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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成16年労基-第6問(労働基準法に定める年次有給休暇等)
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■平成16年労基-第6問(労働基準法に定める年次有給休暇等)

労働基準法に定める年次有給休暇等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働基準法第39条第3項の適用を受ける所定労働日数の少ない労働者に関し、週所定労働日数が3日として雇われた労働者が、その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した場合においては、当該6か月間勤務した日の翌日に所定労働日数が週3日から週2日の勤務に変更されたとしても、使用者は、週3日の所定労働日数の区分に対応する雇入れの日から起算した継続勤務期間の区分に定める日数の年次有給休暇を与えなければならない。

(B)年次有給休暇の期間について、就業規則により所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払うこととしている場合において、いわゆる変形労働時間制を採用していることにより各日の所定労働時間が異なるときは、時給制の労働者に対しては、変形期間における1日当たりの平均所定労働時間に応じて算定される賃金を支払わなければならない。

(C)平成13年4月1日に雇い入れられた労働者であって、週所定労働日数が5日であるものが、平成14年10月1日から1年間休職し、平成15年10月1日から勤務を再開して平成16年9月30日までに全労働日の8割以上出勤した場合、使用者は、同年10月1日以降、当該労働者に、14労働日の年次有給休暇を与えなければならない。

(D)派遣中の派遣労働者については、派遣先が極端な繁忙状態になっており、当該派遣労働者が年次有給休暇を取得すれば派遣先の事業の正常な運営を妨げるような場合であっても、年次有給休暇の時季変更権の行使に係る事業の正常な運営を妨げるかどうかの判断は、派遣元の事業についてなされる。

(E)6月30日をもって解雇により退職することの決まっている労働者が、労働基準法上20日分の年次有給休暇権を有している場合において、所定の手続に従って、6月15日から同月30日までの年次有給休暇を請求したときには、使用者は、いかに業務が繁忙であっても、当該労働者の解雇予定日を超えての時季変更は行えない。



■解説

(A)正解
法39条1項、昭和63年3月14日基発150号
基準日(問題文の場合は雇入れの日から起算して、6か月間継続勤務した日)において年次有給休暇の権利が発生することになるので、比例付与の日数も基準日における所定労働日数等で決定されることになる。
よって、基準日以降に所定労働日数が変更されても発生した年次有給休暇の日数に変更はない。

(B)誤り
法39条6項、昭和63年3月14日基発150号
変形労働時間制を採用している事業所で、時給制で勤務する労働者が年次有給休暇を取得した場合に支払う通常の賃金は、各日の所定労働時間に応じて算定する。(例えば、有給休暇を取得した日の所定労働時間が10時間だとすると、その時間分の賃金を支払うということ)

(C)正解
法39条6項、昭和63年3月14日基発150号
年次有給休暇の日数は、基準日(最初の基準日は雇入れの日から6か月経過日)において前1年間の出勤率が8割以上あれば、勤続年数に応じて決定されている日数が付与されることになる。
問題文の場合を例にあげると、平成13年10月1日に10労働日の年次有給休暇が付与され、平成14年10月1日に11労働日、平成15年10月1日には前年の出勤率が8割未満なので0労働日となり、平成16年10月1日には、再び出勤率が8割以上あるので、勤続年数3年6か月の付与日数である14労働日の年次有給休暇が付与されることなる。

(D)正解
法39条4項、昭和61年6月6日基発333号
使用者が時季変更権を行使することができる「事業の正常な運営を妨げるかどうか」の判断は、派遣労働者に関しては、代替労働者の派遣の可能性も含めて、派遣元の事業においてなされる。

(E)正解
法39条4項、昭和49年1月11日基収5554号
労働者の解雇予定日を超えての時季変更権は行使できない。よって問題文の場合は請求のあった年次有給休暇を付与しなければならない。

  

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