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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成17年雇用-第10問(労働保険事務組合)
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■平成17年雇用-第10問(労働保険事務組合)

労働保険事務組合に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
なお、本問において事務組合とは、労働保険事務組合のことをいう。


(A)事業の全期間が6か月を超える有期事業については、納付すべき概算保険料の額が75万円以上でなければ労働保険料を延納することができないが、労働保険事務の処理を事務組合に委託している場合には、概算保険料の額のいかんにかわらず延納することができる。

(B)事務組合に委託する事業主が、労働保険料その他の徴収金を納付するため、金銭を事務組合に交付したときは、その金額の限度で、事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付責任がある。

(C)事務組合の責めに帰すべき事由によって生じた労働保険料の延滞金については、当該事務組合に対して国税滞納処分の例によって処分してもなお徴収すべき残余がある場合であっても、政府は、その残余の額を当該事務組合に事務処理を委託している事業主から徴収することができない。

(D)事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主が労働保険料を納付しない場合、政府は、その事務組合に対して督促をすることができ、当該督促は当該委託事業主に対して行われたものとみなされる。

(E)有期事業について、労働保険料を延納する場合、労働保険事務の処理を事務組合に委託している事業主であっても、納付期限は事務組合に委託していない事業主と同じに設定されている。



■解説

(A)正解
法18条、則28条1項
有期事業であって、納付すべき概算保険料の額が75万円以上のもの又は当該事業に係る労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されているもの(事業の全期間が6月以内のものを除く。)についての事業主は、申請することにより概算保険料を延納することができる。
なお、労働保険事務組合に労働保険事務処理を委託している場合は概算保険料の額は問われないことになっている。

(B)正解
法35条1項
事業主が労働保険関係法令の規定による労働保険料その他の徴収金の納付のため、金銭を労働保険事務組合に交付したときは、その金額の限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとされている。

(C)誤り
法35条2項・3項
政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収について労働保険事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずることになっている。
そして、労働保険事務組合が納付すべき徴収金については、政府が労働保険事務組合に対して滞納処分を行っても、なお徴収すべき残余がある場合に限り、その残余の額を当該事業主から徴収することができることになっている。
よって、「国税滞納処分の例によって処分してもなお徴収すべき残余がある場合であっても、政府は、その残余の額を当該事務組合に事務処理を委託している事業主から徴収することができない」とした問題文は誤りである。

(D)正解
法34条
政府は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に対してすべき労働保険関係法令の規定による労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付については、これを労働保険事務組合に対してすることができる。
この場合において、労働保険事務組合に対してした労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付は、当該事業主に対してしたものとみなされることになっている。

(E)正解
法18条、則28条2項
有期事業について延納をする場合は、その概算保険料の額を期の数で除して得た額を各期分の概算保険料として、最初の期分の概算保険料については保険関係成立の日の翌日から起算して20日以内に、2期目以降については、4月1日から7月31日までの期分の概算保険料については3月31日までに、8月1日から11月30日までの期分の概算保険料について10月31日までに、12月1日から翌年3月31日までの期分の概算保険料については1月31日までに、それぞれ納付しなければならないことになっている。
なお、最初の期分については、保険関係成立日から保険関係成立日の属する期の末日までの期間が2か月を超える場合は、保険関係成立日からその日の属する期の末日までを、2か月以内の場合は、保険関係成立日の属する期と次の期を合算した期間を、最初の期とすることになっている。
また、継続事業の事業主が延納した場合の各期の納期限では、労働保険事務組合に労働保険事務処理を委託している場合、第2期分(8月1日から11月30日)と第3期分(12月1日から翌年3月31日)の納期限がそれぞれ14日遅く設定されているが、有期事業の場合は、労働保険事務組合に労働保険事務処理を委託しているかどうかに関係なく納期限は同じである。

(参考)
継続事業の事業主が延納した場合の各期の納期限(則27条2項)
各期 事務処理委託なし 事務処理委託あり
第1期(4月1日から7月31日) 7月10日 7月10日
第2期(8月1日から11月30日) 10月31日 11月14日
第3期(12月1日から翌年3月31日) 1月31日 2月14日

  

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