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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成18年雇用-第10問(労働保険事務組合)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成18年雇用-第10問(労働保険事務組合)

労働保険事務組合(以下「事務組合」という。)に関する次の記述のうち正しいものはどれか。

(A)事務組合に委託された労働保険事務については、原則として、当該事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する行政庁を所轄行政庁としているが、この場合の行政庁に労働基準監督署は含まれない。

(B)事務組合に委託をすることが可能な事業主は、事務組合としての認可を受けた事業主団体又はその連合団体の構成員に限られ、これらの団体又は連合団体の構成員以外の者は含まれない。

(C)事務組合は、事業主の委託を受けて、事業主が行うべき労働保険料の納付その他の労働保険に関する事項を処理することができるが、この事項には印紙保険料に関する事項も含まれる。

(D)政府は、事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に対してすべき労働保険料の納入の告知等を、その事務組合に対してすることができるが、この場合、事務組合と委託事業主との間の委託契約の内容によっては、その告知等の効果が委託事業主に及ばないことがある。

(E)事務組合の認可の取消事由には、徴収法等の労働保険関係法令の規定に違反したときのほか、その行うべき労働保険事務の処理を怠り、又はその処理が著しく不当であると認められる場合も含まれる。



■解説

(A)誤り
則65条
労働保険事務組合であって、事業主から処理を委託される労働保険事務が労災二元適用事業等のみに係るものについては、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長及び労働基準監督署長並びに都道府県労働局労働保険特別会計歳入徴収官が所轄行政官庁となる。
よって、「行政庁に労働基準監督署は含まれない」とした問題文は誤りである。

(B)誤り
法33条1項・2項、則58条1項・2項
事業主の団体又はその連合団体(法人でない団体又は連合団体であって代表者の定めがないものを除く。)は、厚生労働大臣の認可(都道府県労働局長に委任)を受けた場合には、次の事業規模に該当する事業主の委託を受けて、これらの者が行うべき労働保険事務を処理することができることになっている。
1.事業の規模
常時300人(金融業若しくは保険業、不動産業又は小売業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以内の労働者を使用する事業主
2.委託事業主
(1)団体の構成員又は連合団体を構成する団体の構成員である事業主
(2)上記以外の事業主であって、労働保険事務の処理を事業主の団体又はその連合団体に委託することが必要であると認められるもの
よって、「事務組合としての認可を受けた団体又は連合団体の構成員以外の者は含まれない」とした問題文は誤りである。

(C)誤り
法33条1項、平成12年3月31日発労徴第31号
次の事務については、労働保険事務組合に委託することができないことになっている。
1.印紙保険料に関する手続
2.労災保険の保険給付及び社会復帰促進等事業として行う特別支給金に関する請求書等に係る事務手続及びその代行
3.雇用保険の給付に関する請求書等に係る事務手続及びその代行
4.雇用保険二事業に係る事務手続及びその代行
よって、「印紙保険料に関する事項も含まれる」とした問題文は誤りである。

(参考)
労働保険事務組合に委託することができる事務の範囲
1.概算保険料、確定保険料その他労働保険料及びこれに係る徴収金の申告、納付
2.雇用保険の被保険者資格の取得及び喪失の届出、被保険者の転入及び転出の届出その他雇用保険の被保険者に関する届出等に関する手続
3.保険関係成立届、労災保険又は雇用保険の任意加入申請書、雇用保険の事業所設置届等の提出に関する手続
4.労災保険の特別加入申請、変更届、脱退申請等に関する手続
5.労働保険事務処理の委託、委託解除に関する手続
6.その他労働保険の適用徴収に係る申請、届出、報告等に関する手続

(D)誤り
法34条
政府は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に対してすべき労働保険関係法令の規定による労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付については、これを労働保険事務組合に対してすることができる。
そして、この場合において、労働保険事務組合に対してした労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付は、当該事業主に対してしたものとみなされることになっており、この規定は、労働保険事務組合と委託事業主との委託契約の内容に拘束されることはない。
よって、「事務組合と委託事業主との間の委託契約の内容によっては、その告知等の効果が委託事業主に及ばないことがある」とした問題文は誤りである。

(E)正解
法33条4項、平成12年3月31日発労徴第31号
厚生労働大臣は、労働保険事務組合が、労働保険関係法令の規定に違反したとき、又はその行うべき労働保険事務の処理を怠り、若しくはその処理が著しく不当であると認めるときは、認可を取り消すことができることになっている。(この厚生労働大臣の権限は都道府県労働局長に委任されている)
よって、問題文は正解である。
なお、労働保険事務組合が認可基準の規定に反したときも都道府県労働局長は、認可の取消しをすることができることになっている。

  

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