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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成16年雇用-第9問(労働保険料の納付)
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■平成16年雇用-第9問(労働保険料の納付)

労働保険料の納付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)概算保険料について、当該保険年度末又は事業終了時までの間に賃金総額の見込額が2倍を超えて増加することが見込まれる場合で、かつ、その増加額が当該概算保険料との額の差額が13万円以上である場合には、継続事業であるか有期事業であるかにかかわらず、当該賃金総額の増加が見込まれた日の翌日から起算して30日以内に申告・納付を行わなければならない。

(B)保険年度の中途に保険関係が成立した継続事業にあっては、納付すべき概算保険料が40万円以上であっても、8月31日までに最初の期分の納付ができなければ、概算保険料の納付の延納は認められない。

(C)所定の納期限までに概算保険料申告書を提出しなかった事業主が、所轄都道府県労働局歳入徴収官より納付すべき概算保険料の通知を受けたときは、当該事業主は、その通知された保険料額に100分の10を乗じて得た額の追徴金を加えて、通知を受けた日の翌日から起算して15日以内に納付しなければならない。

(D)政府が労働保険料及び追徴金を納付しない者に対して期限を指定して督促した場合に、当該者が指定された納期限までに労働保険料及び追徴金を納付しないときは、当該労働保険料及び追徴金の額につき年14.6パーセントの割合で延滞金を徴収することとなるが、当該労働保険料及び追徴金の額が千円未満のとき又は労働保険料及び追徴金を納付しないことについてやむを得ない理由があると認められるときは、延滞金を徴収しない。

(E)事業主が印紙保険料の納付を怠った場合に、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、その納付すべき印紙保険料の額を決定し、これを事業主に通知することとされており、その納付は原則として現金により納付することとなっているが、雇用保険印紙によっても行うことができる。



■解説

(A)正解
法16条、則25条1項
増加後の保険料算定基礎額の見込額が増加前の保険料算定基礎額の見込額の100分の200を超え、かつ、増加後の保険料算定基礎額の見込額に基づき算定した概算保険料の額と既に納付した概算保険料の額との差額が13万円以上であるときは、継続事業であるか有期事業であるかにかかわらず、その日(概算保険料の増加が見込まれた日)から30日以内(翌日起算)に、増加後の見込額に基づく労働保険料の額と納付した労働保険料の額との差額を、所定の事項を記載した増加概算保険料申告書に添えて納付する必要がある。

(B)誤り
法18条、則27条1項
保険年度の途中に保険関係が成立した場合であっても、保険関係成立日が10月1日前である場合は延納することができる。
その場合、最初の期分の納期限は保険関係成立日の翌日から起算して50日以内となっている。(9月30日に保険関係が成立した場合、最初の期分の保険料を11月19日までに納付できれば延納は可能である)
よって、「8月31日までに最初の期分の納付ができなければ、概算保険料の納付の延納は認められない」とした問題分は誤りである。

(参考)
保険年度の途中に保険関係が成立した場合
保険関係成立日が4月1日から5月31日までの場合は3回に分けて概算保険料を延納することができ、それぞれの納期限は、最初の期分(保険関係成立日から7月31日まで)の納期限(保険関係成立日の翌日から起算して50日以内)、第2の期分(8月1日から11月30日まで)の納期限(10月31日)、第3の期分(12月1日から翌年3月31日まで)の納期限(1月31日)となっている。
また、保険関係成立日が6月1日から9月30日の場合は2回に分けて概算保険料を延納することができ、それぞれの納期限は、最初の期分(保険関係成立日から11月30日まで)の納期限(保険関係成立日の翌日から起算して50日以内)、第2の期分(12月1日から翌年3月31日まで)の納期限(1月31日)となっている。
なお、保険関係成立日が10月1日以後の場合は延納することができない。※労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している場合は、第2の期分以降の納期限のうち、10月31日の納期限が11月14日、1月31日の納期限が2月14日となるので注意すること

(C)誤り
法21条1項、法25条2項
政府は、事業主が認定決定に係る確定保険料又はその不足額を納付しなければならない場合には、その納付すべき額(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てる。)に100分の10を乗じて得た額の追徴金を徴収することになっている。
ただし、事業主が天災その他やむを得ない理由により、認定決定に係る確定保険料又はその不足額を納付しなければならなくなった場合は追徴金は徴収されない。
また、正当な理由がないと認められるにもかかわらず、印紙保険料の納付を怠ったときは、認定決定された印紙保険料の額(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てる。)の100分の25に相当する額の追徴金が徴収されることになっている。
よって、追徴金は、「認定決定に係る確定保険料又はその不足額」及び「認定決定された印紙保険料」を納付しない場合に徴収されるものであり、認定決定に係る概算保険料については、追徴金は徴収されないので問題文は誤りである。
※追徴金の額が1,000円未満の場合には追徴金は徴収されない。
なお、認定決定に係る確定保険料については、認定決定の通知を受けた日の翌日から起算して15日以内に納付しなければならず、追徴金については、通知を発する日から起算して30日を経過した日までに納付しなければならないこととされている。

(D)誤り
法26条1項、法27条1項
労働保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しない者があるときは、政府は、期限を指定して督促しなければならないことになっている。
そして、政府は、労働保険料の納付を督促したときは、労働保険料の額につき年14.6パーセントの割合で、納期限の翌日からその完納又は財産差押えの日の前日までの日数により計算した延滞金を徴収することになっている。(労働保険料の額が1,000円未満であるとき等は、延滞金は徴収しない。)
よって、労働保険料については延滞金を徴収することができるが、追徴金については労働保険料ではないので、督促をしたとしても延滞金を徴収することはできず、「当該労働保険料及び追徴金の額につき年14.6パーセントの割合で延滞金を徴収する」とした問題文は誤りである。

(E)誤り
法25条1項、則38条3項2号、則38条5項、昭和62年3月26日労徴発19号
事業主が印紙保険料の納付を怠たった場合には、所轄都道府県労働局歳入徴収官がその納付すべき印紙保険料の額を決定し、納入告知書によって事業主に通知することになっている。
なお、認定決定された印紙保険料及びその追徴金は、雇用保険印紙で納入することができず、現金で納入する必要がある。
よって、「雇用保険印紙によっても行うことができる」とした問題分は誤りである。

  

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