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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成18年労基-第3問(労働基準法に定める労働時間等)
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■平成18年労基-第3問(労働基準法に定める労働時間等)

労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働基準法第38条の2の規定によれば、労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、原則として所定労働時間労働したものとみなされるが、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされる。この場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間が、当該業務の遂行に通常必要とされる時間とされる。

(B)産前産後休業に関する労働基準法第65条でいう「出産」とは、妊娠4か月以上(1か月は、28日として計算する。)の分娩(生産のみならず死産をも含む。)をいうとされているところから、使用者は、妊娠100日目の女性が分娩した場合については、同条に規定する産後休業を与えなければならない。

(C)使用者は、労働基準法第15条(労働条件の明示)の規定に基づき、労働契約の締結に際し、労働者に対して、「所定労働時間を超える労働の有無」及び「所定労働日以外の日の労働の有無」について、書面の交付により明示しなければならないこととされている。

(D)出張中の休日は、その日に旅行する等の場合であっても、旅行中における物品の監視等別段の指示がある場合のほかは、その日が労働基準法第35条の休日に該当するときであっても、休日労働として取り扱わなくても差し支えないこととされている。

(E)使用者は、物品の販売の事業のうち常時10人未満の労働者を使用するものについては、労働基準法第32条の規定にかかわらず、1週間について44時間、1日について8時間まで労働させることができる。



■解説

(A)正解
法38条の2、昭和63年1月1日基発1号・婦発1号
問題文は正解である。
事業場外労働における労働時間の算定方法は次のとおりおこなうこととされている。
1.原則
労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなされ、労働時間の一部について事業場内で業務に従事した場合には、当該事業場内の労働時間を含めて、所定労働時間労働したものとみなされるものであること。
2.当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合
当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合には、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされ、労働時間の一部について事業場内で業務に従事した場合には、当該事業場内の労働時間と事業場外で従事した業務の遂行に必要とされる時間とを加えた時間労働したものとみなされるものであること。なお、当該業務の遂行に通常必要とされる時間とは、通常の状態でその業務を遂行するために客観的に必要とされる時間であること。
3.労使協定が締結された場合
上記2の当該業務の遂行に通常必要とされる時間については、業務の実態が最もよくわかっている労使間で、その実態を踏まえて協議した上で決めることが適当であるので、労使協定で労働時間を定めた場合には、当該時間を、当該業務の遂行に通常必要とされる時間とすることとしたものであること。
また、当該業務の遂行に通常必要とされる時間は、一般的に、時とともに変化することが考えられるものであり、一定の期間ごとに協定内容を見直すことが適当であるので、当該協定には、有効期間の定めをすることとしたものであること。
なお、労使協定は、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないが、労使協定で定める時間が法定労働時間以下である場合には、届け出る必要がないものであること。

(B)正解
法65条、昭和23年12月23日基発1885号
出産とは妊娠4か月以上(1か月は28日として計算する。したがって4か月以上というのは85日以上のことである。)の分娩とし、生産のみならず死産(人工妊娠中絶は含まれる)も含むとされている。
よって、妊娠100日目の女性が分娩した場合については、産後休業を与えなければならず、問題文は正解となる。

(C)誤り
法15条1項、則5条
使用者は、労働契約の締結に際し、次の労働条件を明示しなければならない。
なお、昇給に関する事項以外は書面の交付が義務付けられている。
1.労働契約の期間に関する事項
2.就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
3.始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
4.賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
よって、「所定労働日以外の日の労働の有無」については、労働条件の明示事項に含まれておらず、問題文は誤りとなる。

(D)正解
法35条、昭和23年3月17日基発461号、昭和33年2月13日基発90号
出張中の休日はその日に旅行する等の場合であっても、旅行中における物品の監視等別段の指示がある場合の外はその日が労働基準法第35条の休日に該当するときであっても、休日労働として取扱わなくて差支えない。
よって、問題文は正解である。

(E)正解
法40条1項、則25条の2第1項
使用者は、法別表第1第8号(物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業)、第10号(映画の製作又は映写、演劇その他興行の事業(映画の製作の事業を除く。))、第13号(病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業)及び第14号(旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業)に掲げる事業のうち常時10人未満の労働者を使用するものについては、法定労働時間の規定にかかわらず、1週間について44時間、1日について8時間まで労働させることができる。
よって、問題文は正解となる。

  

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