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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成28年雇用-第9問(印紙保険料)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成28年雇用-第9問(印紙保険料)

印紙保険料に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)請負事業の一括の規定により元請負人が事業主とされる場合は、当該事業に係る労働者のうち下請負人が使用する日雇労働被保険者に係る印紙保険料についても、当該元請負人が納付しなければならない。

(B)事業主は、その使用する日雇労働被保険者については、印紙保険料を納付しなければならないが、一般保険料を負担する義務はない。

(C)雇用保険印紙購入通帳の交付を受けている事業主は、印紙保険料納付状況報告書により、毎月における雇用保険印紙の受払状況を翌月末日までに、所轄公共職業安定所長を経由して、所轄都道府県労働局歳入徴収官に報告しなければならないが、日雇労働被保険者を一人も使用せず雇用保険印紙の受払いのない月に関しても、報告する義務がある。

(D)事業主は、正当な理由がないと認められるにもかかわらず、印紙保険料の納付を怠ったときは、認定決定された印紙保険料の額(その額に1000円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる)の100分の10に相当する追徴金を徴収される。

(E)印紙保険料を所轄都道府県労働局歳入徴収官が認定決定したときは、納付すべき印紙保険料については、日本銀行(本店、支店、代理店及び歳入代理店をいう。)に納付することはできず、所轄都道府県労働局収入官吏に現金で納付しなければならない。



■解説

(A)誤り
法8条1項、法23条1項、則7条
請負事業の一括が行われるのは、労災保険に係る保険関係が成立している事業についてだけであり、雇用保険に係る保険関係については行われない。したがって、数次の請負による建設の事業であっても、雇用保険に係る保険関係については、元請負事業に一括することなく、他の一般の事業の場合と同様、請負関係の如何にかかわらず、事業としての適用単位が決められ、それぞれの事業ごとに労働保険徴収法が適用される。
よって、請負事業の一括により元請負人が事業主とされる場合であっても、元請負人が使用する日雇労働被保険者に係る印紙保険料は元請負人が、下請負人が使用する日雇労働被保険者に係る印紙保険料は下請負人が納付する必要があるため、問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法31条
日雇労働被保険者は、一般保険料の額に係る負担額のほか、印紙保険料の額の2分の1の額(その額に1円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)を負担するものとされている。
また、事業主は、一般保険料の額のうち労災保険料率に応ずる部分の額及び一般保険料額のうち雇用保険率に応ずる部分の額のうち事業主が負担すべき額に相当する額並びに印紙保険料の額の2分の1の額を負担しなければならないことになっている。
よって、「一般保険料を負担する義務はない。」とした問題文は誤りとなる。

(C)正解
法24条、則54条
雇用保険印紙により印紙保険料を納付する事業主は、毎月における雇用保険印紙の受払状況を翌月末日までに、「印紙保険料納付状況報告書」によって、所轄都道府県労働局歳入徴収官に報告しなければならない。日雇労働被保険者を一人も使用せず、印紙の受払のない月であっても、雇用保険印紙購入通帳の交付を受けている事業主については、その旨をこの報告書の備考欄に記入して報告する必要がある。
よって、問題文は正解となる。
なお、納付計器により印紙保険料を納付する事業主は、毎月における納付計器の使用状況を翌月末日までに「印紙保険料納付計器使用状況報告書」によって、当該事業場を管轄する公共職業安定所長を経由して、管轄の都道府県労働局歳入徴収官に報告しなければならない。雇用保険印紙と納付計器を併用して印紙保険料を納付する場合には、「印紙保険料納付状況報告書」と併せて「印紙保険料納付計器使用状況報告書」を提出しなければならないことになっている。

(D)誤り
法25条2項、法46条、昭和56年9月25日労徴発68号
事業主が印紙保険料の納付を怠った場合には、政府は、その納付すべき印紙保険料の額を決定し、これを事業主に通知する。そして、印紙保険料の納付を怠ったことについて正当な理由がないと認められるときは、政府は、決定した印紙保険料の額の100分の25に相当する額の追徴金を調査決定のうえ納入告知書を発して徴収することとされている。
正当な理由については、社会通念によって判断して事業主が日雇労働被保険者手帳に雇用保険印紙を貼付できないことについてこれを正当化するに足りる客観的事情をいうのであって、事業主の個人的事情によるものは含まれない。なおこれを例示すると次のとおりである。
(1)天災地変等により雇用保険印紙の購入ができないため雇用保険印紙を貼付できなかったとき。
(2)日雇労働被保険者が手帳を事業場に持参しなかった場合にその手帳を持参せしめることが困難であり、かつ、その後においても事業場で手帳に雇用保険印紙を貼付する機会がないために雇用保険印紙を貼付できなかったとき。
(3)日雇労働被保険者が事業主の督促にもかかわらず手帳を提出することを拒んだことによって雇用保険印紙を貼付できなかったとき。
よって、「100分の10」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法25条1項、則38条3項
政府による認定決定に係る印紙保険料及び追徴金は所轄都道府県労働局歳入徴収官が徴収することとなっているので、事業主は、雇用保険印紙によらず、現金により、日本銀行又は所轄都道府県労働局労働保険特別会計収入官史に納付することとなる。
よって、「日本銀行に納付することはできず」とした問題文は誤りとなる。

  

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