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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成26年雇用-第10問(追徴金等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成26年雇用-第10問(追徴金等)

追徴金等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)事業主が、所定の期限までに概算保険料申告書を提出しなかったことにより、所轄都道府県労働局歳入徴収官より納付すべき労働保険料の額の通知を受けたときは、当該事業主は、通知された労働保険料の額及び当該保険料の額(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てる。)に100分の10を乗じて得た額の追徴金を納付しなければならない。

(B)事業主が、提出した確定保険料申告書に記載の誤りがあり、所轄都道府県労働局歳入徴収官より納付すべき労働保険料の額の通知を受けたときは、当該事業主は、納付した概算保険料の額が、当該通知を受けた額に足りないときは、その不足額(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てる。)に100分の10を乗じて得た額の追徴金を納付しなければならない。ただし、法令の不知、営業の不振等やむを得ない理由による場合は、追徴金を徴収しないこととされている。

(C)所轄都道府県労働局歳入徴収官は、追徴金を納期限までに納付しない事業主に対し、期限を指定して当該追徴金の納付を督促するが、当該事業主は、その指定した期限までに納付しない場合には、未納の追徴金の額につき、所定の割合に応じて計算した延滞金を納付しなければならない。

(D)事業主が、印紙保険料の納付を怠ったことについて正当な理由がないと認められる場合には、所轄都道府県労働局歳入徴収官は調査を行い、印紙保険料の額を決定し、これを事業主に通知することとされているが、当該事業主は、当該決定された印紙保険料の額(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てる。)に100分の10を乗じて得た額の追徴金を納付しなければならない。

(E)事業主が、行政庁の職員による実地調査等によって印紙保険料の納付を怠っていることが判明し、正当な理由によって納付することができなかったことが認められた場合には、所轄都道府県労働局歳入徴収官は調査を行い、印紙保険料の額を決定し、調査決定の上納入告知書を発することとされているが、当該決定された印紙保険料の納期限は、調査決定をした日から 20日以内の休日でない日とされている。



■解説

(A)誤り
法21条1項
追徴金とは、納付すべき金額を不当に納付しない場合に課する懲罰的金銭とされているが、認定決定に係る確定保険料又はその不足額を納付しなければならない場合に徴収することとされている。
しかしながら、概算保険料については、概算的前払保険料であり、たとえ政府がその額を決定したとしても、概算的性格のものであることに変わりないので、これについて追徴金を賦課することは適当でないところから、確定保険料についてのみ追徴金が徴収されることになっている。
よって、「所定の期限までに概算保険料申告書を提出しなかったことにより」とした問題文は誤りとなる。
なお、追徴金の額は、納付すべき確定保険料又はその不足額に100分の10を乗じて得た額で、確定保険料又はその不足額に1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てることとされている。

(B)誤り
法21条1項、昭和56年9月25日労徴発68号
認定決定に係る確定保険料又はその不足額を納付しなければならない場合には追徴金を徴収することとされており、その額は、納付すべき確定保険料又はその不足額に100分の10を乗じて得た額で、確定保険料又はその不足額に1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てることとされている。
しかしながら、認定決定に係る確定保険料又はその不足額を納付しなければならない場合であっても、当該納付が天災その他やむを得ない理由によるものであるときは、追徴金を徴収しないこととされている。
ここでいう、「天災その他やむを得ない理由」とは、地震、火災、洪水、暴風雨等不可抗力なできごと及びこれに類する真にやむを得ない客観的な事故をいい、法令の不知、営業の不振、資金難等は含まれないとされている。
よって、「法令の不知、営業の不振等やむを得ない理由による場合は、追徴金を徴収しないこととされている。」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法21条、法26条、法27条
追徴金を徴収しようとする場合には、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、通知を発する日から起算して30日を経過した日をその納期限と定め、納入告知書により、事業主に、当該追徴金の額及び納期限を通知することになっている。
そして、その納入告知書による指定期限までにその完納がない場合、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、期限を指定して当該追徴金の納付を督促することになっている。
しかしながら、督促状の指定期限までに追徴金の納付がない場合であっても、延滞金を課すことはできない。
延滞金は、滞納保険料に対する公法上の遅延利息であるとともに、行政罰たる性質を併有しているものであり、延滞金を徴収するのは「労働保険料の納付を督促したとき」である。
よって、「延滞金を納付しなければならない。」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法25条
事業主が印紙保険料の納付を怠った場合には、政府は、その納付すべき印紙保険料の額を決定し、これを事業主に通知することになっているが、正当な理由がないと認められるにもかかわらず、印紙保険料の納付を怠ったときは、その決定された印紙保険料額(1,000円未満の端数は切り捨て)の100分の25に相当する額の追徴金を徴収することになっている。
よって、「100分の10を乗じて得た額の追徴金」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
法25条、平成15年3月31日基発0331002号
印紙保険料納付状況報告書による報告、行政庁の職員による実地調査等により、事業主が印紙保険料の納付を怠ったことが認められた場合には、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、当該保険料額を調査し、これを決定のうえ、納入告知書により、事業主に通知することとされているが、当該決定された印紙保険料の納期限は、調査決定をした日から20日以内の休日でない日とされている。
よって、問題文は正解となる。
なお、正当な理由がないと認められるにもかかわらず、印紙保険料の納付を怠ったときは、その決定された印紙保険料額(1,000円未満の端数は切り捨て)の100分の25に相当する額の追徴金が徴収されることになっている。

  

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