合の組合員の診療を行なう場合には、第2号として指定をうけている組合の組合員である被保険者のために設立されたものであり、他の特定の組合の組合員である被保険者のために設けられたものではないから、保険医療機関としての指定を受けなければならない。(昭和32年9月2日保発第123号)

4.事業主が経営を健康保険組合に委託している医療機関、健康保険組合が経営を事業主に委託している医療機関は、開設者が事業主の場合は法第63条第3項第2号に掲げる医療機関(特定の保険者と診療契約を結んだ病院)であり、開設者が健康保険組合のときは、法第63条第3項第3号に掲げる医療機関(健康保険組合が開設する病院)である。(昭和32年9月2日保発第123号)

5.事業主及び健康保険組合両者の共同経営による医療機関については、共同経営であっても開設者はそのうちの何れかであるから、開設者が事業主の場合又は健康保険組合の場合により上記4に述べた設例と同様である。(昭和32年9月2日保発第123号)

6.健康保険組合が保険医療機関内に病棟を設置し経営委託している場合のいわゆる委託ベッドについては、委託ベッドそのものは医療機関の施設の一部であるから、当該医療機関が保険医療機関であれば、健康保険組合との関係についても保険医療機関である。(昭和32年9月2日保発第123号)

  

→社会保険労務士の勉強メモに戻る
Copyright (C) 2005 社会保険労務士試験情報局 All Rights Reserved