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トップページ社会保険労務士の勉強メモ 特定療養費の支給要件  
■社会保険労務士の勉強メモ(健康保険法)




■要件

被保険者(老人保健法の規定による医療を受けることができる者を除く)が、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる療養を受けたときは、その療養に要した費用について、特定療養費を支給する。(法第86条第1項)

1.特定承認保険医療機関のうち自己の選定するものから受けた療養
2.保険医療機関等(特定承認保険医療機関は除く)のうち自己の選定するものから受けた選定療養

(参考)
1.「厚生労働省令で定めるところ」とは?
被保険者証の提出(施行規則第53条)と処方せんの提出(施行規則第54条)のこと。

■特定承認保険医療機関とは?

大学の附属施設である病院その他の高度の医療を提供するものとして厚生労働省令で定める要件に該当する病院又は診療所であって厚生労働大臣の承認を受けたもの。(法第86条第1項)

(参考)
1.高度先進医療部分については被保険者の全額自己負担となるが、診察・検査・投薬・入院料などの基礎部分に関しては自己負担額を除き保険給付(特定療養費)の対象となる。

2.高度先進医療を受けなくても特定承認医療機関で診察を受けた場合は、「療養の給付」でなく「特定療養費」として保険給付される。

3.特定承認保険医療機関で入院した場合に受けた食事療養の費用は、「入院時食事療養費」ではなく「特定療養費」として保険給付される。

■選定療養とは?

選定療養については「健康保険法第63条第2項の規定に基づき厚生労働大臣の定める療養(平成6年8月5日厚生省告示第236)」で次のように定められている。

1.特別の療養環境の提供
2.前歯部の鋳造歯冠修復又は歯冠継続歯に使用する金合金又は白金加金の支給
3.病床数が200以上の病院について受けた初診(他の病院又は診療所からの文書による紹介がある場合及び緊急その他やむを得ない事情がある場合に受けたものを除く。)
4.予約に基づく診察
5.保険医療機関が表示する診療時間以外の時間における診察
6.金属床による総義歯の提供
7.薬事法に規定する治験(人体に直接使用される薬物に係るものに限る。)に係る診療
8.齲う蝕に罹り患している患者(齲う蝕多発傾向を有しないものに限る。)であって継続的な指導管理を要するものに対する指導管理
9.病床数が200以上の病院について受けた再診(当該病院が他の病院(病床数が200未満のものに限る。)又は診療所に対して文書による紹介を行う旨の申出を行っていない場合及び緊急その他やむを得ない事情がある場合に受けたものを除く。)
10.薬事法に規定する治験(機械器具等に係るものに限る。)に係る診療
11.薬事法の規定による承認を受けた者が製造し、又は輸入した当該承認に係る医薬品(人体に直接使用されるものに限り、別に厚生労働大臣が定めるものを除く。)の投与(別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合する病院若しくは診療所又は薬局において当該承認を受けた日から起算して90日以内に行われるものに限る。)
12.別に厚生労働大臣が定める方法により計算した入院期間が180日を超えた日以後の入院及びその療養に伴う世話その他の看護(別に厚生労働大臣が定める状態等にある者の入院及びその療養に伴う世話その他の看護を除く。)
13.使用薬剤の薬価(薬価基準)に収載されている医薬品(別に厚生労働大臣が定めるものに限る。)の投与であって、薬事法の規定による承認に係る用法、用量、効能又は効果と異なる用法、用量、効能又は効果に係るもの(別に厚生労働大臣が定める条件及び期間の範囲内で行われるものに限る。)
14.薬事法の規定による承認を受けた者が製造し、又は輸入した当該承認に係る医療機器(別に厚生労働大臣が定めるものを除く。)の使用又は支給(別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合する病院若しくは診療所又は薬局において保険適用を希望した日から起算して2年以内に行われるものに限る。)
15.別に厚生労働大臣が定める先進医療(先進医療ごとに別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合する病院又は診療所において行われるものに限る。)

(参考)
1.選定療養部分については被保険者の全額自己負担となるが、診察・検査・投薬・入院料などの基礎部分に関しては自己負担額を除き保険給付(特定療養費)の対象となる。

2.選定療養とは、特定承認保険医療機関以外の保険医療機関、事業主病院・診療所、健保組合直営病院・診療所等で「選定療養」を受けた場合のことをいう。

■特定療養費の支給額

特定療養費の額は、下記1に掲げる額(当該療養に食事療養が含まれるときは、当該額及び下記2に掲げる額の合算額)とする。(法第86条第2項)

1.当該療養(食事療養を除く。)につき第76条第2項(厚生労働大臣が定める療養の給付に要する費用の額)の定めを勘案して厚生労働大臣が定めるところにより算定した費用の額(その額が現に当該療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に療養に要した費用の額)から、その額に第74条第1項各号(一部負担金)に掲げる場合の区分に応じ、同項各号に定める割合を乗じて得た額を控除した額

2.当該食事療養につき法第85条第2項(入院時食事療養費)に規定する厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から標準負担額を控除した額

(参考)
1.診察・検査・投薬・入院料などの基礎部分に対して、療養に要した額から一部負担金相当額を控除した金額(療養の給付に相当)が特定療養費として保険給付される。

2.入院した場合に受けた食事療養については、厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から標準負担額を控除した額(入院時食事療養費に相当)が上記1の療養の給付に相当する部分と合わせて特定療養費として保険給付される。

3.特定療養費の支給をうける被保険者の自己負担額は「療養の要した額の一部負担金相当額」、「標準負担額」、「高度先進医療又は選定療養に係る自己負担分」となる。

■領収証の交付

特定承認保険医療機関又は保険医療機関等は、第1項に規定する療養に要した費用につき、その支払を受ける際、当該支払をした被保険者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、領収証を交付しなければならない。(法第86条第6項)

(参考)
特定承認保険医療機関又は保険医療機関等は、特定療養費の「療養の要した額の一部負担金相当額」、「食事療養に要した標準負担額相当額」、「高度先進医療又は選定療養に係る自己負担分」について内容を区分した領収証を交付しなければならない。(施行規則第64条)

■その他の事項

1.病院又は診療所は、同時に特定承認保険医療機関及び保険医療機関であることはできない。(法第86条第7項)

2.特定承認保険医療機関が保険医療機関の指定を受けたときは、その承認を辞退したものとみなす。(法第86条第8項)

3.保険医療機関が特定承認保険医療機関の承認を受けたときは、その指定を辞退したものとみなす。(法第86条第9項)

4.厚生労働大臣は、第1項第1号の高度の医療を提供する病院若しくは診療所の要件を定める厚生労働省令を定めようとするとき、又は第2項第1号の定めをしようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。(法第86条第11項)

5.特定療養費に係る療養の基準等
(1)保険医療機関等が選定療養を行う場合や特定承認医療機関が高度先進医療を行う場合、当該療養を行うに当たり、その種類及び内容に応じて厚生労働大臣の定める基準に従わなければならないほか、あらかじめ、患者に対しその内容及び費用に関して説明を行い、その同意を得なければならない。(療養担当規則第5条の4)

(2)保険医療機関は、その病院又は診療所の見やすい場所に、上記1の療養の内容及び費用に関する事項を掲示しなければならない。(療養担当規則第5条の4第2項))

6.特定承認保険医療機関において診療に従事する医師又は歯科医師は保険医でなければならない。(法第86条第12項)
※法第86条12項の規定が法第64条(保険医又は保険薬剤師)を準用。

7.療養の給付と同様、指定介護療養施設サービスが行われる療養病床等においては、特定療養費の支給は行われない。(法第86条第13項)
※法第86条13項の規定が法第63条第4項(療養病床等において療養の給付を行わない)を準用。

8.保険医療機関において選定療養にかかる診療を担当する医師又は歯科医師は保険医でなければならない。(法第86条第13項)
※法第86条13項の規定が法第64条(保険医又は保険薬剤師)を準用。

  

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