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トップページ過去問研究室(労働保険徴収法) 平成29年労災-第9問(労働保険の保険関係の成立及び消滅)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成29年労災-第9問(労働保険の保険関係の成立及び消滅)

労働保険の保険関係の成立及び消滅に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)労働保険の保険関係が成立している事業の事業主は、当該事業を廃止したときは、当該事業に係る保険関係廃止届を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出しなければならず、この保険関係廃止届が受理された日の翌日に、当該事業に係る労働保険の保険関係が消滅する。

(B)労災保険の適用事業が、使用労働者数の減少により、労災保険暫定任意適用事業に該当するに至ったときは、その翌日に、その事業につき所轄都道府県労働局長による任意加入の認可があったものとみなされる。

(C)労災保険暫定任意適用事業の事業主は、その事業に使用される労働者の過半数が希望するときは、労災保険の任意加入の申請をしなければならず、この申請をしないときは、6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる。

(D)労働保険の保険関係が成立している事業の法人事業主は、その代表取締役に異動があった場合には、その氏名について変更届を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出しなければならない。

(E)労働保険の保険関係が成立している暫定任意適用事業の事業主は、その保険関係の消滅の申請を行うことができるが、労災保険暫定任意適用事業と雇用保険暫定任意適用事業で、その申請要件に違いはない。



■解説

(A)誤り
法5条
保険関係の成立している事業は、適用事業であると暫定任意適用事業であるとを問わず、その事業の廃止又は終了の日の翌日に、その事業についての保険関係は法律上当然に消滅する。この場合、保険関係消滅のための手続きは特に必要としないが、事業主は、保険関係が消滅した日を起算日として50日以内に確定保険料申告書を提出して、労働保険料の清算手続きをとらなければならない。
よって、問題文は誤りとなる。

(B)正解
整備法5条3項、整備令3条の2
労災保険の適用事業又は雇用保険の適用事業に該当する事業が、事業内容の変更(事業の種類の変化)、使用労働者数の減少、経営組織の変更等により、労災保険暫定任意適用事業又は雇用保険暫定任意適用事業に該当するに至ったときは、その翌日に自動的に保険加入の認可があったものとみなすこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
整備法5条2項
民間の個人経営による農業等の事業のうち5人未満の労働者を使用する事業は、通常の場合、労災保険の暫定任意適用事業とされ、事業主に保険加入の意思があるとき又はこれらの事業に使用される労働者の過半数が希望するときは、事業主は、任意加入の申請をし、認可があったときに、当該事業に使用される労働者全員について労災保険に加入することとなっている。労働者の希望があれば、これを尊重して任意加入の申請をすることを要するが、雇用保険の任意加入の場合のように労働者の同意を得る必要はなく、事業主単独の意思で加入の申請をすることができるため、任意加入の申請をしなくても罰則の適用はない。労災保険は、事業主のみが経済的負担(保険料の全額負担)をする制度であるからである。
よって、問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法4条の2、則5条2項
険関係が成立している事業の事業主は、次の事項に変更があったときは、変更を生じた日の翌日から起算して10日以内に、名称、所在地等変更届(様式第2号)を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出しなければならないことになっている。
1.事業主の氏名又は名称及び住所又は所在地
2.事業の名称
3.事業の行われる場所
4.事業の種類
5.有期事業にあっては、事業の予定される期間
よって、「代表取締役に異動があった場合でも、その氏名について」変更届の提出は必要ないため、問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法附則4条、整備法8条
雇用保険に係る保険関係が成立している暫定任意適用事業については、その脱退も事業主の意思にかからしめているが、いったん加入した以上はなるべき保険関係を継続させるため、保険関係の消滅の申請については当該事業の労働者の4分の3以上の同意を必要とすることとされている。
一方、労災保険暫定任意適用事業についての労災保険に係る保険関係の成立は、原則として事業主の意思によることとされているので、これに対応してその消滅についても、原則として事業主の意思に委ねたものであるが、いったん任意加入により労災保険に係る保険関係の成立している事業については、当該保険関係が成立した後、1年以上経過していることを保険関係の消滅の申請の要件としているほか、なるべく保険関係を継続させるため、その事業の労働者の過半数の同意を必要とすることとしている。さらに、当該事業が特例による保険給付(労災保険の加入する以前に労災保険暫定任意適用事業において発生した業務上の傷病又は通勤による傷病に関し、当該事業が労災保険に加入した後において、事業主の申請により特例として行う労災保険の保険給付)が行われることとなった労働者を使用する事業である場合には、当該保険給付の費用に充てるための特別保険料を徴収する一定期間を経過するまでの間は、脱退を認めないこととしている。
よって、「その申請要件に違いはない。」とした問題文は誤りとなる。

  

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