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■令和1年労基-第7問(労働基準法に定める就業規則等)

労働基準法に定める就業規則等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)労働基準法第89条に定める「常時10人以上の労働者」の算定において、1週間の所定労働時間が20時間未満の労働者は0.5人として換算するものとされている。

(B)使用者は、就業規則を、@常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、A書面を交付すること、B磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置することのいずれかの方法により、労働者に周知させなければならない。

(C)就業規則の作成又は変更について、使用者は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、それがない場合には労働者の過半数を代表する者と協議決定することが要求されている。

(D)就業規則中に、懲戒処分を受けた場合には昇給させない旨の欠格条件を定めることは、労働基準法第91条に違反するものとして許されない。

(E)同一事業場において、労働者の勤務態様、職種等によって始業及び終業の時刻が異なる場合は、就業規則には、例えば「労働時間は1日8時間とする」と労働時間だけ定めることで差し支えない。



■解説

(A)誤り
法89条
使用者の事務能力等を考慮して常時10人以上の労働者を使用する使用者に就業規則の作成及び届出の義務を課しているが、1週間の所定労働時間が20時間未満の労働者を0.5人として換算する規定はない。
よって、問題文は誤りとなる。

(B)正解
法106条、則52条の2
就業規則は、労働者に確実に周知されるようにするため、周知方法は、厚生労働省令によって明確化されている。具体的には次のいずれかによって周知しなければならない。
@常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること
A書面を交付すること
B磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
法90条1項、昭和25年3月15日基収525号
就業規則の作成又は変更について、使用者は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、それがない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならないことになっているが、「意見を聴かなければならない」というのは、労働組合等との協議決定を要求するものではなく、当該就業規則についての労働組合等の意見を聴けば労働基準法違反とはならないとの趣旨とされている。
よって、問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法91条、昭和26年3月31日基収938号
昇給の停止については、就業規則中に懲戒処分を受けた場合には昇給させないという昇給の欠格事項を定めても、法91条(制裁規定の制限)の減給の制裁には該当しないとされている。
よって、問題文は誤りとなる。
なお、出勤停止については、出勤停止期間中の賃金を受けられないことは、制裁として出勤停止の当然の結果であって、通常の額以下の賃金を支給することを定める減給の制裁に関する法91条の規定には関係ないとされている。(昭和23年7月3日基収2177号)

(E)誤り
法89条、平成11年3月31日基発168号
「始業及び終業の時刻」とは、当該事業場における所定労働時間の開始時刻と終了時刻をいうものであり、これによって、休憩時間に関する規定と相まって、所定労働時間の長さと位置を明確にしようとするものである。したがって、例えば労働時間については「1日8時間とする。」というような規定だけでは要件を満たさないものとされている。
よって、問題文は誤りとなる。
なお、始業及び終業の時刻が勤務態様、例えば、日勤勤務、交替勤務別に異なり、又は職種別に異なる場合には、それぞれの勤務態様又は職種ごとに規定しておく必要がある。ただし、パートタイム労働者等のうち本人の希望等により勤務態様、職種等の別ごとに始業又は就業の時刻を画一的に定めないこととする場合には、就業規則では基本となる始業及び終業の時刻を定め、具体的には各人ごとに個別の労働契約等で定める旨の委任規定を設けることでよいとされている。その場合には、書面により明確にすることとされており、この点は休憩時間や休日についても同様である。

  

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