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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成14年労基-第5問(労働基準法に定める年次有給休暇)
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■平成14年労基-第5問(労働基準法に定める年次有給休暇)

労働基準法に定める年次有給休暇に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)使用者は、その事業場に、同時に採用され、6か月間継続勤務し、労働基準法第39条所定の要件を満たした週の所定労働時間15時間(勤務形態は1日3時間、週5日勤務)の労働者と週の所定労働時間28時間(勤務形態は1日7時間、週4日勤務)の労働者の2人の労働者がいる場合、前者に対しては、後者より多くの日数の年次有給休暇を付与しなければならない。

(B)労働基準法第39条の年次有給休暇の権利の実効を確保するため、同法では、使用者は、毎年度当初に、個々の労働者に対して、その年度においてそれぞれの労働者が取得可能な年次有給休暇の日数を通知し、その請求予定時季を聴かなければならないこととされている。

(C)年次有給休暇の斉一的取扱い(原則として全労働者につき一律の基準日を定めて年次有給休暇を与える取扱いをいう。)を行っている事業場において、毎年4月1日を基準日として年次有給休暇を付与している場合に、1月1日入社の労働者にその年の4月1日の基準日に労働基準法所定の年次有給休暇を付与する場合には、年次有給休暇の付与要件である「全労働日の8割以上出勤」の算定に当たっては、1月1日から3月31日までの間の実績についてのみ計算すれば足りる。

(D)労働基準法第39条の年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは、労働者の自由であるが、労働者がその所属の事業場においてその業務の正常な運営の阻害を目的として一斉に年次有給休暇を届け出て職場放棄する場合は、年次有給休暇に名をかりた同盟罷業にほかならないから、それは年次有給休暇権の行使ではない。労働者が、他の事業場における争議行為に年次有給休暇をとって届け出て参加するような場合も、同様にそれは年次有給休暇権の行使ではない。

(E)年次有給休暇の付与要件である「全労働日の8割以上出勤」における全労働日の日数は、就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日をいう。したがって、所定の休日に労働させたとしてもその日は全労働日に含まれないが、逆に、使用者の責に帰すべき事由による休業の日については、ここでいう全労働日に含まれる。



■解説

(A)正解
法39条1項・3項、則24条の3
週5日勤務している場合は、1日及び週の労働時間の長さに関係なく、通常の年次有給休暇を付与しなければならない。
一方、週4日勤務で労働時間が週30時間未満の場合は、年次有給休暇の比例付与の対象となる。
よって、問題文の場合、前者は10労働日、後者は7労働日の年次有給休暇が付与されることになる。

(B)誤り
法39条
問題文にあるような規定は存在しない。

(C)誤り
法39条、平成6年4月1日基発1号
年次有給休暇の斉一的取扱いを行い、法定の基準日以前に年次有給休暇を付与することになる者の出勤率要件については、短縮された期間(問題文の場合は4月1日から6月30日までの期間)、すべて出勤したものとみなすことになっている。

(D)誤り
法39条、昭和63年3月14日基発150号
労働者がその所属の事業場においてその業務の正常な運営の阻害を目的として一斉に年次有給休暇を届け出て職場放棄する場合は、年次有給休暇に名をかりた同盟罷業にほかならないので年次有給休暇の権利行使とは認められない。
しかしながら、労働者が他の事業場における争議行為に参加するために年次有給休暇を取得することについては、労働者の自由利用の範囲内であり、年次有給休暇権の行使にあたる。

(E)誤り
法39条、昭和33年2月13日基発90号、昭和63年3月14日基発150号
年次有給休暇の算定の基礎となる全労働日の日数は、暦日から就業規則等で定められた所定休日を除いた日をいう。
よって、「使用者の責に帰すべき事由による休業の日」についても全労働日には含まれない。
なお、「休日労働した休日」、「使用者の責めに帰すべき事由による休業日」、「ストライキにより労務提供のなかった日」についても全労働日に含まれない。

  

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