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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成17年労基-第4問(労働基準法に定める年次有給休暇)
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■平成17年労基-第4問(労働基準法に定める年次有給休暇)

労働基準法に定める年次有給休暇に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)1日の所定労働時間7時間、1週の所定労働日数4日の勤務形態で採用されたパートタイム労働者が、採用後5か月を経過した時点で、週4日の勤務のままで、1日の所定労働時間が8時間に変更になった。この労働者がその雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した場合においては、使用者は、当該労働者に対し、10日の年次有給休暇を付与しなければならない。

(B)1日の所定労働時間4時間、1週の所定労働日数3日の勤務形態で採用されたパートタイム労働者が、その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した場合において、当該6か月間勤務した日の翌日に、週3日勤務のままで1日の所定労働時間数が6時間に変更となった。その場合において、就業規則により年次有給休暇の期間については所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払うこととしている場合においては、年次有給休暇の賃金について、1日当たり4時間分の賃金を支払えば足りる。

(C)労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号に規定する育児休業又は同条第2号に規定する介護休業をした期間及び労働基準法第26条の使用者の責に帰すべき事由により休業した期間並びに産前産後の女性が同法第65条の規定によって休業した期間は、同法第39条第1項及び第2項の規定の適用については、これを出勤したものとみなされる。

(D)労働基準法第39条第6項の規定に基づくいわゆる労使協定による有給休暇を与える時季に関する定めは、免罰的効力を有するに過ぎないので、同条第4項の規定に基づく個々の労働者のいわゆる時季指定権の行使を制約するには、さらに就業規則上の根拠を必要とする。(一部改正)

(E)いわゆる年次有給休暇の計画的付与の対象となる年次有給休暇の日数については、前年度から繰り越された有給休暇日数は含まれないところから、前年度から年次有給休暇日数が3日繰り越され、当年度に新たに12日分の権利が発生した労働者については、当年度に新たに発生した12日分の権利のうち5日を超える部分である7日に限り計画的付与の対象とすることができる。



■解説

(A)正解
法39条3項、則24条の3、則25条、昭和63年3月14日基発150号
年次有給休暇の権利は基準日(問題文の場合だと、雇入れ日から6か月間継続勤務した日)に発生するので、比例付与の対象になるかどうかは、基準日における所定労働日数等によって決まることになる。
よって、問題文の場合は、原則どおり10労働日の年次有給休暇を付与しなければならない。

(B)誤り
法39条7項、平成11年3月31日基発168号
年次有給休暇の賃金については、年次有給休暇取得日におけるその者の所定労働時間に応じた賃金を支払う必要がある。
よって、問題文の場合は、年次有給休暇の賃金について、1日あたり6時間分の賃金を支払う必要がある。

(C)誤り
法39条8項、昭和63年3月14日基発150号
「使用者の責めに帰すべき事由により休業した期間」は、全労働日に含めることはできない。よって出勤したものとみなすことはできない。
その他、全労働日に含めないものとして「休日労働した休日」、「ストライキにより労務の提供のなかった日」がある。

(D)誤り
法39条6項、昭和63年3月14日基発150号
労使協定により、年次有給休暇の計画的付与を行った場合は、労使ともにこの定めに拘束されることになるので、就業規則上の根拠に関係なく、労働者の時季指定権及び使用者の時季変更権は行使できなくなる。

(E)誤り
法39条6項、昭和63年3月14日基発150号
年次有給休暇の計画的付与の対象となる「5日を超える日数」については、前年度からの繰り越し分の日数も含まれる。
よって、問題文の場合は、前年度繰り越し分3日分と当年度分の12日分の計15日分の権利のうち5日を越える部分である10日分が計画的付与の対象となる。

  

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