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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成13年雇用-第9問(労働保険料等の徴収)
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■平成13年雇用-第9問(労働保険料等の徴収)

労働保険料等の徴収に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)事業主がいわゆる認定決定に係る確定保険料又はその不足額を納付する場合には、その納付すべき額(その額に千円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)に100分の10を乗じて得た額の追徴金を納付しなければならないが、天災、営業の不振、資金難等やむを得ない理由による場合は、追徴金を徴収しないこととされている。

(B)保険料率の引上げによる概算保険料の追加徴収の決定通知は、所轄都道府県労働局歳入徴収官が期限を指定して、納付すべき労働保険料の額を事業主に対して通知するが、当該決定は行政処分ではなく、事実の通知に過ぎないため、不服申立てをすることはできない。

(C)事業主が事業を廃止した場合において、既に納付した概算保険料の額が確定保険料の額を超えるときは、当該超える部分の額については、精算返還金として事業主に還付されることになるが、事業主が還付を受ける権利は民法の規定により5年間行使しないと、時効により消滅する。

(D)労働保険の保険料の徴収等に関する法律は、都道府県及び市町村の行う事業については、労働者災害補償保険に係る保険関係及び雇用保険に係る保険関係は両保険ことに別個の事業とみなして適用される。

(E)事務組合は、その処理する労働保険事務に関する事項を記載した帳簿を事務所に備えておかなければならず、当該帳簿に虚偽の記載をした場合には当該事務組合の代表者又は代理人は6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられるが、使用人その他の従業員が処罰されることはない。



■解説

(A)誤り
法21条1項、昭和30年8月22日基発540号
政府は、事業主が認定決定による労働保険料又はその不足額を納付しなければならない場合には、その納付すべき額(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)に100分の10を乗じて得た額の追徴金を徴収することになっているが、事業主が天災その他やむを得ない理由により、認定決定による労働保険料又はその不足額を納付しなければならなくなった場合は、追徴金は徴収されないことになっている。
なお、「天災その他やむを得ない理由」とは、地震、火災、洪水等の客観的事故による真にやむを得ない場合に限定されており、「営業の不振、資金難等」は含まれない。
よって、「追徴金を徴収しない」とした問題文は誤りである。

(B)誤り
法17条、法38条、則26条
保険料率の引上げによる概算保険料の追加徴収の決定通知は、所轄都道府県労働局歳入徴収官が行った行政処分に該当する。
よって、その決定に不服がある場合は、厚生労働大臣に対して審査請求することができ、「当該決定は行政処分ではなく、事実の通知に過ぎないため、不服申立てをすることはできない」とした問題文は誤りである。

(C)誤り
法41条1項
労働保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、2年を経過したときは、時効によって消滅することになっている。
よって、「事業主が還付を受ける権利は民法の規定により5年間行使しないと、時効により消滅する」とした問題文は誤りとなる。

(D)正解
法39条1項、則66条
都道府県及び市町村の行う事業については、当該事業を労災保険に係る保険関係及び雇用保険に係る保険関係ごとに別個の事業とみなして適用されることになっている。(ニ元適用事業)
なお、国の行う事業については、労災保険に係る保険関係が成立することがないため、一元適用事業とされている。(法39条2項)

(参考)
ニ元適用事業とされているもの
1.都道府県及び市町村の行う事業
2.都道府県に準ずるもの及び市町村に準ずるものの行う事業
3.港湾労働法による港湾運送の行為を行う事業
4.農林水産の事業
5.建設の事業

(E)誤り
法36条、法47条1号、則64条、則70条
労働保険事務組合は、その処理する労働保険事務に関する事項を記載した次の帳簿を事務所に備えておかなければならない。
1.労働保険事務処理委託事業主名簿(保存期間3年)
2.労働保険料等徴収及び納付簿(保存期間3年)
3.雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿(保存期間4年)
そして、労働保険事務組合が、帳簿を備えておかず、又は帳簿に労働保険事務に関する事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をした場合については、労働保険事務組合の代表者又は代理人、使用人その他の従業者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられることになっている。
よって、「使用人その他の従業員が処罰されることはない」とした問題文は誤りである。

  

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