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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成27年労災-第8問(労災保険の加入)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成27年労災-第8問(労災保険の加入)

農業の事業の労災保険の加入に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
なお、本問において、「農業の事業」とは、畜産及び養蚕の事業を含むが、特定の危険有害作業を主として行う事業であって常時労働者を使用するもの並びに特定農業機械作業従事者及び一定の危険又は有害な作業を行う一定規模以上の農業の個人事業主等が特別加入した場合における当該事業を除くものをいう。


(A)農業の事業で、労働者を常時4人使用する民間の個人事業主は、使用する労働者2名の同意があるときには、労災保険の任意加入の申請をしなければならない。

(B)農業の事業で、民間の個人事業主が労災保険の任意加入の申請を行うためには、任意加入申請書に労働者の同意を得たことを証明する書類を添付して、所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。

(C)農業の事業で、民間の個人事業主が労災保険の任意加入の申請を行った場合、所轄都道府県労働局長の認可があった日の翌日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係が成立する。

(D)農業の事業で、労災保険関係が成立している労災保険暫定任意適用事業の事業主が当該事業を廃止した場合には、当該労災保険暫定任意適用事業に係る保険関係の消滅の申請をすることにより、所轄都道府県労働局長の認可があった日の翌日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係が消滅する。

(E)農業の事業で、労災保険暫定任意適用事業に該当する事業が、使用労働者数の増加により労災保険法の適用事業に該当するに至った場合には、その日に、当該事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係が成立する。



■解説

(A)誤り
整備法5条2項
民間の個人経営による農業等の事業のうち5人未満の労働者を使用する事業は、通常の場合、労災保険の暫定任意適用事業とされ、事業主に保険加入の意思があるとき又はこれらの事業に使用される労働者の過半数が希望するときは、事業主は任意加入の申請をし、認可があったときに、当該事業に使用される労働者全員について労災保険に加入することとなっている。
なお、事業主は、労働者の過半数の希望があれば、これを尊重して任意加入の申請をすることを要するが、雇用保険の任意加入の場合のように労働者の同意を得る必要はなく、事業主の単独の意思で加入の申請をすることができる。これは、労災保険が、事業主のみが経済的負担(保険料の全額負担)をする制度のためである。
よって、「使用する労働者2名の同意があるとき」とした問題文は誤りとなる。

(参考)
雇用保険の任意加入制度

民間の個人経営による農林水産の事業のうち5人未満の労働者を使用する事業は、雇用保険の暫定任意適用事業とされ、これらの事業に雇用される労働者の2分の1以上のものが加入に同意し、又はこれを希望する場合には、事業主は、任意加入の申請をし、認可があったときに、当該事業に雇用される者全員につき雇用保険に加入することとなっている。
雇用保険に任意加入しようとする場合には、任意適用事業の事業主は「任意加入申請書」を所轄公共職業安定所長を経由して所轄都道府県労働局長に提出し、その認可(厚生労働大臣の認可権限は都道府県労働局長に委任されている。)があった日に、その事業について雇用保険に係る保険関係が成立する。任意加入の申請をする場合には、労働者の2分の1以上の同意を得なければならないので、申請書にはこの労働者の同意を得たことを証明する書類を添えなければならない。また、労働者の2分の1以上の希望があれるときは、必ず認可申請をしなければならない。

(B)誤り
整備法5条、整備省令1条
労災保険に任意加入しようとする任意適用事業の事業主は「任意加入申請書」を所轄都道府県労働局長に提出し、厚生労働大臣の認可(厚生労働大臣の認可権限は都道府県労働局長に委任されている。)があった日に、その事業について労災保険に係る保険関係が成立する。
労災保険の任意加入の申請については、雇用保険の任意加入の場合のように労働者の同意を得る必要はなく、事業主の単独の意思で加入の申請をすることができる。これは、労災保険が、事業主のみが経済的負担(保険料の全額負担)をする制度のためである。
よって、問題文は誤りとなる。

(C)誤り
整備法5条
労災保険に任意加入しようとする任意適用事業の事業主は「任意加入申請書」を所轄都道府県労働局長に提出し、厚生労働大臣の認可(厚生労働大臣の認可権限は都道府県労働局長に委任されている。)があった日に、その事業について労災保険に係る保険関係が成立する。
よって、「所轄都道府県労働局長の認可があった日の翌日」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法5条、整備法8条
保険関係の成立している事業は、適用事業であると暫定任意適用事業であるとを問わず、その事業の廃止又は終了の日の翌日に、その事業についての保険関係は法律上当然に消滅する。この場合、保険関係消滅のための手続きは特に必要としないが、事業主は、保険関係が消滅した日を起算日として50日以内に確定保険料申告書を提出して、労働保険料の清算手続きをとらなければならないことになっている。
よって、問題文は誤りとなる。
なお、暫定任意適用事業については、事業の廃止又は終了によるほか、労災保険については整備法8条1項の認可、雇用保険については徴収法附則4条1項の認可を受けて保険関係を消滅させることができる。

(E)正解
整備法7条
労災保険暫定任意適用事業に該当する事業が、事業内容の変更(事業の種類の変化)、使用労働者数の増加、経営組織の変更等により、労災保険の適用事業に該当するに至った場合には、その該当するに至った日を事業が開始された日と同様に取り扱い、その日に、当該事業について労災保険に係る保険関係が成立することとされている。(雇用保険暫定任意適用事業の場合も同様。)
よって、問題文は正解となる。
なお、労災保険の適用事業又は雇用保険の適用事業に該当する事業が、事業内容の変更、使用働者数の減少、経営組織の変更等により、労災保険暫定任意適用事業又は雇用保険暫定任意適用事業に該当するに至ったときは、その翌日に、自動的に保険加入の認可があったものとみなすこととされている。このように任意加入の認可があったものとみなされた事業を「擬制任意適用事業」という。

  

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