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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成20年労災-第8問(労働保険の手続)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成20年労災-第8問(労働保険の手続)

労働保険の手続に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問において、「労働保険徴収法施行規則」とは「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則」のことであり、「事業主」とは「継続事業のみを行っている事業主」のことである。

(A)確定保険料申告書の提出先は、所轄都道府県労働局歳入徴収官であるが、労働保険徴収法施行規則第38条第2項の各号に定める区分により、日本銀行(本店、支店、代理店及び歳入代理店をいう。以下同じ。)又は労働基準監督署を経由して提出することができる。ただし、確定保険料申告書を提出しようとする場合において、納付すべき労働保険料がないときは、日本銀行を経由して行うことはできない。

(B)政府は、事業主が概算保険料申告書を所定の期限までに提出しないとき、又は概算保険料申告書の記載に誤りがあると認めるときは、当該労働保険料の額を決定し、これを事業主に通知することとなるが、事業主は、その通知を受けた日から30日以内に納入告知書により納付しなければならない。

(C)6月1日に労働保険に係る保険関係が成立した事業(当該事業に係る労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されているものを除く。)について、その納付すべき概算保険料が40万円以上である場合、事業主は、概算保険料申告書の提出の際に、延納申請をすることにより、当該保険料を8月31日までと、翌年1月31日までとの2回に分割して納付することができる。(一部改正)

(D)事業主が労働保険料を所定の納期限までに納付せず、政府から督促を受けた場合、督促状に指定された期限までに当該労働保険料を完納したときは、所定の納期限の翌日から完納の日の前日までの日数により計算された額の延滞金が徴収される。

(E)保険年度の中途で保険関係が消滅した事業の事業主は、当該保険関係が消滅した日から50日以内に確定保険料申告書を提出しなければならないが、この場合、すでに事業主が納付した概算保険料の額が確定保険料の額と同額のときは、確定保険料申告書を提出する必要はない。



■解説

(A)正解
法19条、則38条1項・2項
確定保険料申告書は、所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならないが、労働保険徴収法施行規則第38条第2項の各号に定める区分により、日本銀行(本店、支店、代理店及び歳入代理店をいう。以下同じ。)又は労働基準監督署を経由して行うことができる。
ただし、納付すべき労働保険料がない場合は、日本銀行を経由して行うことはできない。
よって、問題文は正解となる。
なお、有期事業以外の事業(労働保険事務組合に労働保険事務の処理が委託されているものを除く。)であって厚生年金保険又は健康保険の適用事業所(社会保険適用事業所)の事業主が一般保険料に係る確定保険料申告書をその保険年度の6月1日から40日以内に提出する場合に限っては、年金事務所を経由して行うこともできる。(雇用二元適用事業等で納付すべき労働保険料がない場合を除く。)

(B)誤り
法15条3項・4項、則38条4項
事業主が所定の期限までに概算保険料申告書を提出しないとき、又は提出した概算保険料申告書の記載に誤りがあると認めるときは、政府が労働保険料の額を決定(概算保険料の認定決定)し、納付書により事業主に通知することになっている。
認定決定の通知を受けた事業主は、通知を受けた日(翌日起算)から15日以内に納付書により不足額又は未納額を納付しなければならないことになっている。
よって、「30日以内に納入告知書により納付しなければならない」とした問題文は誤りである。

(C)誤り
法15条1項、18条、則27条1項・2項
継続事業(一括有期事業を含む)において、納付すべき概算保険料の額が40万円以上(労災保険又は雇用保険のいずれか一方のみ保険関係が成立している場合は20万円)であるか、労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託している場合は、概算保険料申告書を提出する際に延納の申請をすることにより延納をすることができる。
保険年度の中途で保険関係が成立した場合、保険関係成立日が4月1日から5月31日までにあるときは、3回に分けて延納することができ、1期目(保険関係成立日から7月31日まで)の納期限は保険関係成立日の翌日から起算して50日以内、2期目(8月1日から11月30日まで)の納期限は10月31日(労働保険事務組合に処理を委託している場合は11月14日)、3期目(12月1日から翌年3月31日まで)の納期限は1月31日(労働保険事務組合に処理を委託している場合は2月14日)となっている。
よって、問題文の場合6月1日に保険関係が成立しているため、1期目の納期限は7月21日(6月2日から50日)で2期目の納期限は1月31日となり、1期目の納期限を「8月31日まで」とした問題文は誤りとなる。
なお、保険関係の成立日が6月1日から9月30日までにあるときは、2回に分けて延納することができ、1期目(保険関係成立日から11月30日まで)の納期限は保険関係成立日の翌日から起算して50日以内、2期目(12月1日から翌年3月31日まで)の納期限は1月31日(労働保険事務組合に処理を委託している場合は2月14日)となっており、保険関係成立日が10月1日から翌年3月31日までにあるときは延納することができないとされている。

(D)誤り
法28条1項・5項
労働保険料を滞納している事業主に納付の督促をし、督促状の納期限を過ぎても保険料の納付がない場合は、労働保険料の額につき年14.6%(当該納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については、年7.3%)割合で、本来の納期限の翌日からその完納又は財産差押えの日の前日までの日数により計算した延滞金を徴収することになっているが、次の場合には延滞金は徴収されない。
(1)労働保険料の額が1,000円未満であるとき
(2)督促状に指定した期限までに労働保険料その他この法律の規定による徴収金を完納したとき
(3)納付義務者の住所又は居所がわからないため、公示送達の方法によって督促したとき
(4)延滞金の額が100円未満であるとき
(5)労働保険料について滞納処分の執行を停止し、又は猶予したとき(その執行を停止し、又は猶予した期間に対応する部分の金額に限る。)
(6)労働保険料を納付しないことについてやむを得ない理由があると認められるとき
よって、「延滞金が徴収される。」とした問題文は誤りである。

(E)誤り
法19条1項・3項
保険年度の中途に保険関係が消滅した場合は、保険関係が消滅した日(当日起算)から50日以内に確定保険料申告書を提出しなければならず、納付した概算保険料の額と確定保険料の額が同額である場合のように納付すべき労働保険料がない場合であっても確定保険料申告書は提出しなければならない。
よって、「すでに事業主が納付した概算保険料の額が確定保険料の額と同額のときは、確定保険料申告書を提出する必要はない。」とした問題文は誤りである。

  

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