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■平成14年労基-第4問(労働基準法に定める労働時間等)

労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働基準法第32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、この労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない。

(B)労働基準法第32条の3に規定するいわゆるフレックスタイム制を採用するに当たっては、使用者は、原則として、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により一定の事項を定めて実施する必要があるが、必ずしもその事業場の労働者の過半数がフレックスタイム制の適用を受ける場合でなくともこの制度を採用することができる。

(C)使用者は、労働基準法第66条第2項の規定により、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)が請求した場合においては、同法第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働又は休日労動をさせてはならないが、この第 66条第2項の規定は、妊産婦であっても同法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者に該当するものには適用されない。

(D)労働基準法では、休憩時間や労働時間について、例えば、航空機による旅客運送の事業における航空機の操縦士で長距離にわたり継続して乗務する者については休憩時間を与えないことができることとされ、また、坑内労働については労働者が坑口に入った時刻から坑口を出た時刻までの時間を休憩時間を含めて労働時間とみなしている。

(E)使用者は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」第23条第1項の規定に基づき、生後満1年に達しない生児を育てる女性労働者に対し、始業時刻を30分繰り下げ、かつ、終業時刻を30分繰り上げる措置を講じている場合においては、当該措置の適用を受けている労働者については、当該労働者からの請求の有無にかかわらず、労働基準法第67条の育児時間を与える必要はない。



■解説

(A)正解
法32条、三菱重工業長崎造船事件(平成12年3月9日最高裁判決)
会社から義務づけられていた「作業服及び保護具の装着等」の時間が労働時間に含まれるか否で争われた訴訟で最高裁判所は問題文のように判断した。

(B)正解
法32条の3
フレックスタイム制の適用をうける労働者の範囲は、労使間で任意に定めることができる。
よって、フレックスタイム制を採用するために過半数代表者と労使協定を締結する必要があるからといって、その事業場の労働者の過半数がフレックスタイム制の適用を受けなければ制度を採用できないというわけでない。

(C)正解
法41条2号、法66条2項、昭和61年3月20日基発151号・婦発69号
妊産婦であっても、監督又は管理の地位にある者に該当する場合は、労働時間・休憩・休日に関する規定は適用されない。
深夜業の規定については適用されるので、監督又は管理の地位にある者であっても請求があった場合は深夜業をさせることはできない。

(D)正解
法38条2項、法40条、則32条
「運送又は郵便事業に使用されている労働者で長距離にわたり継続して乗務するもの(航空機の操縦士など)」、「屋内勤務者30人未満の郵便局において郵便、電信又は電話の業務に従事するもの」などについては休憩時間を与えないことができる。(列車内販売員、食堂車従業員、医師、看護師等は含まれないので注意)
また、坑内労働については、労働者が坑口に入った時刻から坑口を出た時刻までの時間を、休憩時間を含め労働時間とみなし、休憩に関する規定は適用されない。

(E)誤り
法67条、育介法23条1項、平成14年3月18日職発318009号・雇児発318009号
育児介護休業法の勤務時間の短縮等の措置(就業しながら子を養育することを容易にするための措置)と法67条の育児時間(授乳時間を休憩時間とは別に設ける)とは、制度の目的と趣旨が異なるために、勤務時間の短縮等の措置を受けている労働者から請求があった場合には、育児時間を与える必要がある。

  

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