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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成16年労基-第2問(労働基準法に定める契約期間等)
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■平成16年労基-第2問(労働基準法に定める契約期間等)

労働基準法に定める契約期間等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働基準法第14条第1項では、労働契約は、期間の定めのないものを除き一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(弁護士、社会保険労務士等に係る労働契約で同項第1号に該当するもの、又は同項第2号に該当するものについては5年)を超える期間について締結してはならないこととされている。この労働基準法第14条第1項に規定する期間を超える期間を定めた労働契約を締結した場合は、同条違反となり、当該労働契約の期間は、同項第1号又は第2号に該当するものについては5年、その他のものについては3年となる。

(B)労働基準法第14条第1項第1号の高度の専門的知識等を有する労働者であっても、当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就かない場合には、労働契約の期間は3年が上限である。

(C)期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(以下「有期労働契約基準」という。)において、使用者は、期間の定めのある労働契約の締結に際し、労働者に対して、当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならず、また、当該契約を更新する場合がある旨明示したときは、更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならないとされている。

(D)一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、1年を超える期間の定めのある労働契約を締結した労働者(労働基準法第14条第1項各号に規定する労働者を除く。)は、民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から6か月を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

(E)有期労働契約基準において、使用者は、期間の定めのある労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならないとされている。(一部改正)



■解説

(A)正解
法13条、法14条1項、法120条
法定された労働契約期間の上限を超える有期労働契約を締結した場合は、法14条に違反することになり、30万円以下の罰金に処せられる。ちなみに、罰則が適用されるのは使用者のみとなる。(昭和23年4月5日基発535号)
また、法13条により、法14条1項に規定する期間を超える労働契約は、その部分が無効になり、無効となった部分は法定期間の労働契約を締結したことになる。

(B)正解
法14条1項、平成15年10月22日基発1022001号
高度の専門的知識等を必要とする業務に実際に従事するものに限って、5年を上限とする労働契約が認められている。

(C)正解
有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成20年1月23日厚労告12号)
「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」には次のように規定されている。
1.有期労働契約の締結時に「契約更新の有無」、「契約更新が有る場合は更新する場合又はしない場合の判断基準」を明示しなければならない。なお、判断基準に変更があった場合も速やかにその内容を明示すること。

2. 有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前まで予告をすること。

3. 有期労働契約(雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。)を「更新しない場合」又は「更新しなかった場合」に、労働者がその理由について証明書を請求してきた場合は、遅滞なく交付すること。

4. 有期労働契約(当該契約を1回以上更新し、かつ、雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限る。)を更新しようとする場合には、当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない。

(D)誤り
法附則137条
労働契約の期間の初日から「6か月を経過した日以後」ではなく、正しくは「1年を経過した日以後」である。
民法628条では、有期労働契約を締結した場合でも、やむを得ない理由がある場合には、直ちに契約を解除することができ、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは相手側に対して損害賠償の責任を負うことが規定されている。
法附則137条は、1年を超えて勤務している労働者が、有期労働契約を一方的に解除した場合でも損害賠償の責任を負うことがないように民法の規定を排除しているのである。

(E)正解
有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成20年1月23日厚労告12号)
「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」には、有期労働契約を3回以上更新し、又は1年を超えて継続勤務している者の労働契約を更新しない場合は、少なくとも契約期間満了日の30日前までに予告することが規定されている。

  

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