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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成17年労基-第3問(労働基準法に定める時間外・休日労働)
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■平成17年労基-第3問(労働基準法に定める時間外・休日労働)

労働基準法に定める時間外・休日労働に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)派遣先の事業場において、労働基準法第36条の規定に基づく時間外労働・休日労働に係る労使協定( 以下「36協定」という。)が締結され、これが所轄労働基準監督署長に届け出られている場合においては、当該派遣先の使用者は、当該事業場に派遣されて現に当該使用者の指揮命令の下に働いている派遣労働者を、当該36協定で定める内容に従い、時間外労働させることができる。

(B)事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がないため労働者の過半数を代表する者( 以下「過半数代表者」という。)との間に4月1日から1年間の36協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出て、その定めるところに従い時間外労働及び休日労働を行わせてきた事業場において、この過半数代表者が同年10月1日の人事異動により、労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位に配置換えとなった。
この場合、36協定の労働者側の締結当事者たる過半数代表者は、同法施行規則第6条の2第1項において、「法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと」とされているところから、使用者は、労働者に、合法的に時間外労働及び休日労働を行わせようとするならば、新しく選ばれた過半数代表者との間で、新たに36協定を締結し直さなければならない。

(C)労働基準法第36条第2項の規定に基づき厚生労働大臣が定める「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」においては、36協定において1日を超える一定の期間についての延長することができる時間を定めるに当たっては、 当該一定の期間は、1日を超え3か月以内の期間及び1年間としなければならないこととされていることから、1年についての延長時間を定める36協定については、有効期間は、最も短い場合でも1年間となるが、1日及び1日を超え3か月以内の期間について定められた延長時間の有効期間までもすべて一律に1年間としなければならないものではなく、1日及び1日を超え3か月以内の期間について定められた延長時間の有効期間を1年間についての延長時間の有効期間とは別に、1年未満とすることもできる。

(D)労働基準法第32条の2第1項の規定に基づき、1か月単位の変形労働時間制を採用している事業場において、就業規則で休日振替を規定している場合、ある週における1日の休日を同じ変形期間中の他の週に振り替えたとき、振替えによって労働日が増えた週は週の労働時間が40時間を超えることとなったとしても、当該事業場は1か月単位の変形労働時間制を採用しているところから1か月内の合計の労働時間数に変わりはないので、時間外労働の問題は生じない。

(E)所定労働時間が始業時刻午前8時、終業時刻午後5時(休憩が12時から午後1時までの1時間)である事業場において、労働基準法第41条第2号の監督又は管理の地位にある者が、所定労働時間を超えて深夜に及ぶ労働に従事した場合、午後10時から午前5時までの時間の労働については、同法第37条の規定に従い、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。



■解説

(A)誤り
法36条1項、昭和61年6月6日基発333号、派遣法44条2項
派遣労働者に関する36協定の締結及び届出については、派遣元の事業場において行う必要がある。

(B)誤り
法36条6項
36協定を締結する場合の労働者の過半数代表者の要件は、36協定の成立要件であり、36協定が存続するための要件ではないと解されている。
ようするに、36協定の締結時に労働者の過半数代表者として問題なければ、その後に要件を欠くことになっても36協定の効力には影響はないとされている。
よって問題文の場合は、新たに36協定を締結し直す必要はない。

(C)正解
法36条1項、則16条1項・2項、平成11年3月31日基発169号
時間外労働協定を締結する場合には、「1日」、「1日を超え3か月以内」、「1年」についての延長時間を定める必要がある。
また、時間外労働協定には有効期間についても定める必要がある。ちなみに3区分の有効期間を同じにする必要はない。
よって、「1年」についての延長時間を定める時間外労働協定の有効期間については、最も短い場合でも1年間となるが、「1日及び1日を超え3か月以内」についての延長時間を定める時間外労働協定の有効期間を「1年」についての時間外労働協定の有効期間とは別にして、1年未満の有効期間としても問題はない。

(D)誤り
法32条の2第1項、法35条、法37条、昭和63年3月14日基発150号、平成6年3月31日基発181号
1か月単位の変形労働時間制を採用する場合は、就業規則等に「変形期間の各日、各週の労働時間」を定めておく必要がある。
休日振替の結果、あらかじめ「週40時間を超える定め」を行っていない週に週40時間を超えて労働させることになった場合には、時間外労働となり、超過時間分の割増賃金を支払う必要がある。

(E)誤り
法37条3項、法41条2号
監督又は管理の地位にある者については、時間外労働の問題は生じない。
しかしながら、深夜業に関する規定は除外されていないために、監督又は管理の地位にある者に対しても深夜業に対する割増賃金(2割5分以上の率で計算)は支払う必要がある。

  

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