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■社会保険労務士の勉強メモ(健康保険法)




■時効

1.要旨
(1)保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、2年を経過したときは、時効によって消滅する。(法第193条第1項)

(2)保険料その他この法律の規定による徴収金の納入の告知又は督促は、民法第153条 の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。(法第193条第2項)

2.消滅時効の起算日
(1)保険料
その納期限の翌日(昭和3年7月6日保険発第514号)

(参考)
保険料の納期限とは?
納入告知書を発したと否とを問わず法第165条の規定による期限をいう。(昭和3年11月12日保険発第740号)

※ただし、保険料の繰上げ徴収を行う場合の納期限は、繰上徴収日として指定した日である。

(2)保険料以外の徴収金
徴収金を徴収すべき原因たる事実の終わった日(昭和3年7月6日保険発第514号)

(3)保険料の還付
1.法第108条第1項各号に該当したため過納又は誤納となった場合は、過納又は誤納となった日の翌日
2.上記1以外の事由により過納又は誤納となったものについては、その保険料を納付した日の翌日
(昭和3年7月6日保険発第514号)

(4)保険料以外の還付
保険料以外の徴収については納付した日の翌日(昭和3年7月6日保険発第514号)

(参考)
事業主が保険者から保険料過納付分の還付を受け、これを被保険者に返還すべき場合における還付金と返還請求権の時効について
被保険者に返還すべき金額は、広義においては保険料であるが、法第193条の保険料には該当しない。すなわち法第193条の保険料とは保険者と保険料納付義務者との間におけるものであって、従ってこの場合の被保険者又は被保険者であった者の返還請求権については、法第193条の短期時効の適用はない。又右の返還金は報酬とも認められないので民法第167条の適用(よって一般債権となり10年の消滅時効となる)を受ける。(昭和5年7月15日保規第225号)

(5)療養費(償還払いがなされる家族療養費)
療養に要した費用を支払った日の翌日
※療養費の請求権が発生し、かつ、これを行使し得るに至った日の翌日から起算される(昭和31年9月17日保険発第170号)

(6)標準負担額減額特例による差額払いの場合
保険医療機関等の窓口で実際に支払いをなした日の翌日

(7)移送費(家族移送費)
実際に移送に要した費用を支払った日の翌日

(8)傷病手当金及び出産手当金
傷病手当金の請求権の消滅時効は、労務不能であった日ごとにその翌日から起算される。出産手当金についても同様である。(昭和30年9月7日保険発第199号)

(9)出産育児一時金(家族出産育児一時金)
事故発生(出産日)の翌日である。(昭和3年4月16日保理第4147号)

(10)埋葬料(家族埋葬料)
事故発生(死亡日)の翌日である。(昭和3年4月16日保理第4147号)

※埋葬に要した費用に相当する金額の消滅時効の起算日は、埋葬を行った日の翌日である。

(11)高額療養費
診療日の翌月の1日であり、傷病が月の途中で治癒した場合においても同様である。ただし、診療費の自己負担分を、診療月の翌月以後に支払ったときは、支払った日の翌日が起算日となる。(昭和48年11月7日保険発第99号・庁保険発第21号)

(12)その他
1.被保険者資格得喪の届出を遅滞した場合の保険料徴収、保険給付等の起算日
得喪届遅滞により保険者が得喪の事実を知らざるも法律上の資格の得喪ありたる以上、保険料その他の徴収金の徴収又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利の消滅時効は進行するものであって、その起算日は一般被保険者と同様である。(昭和3年11月12日保険発第740号)

2.保険給付還付請求の場合
被保険者資格なき者を被保険者として取り扱ったときの保険給付還付請求権の消滅時効については、政府管掌の場合には会計法第30条の規定により5年、健康保険組合の場合は民法第167条第2項の規定により10年であるが、その起算日は、

(1)療養の給付については療養の給付を行った日の翌日
(2)傷病手当金、出産手当金、出産育児一時金又は埋葬料若しくは埋葬に要した費用に相当する金額については給付した日の翌日すなわち直払のときは小切手を交付した日の翌日、隔地払のときは支払いをなした日の翌日
(昭和3年12月26日保理第2919号)

■期間の計算

1.要旨
この法律又はこの法律に基づく命令に規定する期間の計算については、民法の期間に関する規定を準用する。(法第194条)

2.民法の規定
(1)期間の計算の通則
期間の計算方法は、法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き、この章の規定に従う。(民法第138条)

(2)期間の起算
1.時間によって期間を定めたときは、その期間は、即時から起算する。(民法第139条)

2.日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。(民法第140条)

(3)期間の満了
1.前条(民法第140条)の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。(民法第141条)

2.期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。(民法第142条)

(4)暦による期間の計算
1.週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。(民法第143条第1項)

2.週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。(民法第143条第2項)

(3)具体的な適用例
傷病手当金の支給開始期間は「(略)その支給を始めた日から起算して1年6月を超えないものとする。(法第99条第2項)」となっているので、民法の規定を適用するのなら「期間の初日は算入しない(民法第140条)」のであるが、「法令に特別の定めがある場合(民法第138条)」として、この場合は健康保険法第99条第2項が優先され、当日起算となる。

■印紙税の非課税

1.要旨
健康保険に関する書類には、印紙税を課さない。(法第195条)

2.例示
(1)非課税になる書類
健康保険に関する書類のうち印紙税が非課税となる書類は、保険者または被保険者のなす法律行為に関する書類、委任状等で、保険給付金受領方の委任状、保険給付金領収書、保険給付金受領方の複代理人選任委任状、健康保険組合の組合会の会議表決委任状、健康保険組合が事業主医局を指定する場合に締結する診療契約書など。
(昭和2年5月4日収保第1178号)(昭和30年10月24日保文発第9945号)

(2)非課税にならない書類
療養費支給申請書に添付する証拠書類(領収書等)、保険給付金受領後当該給付金をもって債務の弁済を約した証拠書類等には適用はない。(昭和30年10月24日保文発第9945号)

■戸籍の無料証明

1.要旨
(1)市町村長(特別区の区長及び指定都市の区長)は、保険者又は保険給付を受けるべき者に対して、当該市町村(特別区を含む。)の条例で定めるところにより、被保険者又は被保険者であった者の戸籍に関し、無料で証明を行うことができる。(法第196条第1項)

(2)上記(1)の規定は、被扶養者に係る保険給付を行う場合においては、被扶養者又は被扶養者であった者の戸籍について準用する。(法第196条第2項)

2.「戸籍に関し」とは?
(1)証明を求めることのできる事項
被保険者又は被保険者であった者の事項のみに限らず是等の者と同一戸籍内にある他の者の事項をも含む。(大正15年9月13日民事第7114号司法次官回答)

(2)死産児に関する事項
出生届その他出生に関し市区町村長に於いて受理した種類に記載してある事項については証明を求められるが、死産に関する事項については証明を求めることはできない。(昭和3年7月25日保理第1899号)

(3)埋火葬許可証に関する事項
埋葬料または埋葬に要した費用に相当する金額の支給申請のときに添付する埋火葬許可証の写しは戸籍に関する証明に該当しない。(昭和3年7月25日保理第1899号)

(4)戸籍謄本又は抄本の交付
戸籍の謄本または抄本の無償交付の請求は、戸籍に関する証明として請求し得ない。(昭和2年3月11日保理第1073号)

※住民票の写しの交付請求、戸籍に関する届出の受理または不受理の証明も戸籍に関する証明に該当しない。

■立入検査等

1.要旨
(1)厚生労働大臣又は社会保険庁長官は、被保険者の資格、標準報酬、保険料又は保険給付に関して必要があると認めるときは、事業主に対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該職員をして事業所に立ち入って関係者に質問し、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。(法第198条第1項)

(2)上記(1)の質問又は検査を行う当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならなず、その権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。(法第198条第2項)

2.解釈
(1)権限行使
健康保険組合の設立されている事業所の事業主に対しては厚生労働省保険局が、政府管掌健康保険の適用事業所の事業主に対しては社会保険庁が、この規定による権限を行使する。

(2)保険給付
療養の給付に関してもこの規定が適用できる。

(3)文書の提出
1.事業主が厚生労働大臣又は社会保険庁長官に提出すべき書類は、その事業所の所在地を管轄する地方社会保険事務局長を経由しなければならない。(施行規則第158条第1項)

2.健康保険組合の事業主又は健康保険組合を設立しようとする事業主が厚生労働大臣又は社会保険庁長官に提出すべき書類は、その事業所の所在地を管轄する地方厚生局長等を経由しなければならない。 (施行規則第158条第2項)

(4)関係者
関係者とは、事業所の関係者であり、被扶養者は含まない。(昭和32年9月2日保発第123号)

3.参考規定
(1)厚生労働大臣は、保険給付を行うにつき必要があると認めるときは、医師、歯科医師、薬剤師若しくは手当を行った者又はこれを使用する者に対し、その行った診療、薬剤の支給又は手当に関し、報告若しくは診療録、帳簿書類その他の物件の提示を命じ、又は当該職員に質問させることができる。(法第60条第1項)

(2)厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、療養の給付又は入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給を受けた被保険者又は被保険者であった者に対し、当該保険給付に係る診療、調剤又は第八十八条第一項に規定する指定訪問看護の内容に関し、報告を命じ、又は当該職員に質問させることができる。(法第60条第2項)

(3)上記(1)及び(2)の質問を行う当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならなず、その権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。(法第60条第3項)

■権限の委任

1.地方社会保険事務局長への権限委任
(1)厚生労働大臣及び社会保険庁長官の権限の一部は、政令で定めるところにより、地方社会保険事務局長に委任することができる。(法第204条第1項)

(2)上記(1)の規定により地方社会保険事務局長に委任された権限の一部は、政令で定めるところにより、社会保険事務所長に委任することができる。(法第204条第2項)

2.地方厚生局長への権限委任
(1)厚生労働大臣の権限のうち健康保険組合の指導及び監督に係るものの一部は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。 (法第205条第1項)

(2)上記(1)の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。(法第205条第2項)

  

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