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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成17年労基-第2問(労働基準法に定める労働時間)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成17年労基-第2問(労働基準法に定める労働時間)

労働基準法に定める労働時間に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)労働基準法施行規則第23条の規定に基づき宿直の勤務で断続的な業務について許可を受けようとする場合には、宿直勤務1回についての宿直手当の最低額は、当該事業場において宿直の勤務に就くことの予定されている同種の労働者に対して支払われている賃金(労働基準法第37条の割増賃金の基礎となる賃金に限る。)の1人1日平均額の2分の1を下回らないものでなければ所轄労働基準監督署長の許可を受けることはできない。

(B)労働基準法第38条の3及び第38条の4の規定に基づく裁量労働制に係る労働時間のみなしに関する規定は、同法第4章の労働時間に関する規定の適用に係る労働時間の算定について適用されるとともに、同法第6章の2の妊産婦等の労働時間に関する規定の適用に係る労働時間の算定についても適用される。(一部改正)

(C)労働基準法第38条の4に規定するいわゆる企画業務型裁量労働制を採用するために行われる同条第1項の委員会の決議は、所轄労働基準監督署長に届出をしなければならないが、これはあくまで取締規定であり、届出をしないからといって、同項による企画業務型裁量労働制の効力発生に影響するものではない。

(D)労働基準法第32条の4に規定するいわゆる1年単位の変形労働時間制を採用する事業場において、その対象となる労働者が対象期間中に退職した場合、当該労働者について、当該労働させた期間を平均し1週間当たり40時間を超えて労働させた場合においては、その超えた時間( 同法第33条又は第36条第1項の規定により延長し、又は休日に労働させた時間を除く。)の労働については、同法第37条の規定の例により割増賃金を支払わなければならないが、これを支払わない場合には、同法第24条違反となる。

(E)フレックスタイム制においては、始業及び終業の時刻を、対象となる労働者の決定にゆだねているところから、フレックスタイム制を採用する事業場においては、使用者は、対象労働者については、各労働者の各日の労働時間の把握を行う必要はない。



■解説

(A)誤り
法41条3号、則23条、昭和63年3月14日基発150号
所轄労働基準監督署長の許可を得るには、宿直手当の1回の額が、「1人1日の平均額の2分の1」ではなく、「1人1日の平均額の3分の1」を下回らないものである必要がある。

(B)誤り
法38条の3、法38条の4、則24条の2の2第1項、則24条の2の3第2項、平成12年1月1日基発1号
専門業務型裁量労働制を採用する場合の労働時間のみなしに関する規定は、則24条の2の2第1項により、また、企画業務型裁量労働制を採用する場合については、則24条の2の3第2項により、法第4章の労働時間に関する規定における労働時間の算定について適用されることになっている。
よって、裁量労働制を採用する場合の労働時間のみなしに関する規定は、法第6章の年少者及び法第6章の2の妊産婦等の労働時間に関する規定における労働時間の算定については適用されないことになる。
つまり、法第6章の年少者及び法第6章の2の妊産婦等に関する労働時間の算定については「みなし労働時間」を採用せず、実労働時間でもって判断するということである。
ちなみに、労働時間のみなしに関する規定が適用される場合であっても、休憩、深夜業、休日に関する規定の適用は排除されないので注意すること。

(C)誤り
法38条の4第1項、平成12年1月1日基発1号
労使委員会の設置、労使委員会における必要事項の決議(5分の4以上の合意)、労使委員会の決議を所轄労働基準監督署長に届けることは、企画業務型裁量労働制を採用するための必要要件である。
よって、労使委員会の決議を所轄労働基準監督署長に届出しない場合は、企画業務型裁量労働制の効力を生じない。

(D)正解
法32条の4の2、平成11年1月29日基発45号
ちなみに「法37条の規定の例により」とは、割増賃金の算定基礎賃金の範囲、割増率、計算方法等がすべて法37条の場合と同じことを意味する。

(E)誤り
法32条の3、昭和63年3月14日基発150号
フレックスタイム制を採用している事業場であっても、使用者は各労働者の各日の労働時間を把握しておく必要がある。

  

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