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■平成13年労基-第5問(労働基準法の労働時間)

労働基準法の労働時間に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)毎年1月1日から年末までの1年間を有効期間とする、労働基準法第36条の規定に基づく時間外労働・休日労働に係る労使協定(以下「36協定」という。)を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、当該36協定に協定の有効期間についての自動更新条項がある場合には、翌年からは、協定の内容に変更のない限り、所轄労働基準監督署長へは、何らの届出も必要ではない。

(B)労働者の過半数で組織する労働組合がない事業場において36協定を締結する場合、労働者側の締結当事者たる「労働者の過半数を代表する者」の「労働者」の範囲には、そもそも労働時間の規定の適用がない労働基準法第41条第2号に該当する監督又は管理の地位にある者は含まれない。

(C)「所定労働時間を超える労働の有無」は、労働基準法第15条第1項の規定により使用者が労働契約の締結に際して労働者に対して明示しなければならない労働条件の一つとされており、また、労働基準法第89条において、就業規則のいわゆる絶対的必要記載事項ともされている。

(D)変形労働時間制を採用していない事業場において、使用者が具体的に指示した仕事が客観的に見て一日の法定労働時間内では完了することができないと認められる場合のように、超過勤務の黙示の指示によって労働者が当該法定労働時間を超えて労働した場合には、使用者は、労働基準法第37条の規定による割増賃金を支払わなければならない。

(E)労働基準法第41条第2号に該当する監督又は管理の地位にある者については、労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用除外となっていることから、使用者は、これらの者の時間外労働、休日労働又は深夜業に対して、同法第37条の規定による割増賃金を支払う必要はない。



■解説

(A)誤り
法36条1項、則17条2項、昭和29年6月29日基発355号
36協定の有効期間について自動更新の定めがなされている場合の翌年以降の当該協定の届出は、当該協定の更新について労働者、使用者のいずれからも異議の申出がなかった事実を証する書面を所轄労働基準監督署に届け出れば足りるとされている。
よって、自動更新条項があっても「何らの届出の必要ない」わけではない。

(B)誤り
法36条1項、昭和46年1月18日基収6206号
36協定は、当該事業場において、時間外労働又は休日労働の対象となる労働者の意思を問うものではなく、事業上に使用されている労働者の過半数の意思を問うためのものである。
よって、「監督又は管理の地位にある者」、「機密の事務を取り扱う者」、「原則として時間外労働又は休日労働をさせることができない年少者」、「病気などによる休職期間中の者」なども在籍している限り労働者に含める必要がある。
なお、「監督又は管理の地位にある者」は、労働者の過半数を代表する者にはなれない。

(C)誤り
法15条、法89条、則5条1項2号
「所定労働時間を超える労働の有無」は、労働契約の締結に際する絶対的明示事項(書面明示事項)であるが、就業規則の絶対的必要記載事項ではない。

(D)正解
法37条1項、昭和25年9月14日基収2983号
使用者が具体的に指示した仕事が客観的にみて所定の勤務時間内では完了しないと認められる場合のように、超過勤務の黙示の指示によって法定労働時間を超えて勤務した場合でも、時間外労働となり、使用者は割増賃金を支払う必要がある。

(E)誤り
法37条、法41条、昭和63年3月14日基発150号、平成11年3月31日基発168号
「監督又は管理の地位にある者」であっても、深夜業に関する規定は適用される。よって、「監督又は管理の地位にある者」であっても、深夜業に対する割増賃金は支払う必要がある。

  

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