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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成23年労災-第10問(有期事業の一括)
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■平成23年労災-第10問(有期事業の一括)

有期事業の一括に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
なお、本問において、「有期事業の一括」とは労働保険徴収法第7条の規定により二以上の事業を一の事業とみなすことをいい、また、「一括事務所」とは有期事業の一括に係る事業の労働保険料の納付事務を取り扱う一の事務所のことをいう。


(A)有期事業の一括の要件としては、機械装置の組立て又は据付けの事業にあっては、それぞれの事業が、一括事務所の所在地を管轄する都道府県労働局又はこれと隣接する都道府県労働局の管轄区域(厚生労働大臣が指定する都道府県労働局の管轄区域を含む。)内で行われることが必要である。

(B)有期事業の一括とされた事業においては、概算保険料の申告・納付の期限は、継続事業(保険年度の中途に保険関係が成立した事業及び特別加入の承認があった事業を除く。)と同様に、保険年度の6月1日を起算日として40日以内とされている。

(C)有期事業の一括とされた事業においては、保険年度の中途で当該事業に係る保険関係が消滅した場合の事業の確定保険料の申告・納付の期限は、当該保険関係が消滅した日から起算して50日以内とされている。

(D)有期事業の一括とされた建設の事業について、一括されている一の事業について事業開始後の規模の変更等により労働保険徴収法施行規則第6条の有期事業の一括の要件に該当しなくなった場合でも、有期事業の一括の対象とならない独立の有期事業として取り扱われない。

(E)有期事業の一括の要件としては、それぞれの事業に係る労働保険料の納付の事務が一の事務所で取り扱われることが必要であるとされているが、当該事業の施工に当たるものの、労働保険料の申告及び納付事務を行う事務能力を有しない事務所については、当該事務所を統括管理する事務所のうち、当該事業に係る労働保険料の申告及び納付事務を実際に行う直近上位の事務所を一括事務所として取り扱うこととされている。



■解説

(A)誤り
法7条、則6条2項、平成12年3月31日労働省告示39号
有期事業の一括の要件としては、厚生労働大臣が指定する種類の事業以外の事業にあっては、それぞれの事業が一括事務所の所在地の都道府県労働局又はこれと隣接する都道府県労働局の管轄区域(厚生労働大臣が指定する都道府県労働局の管轄区域を含む。)内で行われることが必要とされている。
この厚生労働大臣が指定する種類の事業は、「機械装置の組立て又は据付けの事業」とされている。
よって、ここに規定されている地域的制限は、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、「機械装置の組立て又は据付けの事業」を除く建設の事業及び立木の伐採の事業に適用されることになるため問題文は誤りとなる。

(B)正解
法7条、法15条1項、昭和40年7月31日基発901号
2以上の有期事業が一定の要件に該当する場合には、当然にそれらの事業が一括されて一つの事業として労働保険徴収法が適用されることとなる。したがって、例えば、労働保険料の申告・納付について、一般の継続事業と同様に年度更新の手続きがとられることになるため、概算保険料の申告・納付の期限は原則として、その保険年度の6月1日から40日以内となる。
よって、問題文は正解となる。
なお、一括有期事業を開始したときは、初めに「保険関係成立届」を提出することになるが、この届を一度提出しておけば、以後何年でもこの一括有期事業が継続している限り、当該一括有期事業に含まれる個々の事業については、そのつど保険関係成立届を提出する必要はない。

(C)正解
法7条、法19条1項、昭和40年7月31日基発901号
2以上の有期事業が一定の要件に該当する場合には、当然にそれらの事業が一括されて一つの事業として労働保険徴収法が適用されることとなる。
したがって、一括有期事業における確定保険料申告書の提出期限は、保険年度の6月1日から40日以内又は保険関係消滅の日から起算して50日以内となる。
よって、問題文は正解となる。
なお、一括有期事業については、当該年度における一括有期事業の具体的実施内容を記載した「一括有期事業報告書」を確定保険料申告書を提出する際に、すなわち、次の保険年度の6月1日から40日以内又は保険関係消滅の日から起算して50日以内に、所轄労働基準監督署長を経由して所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならないことになっている。(則34条)

(D)正解
法7条、法19条1項、昭和40年7月31日基発901号
有期事業であって、保険関係の成立時点で一括された個々の事業が、事業規模の変更等により有期事業の一括の要件に該当しないこととなった場合であっても、それ以降、新たに独立の有期事業として取り扱われない。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
法7条、則6条2項
有期事業の一括の要件としては、それぞれの事業に係る労働保険料の納付の事務が一の事務所で取り扱われることが必要であるとされているが、ここにいう保険料の納付事務を取り扱う一の事務所(一括事務所)とは、当該事業の施工に当たり、かつ、保険料の申告及び納付の事務を行う事務能力のある事務所とされている。
したがって、当該事業の施工に当たるが、保険料の申告及び納付事務を行う事務能力を有しない事務所については、その事務所を統括管理する事務所のうち、当該事業に係る保険料の申告及び納付事務を実際に行う直近上位の事務所を一括事務所として扱うことになる。
よって、問題文は正解となる。

  

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