社会保険労務士試験に楽に合格する方法論を研究するサイト
社会保険労務士試験情報局
トップページ過去問研究室(労働基準法) 令和1年労基-第2問(1か月単位の変形労働時間制)
■社会保険労務士試験過去問研究室





■令和1年労基-第2問(1か月単位の変形労働時間制)

労働基準法第32条の2に定めるいわゆる1か月単位の変形労働時間制に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)1か月単位の変形労働時間制により労働者に労働させる場合にはその期間の起算日を定める必要があるが、その期間を1か月とする場合は、毎月1日から月末までの暦月による。

(B)1か月単位の変形労働時間制は、満18歳に満たない者及びその適用除外を請求した育児を行う者については適用しない。

(C)1か月単位の変形労働時間制により所定労働時間が、1日6時間とされていた日の労働時間を当日の業務の都合により8時間まで延長したが、その同一週内の1日10時間とされていた日の労働を8時間に短縮した。この場合、1日6時間とされていた日に延長した2時間の労働は時間外労働にはならない。

(D)1か月単位の変形労働時間制は、就業規則その他これに準ずるものによる定めだけでは足りず、例えば当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合と書面により協定し、かつ、当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、採用することができる。

(E)1か月単位の変形労働時間制においては、1日の労働時間の限度は16時間、1週間の労働時間の限度は60時間の範囲内で各労働日の労働時間を定めなければならない。



■解説

(A)誤り
法32条の2第1項、則12条の2
1か月単位の変形労働時間制の変形期間は、「1か月以内の一定の期間」とされており、最長限度は1か月であるが、1か月以内であれば、4週間単位等でもよいことになっている。施行規則第12条の2において変形期間の起算日を定めることとされているので、労使協定又は就業規則その他これに準ずるものにおいては、変形期間の長さとともに、その起算日を定める必要があるが、その起算日を毎月1日にする必要はない。
よって、問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法60条1項、法66条1項、則12条の6
満18歳に満たない年少者については、1か月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制、1年単位の変形労働時間制及び1週間単位の非定型的変形労働時間制の規定のほか、労使協定による時間外・休日労働の規定並びに法定労働時間及び休憩時間に関する特例規定は適用されない。また、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性(妊産婦)が請求した場合には、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制及び1週間単位の非定型的変形労働時間制、時間外労働、休日労働、深夜労働をさせてはならないことになっている。しかしながら、育児を行う者が育児に必要な時間を確保できるように配慮する必要があるが、育児を行う者が請求した場合でも変形労働時間制を適用除外にすることは規定されていない。
よって、問題文は誤りとなる。

(C)正解
法32条の2第1項、昭和63年1月1日基発1号、平成6年3月31日基発181号
1か月単位の変形労働時間制を採用した場合に時間外労働となるのは、次の時間とされている。
@1日については、就業規則その他これに準ずるものにより8時間を超える時間を定めた日はその時間、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間
A1週間については、就業規則その他これに準ずるものにより40時間を超える時間を定めた週はその時間、それ以外の週は40時間を超えて労働した時間(@で時間外労働となる時間を除く。)
B変形期間については、変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(@又はAで時間外労働となる時間を除く。)
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
法32条の2第1項、平成11年1月29日基発45号
労使の話し合いによる制度の導入を促進するため、また、1か月単位の変形労働時間制以外の変形労働時間制の導入要件は労使協定により定めることとされていることも勘案し、就業規則その他これに準ずるものによる定め又は労使協定による定めのいずれによっても導入できることとしている。なお、労使協定により定めるか就業規則その他これに準ずるものに定めるかについては、最終的に使用者が決定できるものとされている。
よって、問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法32条の2第1項、昭和63年1月1日基発1号、平成6年3月31日基発181号、平成7年1月1日基発1号、平成9年3月25日基発195号
1か月単位の変形労働時間制を採用する場合には、変形期間を平均し1週間の労働時間が法定労働時間を超えない定めをすることが要件とされているが、1日の労働時間の限度は定められていない。
よって、「1日の労働時間の限度は16時間、1週間の労働時間の限度は60時間の範囲内」とした問題文は誤りとなる。

  

→社会保険労務士試験過去問研究室(労働基準法)に戻る
Copyright (C) 2005 社会保険労務士試験情報局 All Rights Reserved