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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成23年労災-第9問(労働保険の適用)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成23年労災-第9問(労働保険の適用)

労働保険に係る事業の廃止及び保険関係の消滅等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
なお、本問において、「労災保険の保険給付の特例」とは失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第18条又は同法第18条の2の規定に基づき、労災保険に係る保険関係が成立する前に労災保険暫定任意適用事業において発生した業務上の傷病又は通勤による傷病について、当該事業の労災保険に係る保険関係が成立した後に発生したものとみなし、当該事業主の申請により行う労災保険の保険給付のことをいい、また、「特別保険料」とは同法第19条の特別保険料のことをいう。


(A)雇用保険暫定任意適用事業の事業主は、当該事業に係る保険関係を消滅させようとする場合、当該事業の保険関係が成立した後1年を経過していることに加え、当該事業の労働者の過半数の同意があれば、保険関係の消滅の申請をして所轄都道府県労働局長の認可を受けた上で、当該事業に係る保険関係を消滅させることができる。

(B)労災保険の保険給付の特例が行なわれることとなった労働者を使用する労災保険暫定任意適用事業の事業主は、当該保険給付の費用に充てるための特別保険料を徴収する一定の期間を経過するまでの間は、労働者の過半数の同意を得たときであっても、当該事業の労災保険に係る保険関係の消滅の申請をすることができない。

(C)労災保険暫定任意適用事業の事業主は、その事業を廃止した場合に、既に納付した概算保険料の額と確定保険料の額が同一で、納付すべき確定保険料がないときは、確定保険料申告書を提出する必要はないが、保険関係消滅申請書を所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。

(D)労働保険事務組合が、労働保険事務の処理に係る業務を廃止しようとするときは、60日前までに、労働保険事務等処理委託解除届を当該労働保険事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出することによって行わなければならない。

(E)一元適用事業であって、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託していない事業の事業主が、事業廃止により、労働保険料還付請求書を提出する場合は、確定保険料申告書を提出する際に、所轄公共職業安定所長に提出することによって行わなければならない。



■解説

(A)誤り
法附則4条
雇用保険に係る保険関係の消滅の申請をしようとする暫定任意適用事業の事業主は「保険関係消滅申請書」を所轄公共職業安定所長を経由して所轄都道府県労働局長に提出し、その認可(厚生労働大臣の認可権限は都道府県労働局長に委任)があった日の翌日にその事業についての保険関係が消滅することとされている。この保険関係消滅の申請をするには、その事業に使用される労働者の4分の3以上の同意が必要であるので、申請書にはこの労働者の同意を得たことを証明する書類を添付することが必要である。
なお、保険関係消滅の認可があったときには、保険関係の消滅に同意しなかった者を含めて当該事業の労働者全部について保険関係が消滅することとなる。
よって、「当該事業の保険関係が成立した後1年を経過していること」とした点、「労働者の過半数の同意」とした点から問題文は誤りとなる。

(参考)
労災保険暫定任意適用事業についての労災保険に係る保険関係の成立は、原則として事業主の保険加入の意思によることとされているので、これに対応してその消滅についても原則として事業主の意思に委ねられているが、いったん任意加入により労災保険に係る保険関係が成立している事業については、当該保険関係が成立した後1年以上経過していることを保険関係の消滅の申請の要件としているほか、なるべく保険関係を継続させるため、その事業の労働者の過半数の同意を必要とすることとして、加入の場合よりも要件を過重している。(整備法8条)

(B)正解
整備法8条2項
当該事業が特例給付(労災保険に加入する以前に労災保険暫定任意適用事業において発生した業務上の傷病又は通勤による傷病に関し、当該事業が労災保険に加入した後において、事業主の申請により特例として行う労災保険の保険給付)が行われることになった労働者を使用する事業である場合には、当該保険給付の費用に充てるための特別保険料を徴収する一定期間を経過するまでの間は、脱退を認めないこととされている。

(C)誤り
法5条、法19条
保険関係の成立している事業は、適用事業であると暫定任意適用事業であるとを問わず、その事業の廃止又は終了の日の翌日に、その事業についての保険関係は法律上当然に消滅することになる。この場合、保険関係の消滅のための手続きは特に必要としないが、事業主は保険関係が消滅した日を起算日として50日以内に確定保険料申告書を提出して、労働保険料の清算手続きをとる必要がある。(事業の廃止又は終了の場合は、保険関係消滅申請書の提出は必要ない。)
よって、「確定保険料申告書を提出する必要はないが、保険関係消滅申請書を所轄都道府県労働局長に提出しなければならない」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法33条3項、則66条
労働保険事務組合は、業務を廃止しようとするときは、60日前までに厚生労働大臣に届けなければならないが、この届出の受理の権限は都道府県労働局長に委任されている。具体的には「労働保険事務組合業務廃止届」を提出することとされている。
よって、「労働保険事務等処理委託解除届」とした問題文は誤りとなる。
なお、「労働保険事務等処理委託解除届」については、事業主から労働保険事務組合への事務処理の委託解除があった場合に遅滞なくその主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出するものである。(則64条)

(E)誤り
法19条6項、則36条2項
一元適用事業であって、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託していない事業の事業主が、すでに納付した概算保険料額のうち、確定保険料の額を超える額(超過額)の還付を請求したときは、所轄都道府県労働局労働保険特別会計資金前渡官吏はその超過額を還付するものとされ、この場合における還付請求は、確定保険料申告書を提出する際に、又は確定保険料についての認定決定の通知を受けた日の翌日から起算して10日以内に「労働保険料還付請求書」を所轄労働基準監督署長を経由して資金前渡官吏に提出することによって行わなければならないものとされている。
よって、「所轄公共職業安定所長に提出することによって行わなければならない。」とした問題文は誤りとなる。

  

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