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■社会保険労務士試験過去問研究室 | |||||
労働保険徴収法の雑則及び罰則に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (A)労働保険徴収法第15条第3項の規定により概算保険料の額を決定した場合に都道府県労働局歳入徴収官が行う通知には、時効中断の効力はない。 (B)労働保険料その他労働保険徴収法の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、5年を経過したときは、時効によって消滅する。 (C)事業主が、労働保険徴収法第42条の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は文書を提出せず、若しくは虚偽の記載をした文書を提出した場合には罰則規定が適用されるが、労働保険事務組合については、同様の場合であっても罰則規定は適用されない。 (D)事業主若しくは事業主であった者又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であった団体は、労働保険徴収法又は労働保険徴収法施行規則による書類を、その完結の日から5年間保存しなければならない。 (E)雇用保険暫定任意適用事業の事業主が、当該事業に使用される労働者の2分の1以上が希望する場合において、その希望に反して雇用保険の加入の申請をしなかった場合、当該事業主には罰則規定が適用される。
(A)誤り 法41条2項 時効の中断とは、中断事由が生ずるとそれまでに経過した時効期間が効力を失うことをいい、中断事由が終了すれば再び時効は進行するが、中断前の時効期間は通算されないとされている。政府が労働保険料等の徴収の告知又は督促を行った場合には、「催告については、6か月以内に裁判上の請求その他の行為を行わない限り、時効中断の効力を生じない」とする民法の規定にかかわらず、時効中断の効力を生ずることとされている。 ここでの「徴収の告知又は督促」とは、次のものをいう。 (1)認定決定した概算保険料についての通知 (2)保険料率の引き上げによる概算保険料の追加納付額についての通知 (3)認定決定した確定保険料についての納入の告知 (4)有期事業に係るメリット制の適用に伴う確定保険料の差額(納付不足額)についての納入の告知 (5)追徴金についての納入の告知 (6)認定決定した印紙保険料及びこれに係る追徴金についての納入の告知 (7)延滞金についての納入の告知 (8)労働保険料等についての督促状による督促 よって、「時効中断の効力はない。」とした問題文は誤りとなる。 (B)誤り 法41条1項 労働保険徴収法の規定による徴収金を徴収する権利又は徴収金の還付を受ける権利の消滅時効の期間は2年とされている。 よって、「5年」とした問題文は誤りとなる。 (C)誤り 法46条、法47条、法48条 事業主が、労働保険徴収法第42条の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は文書を提出せず、若しくは虚偽の記載をした文書を提出した場合には6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられることになっている。これは労働保険事務組合の場合も同様である。 よって、「労働保険事務組合については、同様の場合であっても罰則規定は適用されない。」とした問題文は誤りとなる。 なお、この場合、両罰規定により法人等にも罰金刑が科される場合があるが、罰金刑に限定されているのは、法人の場合はその性質上懲役刑等の自由刑は科し得ないわけであり、自然人の場合はこれが不可能ではないが、連座的に自由刑まで科するのは行き過ぎと考えられるためである。ただし、法人等が当該違反行為の防止のため相当の注意及び監督を尽くしたことの証明があるときは、その法人等については罰則の適用はないと解するべきとされている。 (D)誤り 則70条 事業主若しくは事業主であった者又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であった団体は、労働保険徴収法又は労働保険徴収法施行規則による書類を、その完結の日から3年間(雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿は4年間)保存しなければならないとされている。 よって、「完結の日から5年間」とした問題文は誤りとなる。 (E)正解 法附則2条3項、法附則7条1項 雇用保険の暫定任意適用事業に雇用される労働者の2分の1以上のものが加入に同意し、又はこれを希望する場合には、事業主は、任意加入の申請をし、認可があったときに当該事業に雇用される者全員につき雇用保険に加入することとなっているが、この労働者の希望に反して事業主がしなかった場合及び事業主が加入を希望した労働者に対して不利益取扱いをした場合は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられることになっている。(この場合、両罰規定により法人等にも罰金刑が科される場合がある。) よって、問題文は正解となる。 |
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