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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成18年労基-第4問(労働基準法に定める労働時間等)
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■平成18年労基-第4問(労働基準法に定める労働時間等)

労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)労働基準法第32条の2に規定するいわゆる1か月単位の変形労働時間制については、当該変形期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間の範囲内である限り、使用者は、当該変形期間の途中において、業務の都合によって任意に労働時間を変更することができる。

(B)勤務ダイヤによるいわゆる1か月単位の変形労働時間制を就業規則によって採用する場合に、業務の実態から月ごとに勤務割を作成する必要があるときには、就業規則において各直勤務の始業終業時刻、各直勤務の組合せの考え方、勤務割表の作成手続及びその周知方法等を定めておき、それにしたがって各日ごとの勤務割は、変形期間の開始前までに具体的に特定すればよいこととされている。

(C)使用者は、労働基準法別表第1第4号に掲げる事業において列車、気動車、電車又は航空機に乗務する労働者で予備の勤務に就くものについては、1か月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない限りにおいて、同法第32条の2第1項の規定にかかわらず、1週間について40時間、1日について8時間を超えて労働させることができる。

(D)労働基準法第32条の4第1項に規定するいわゆる1年単位の変形労働時間制を採用する場合において、労使協定により、対象期間を1か月以上の期間ごとに区分することとしたときは、使用者は、当該区分による各期間のうち最初の期間における労働日と当該労働日ごとの労働時間を特定し、当該最初の期間以外の期間における労働日数と総労働時間を定め、当該最初の期間以外の各期間の初日の少なくとも30日前までに、個々の対象労働者の同意を得て、当該労働日数を超えない範囲内において当該各期間における労働日及び当該総労働時間を超えない範囲内において当該各期間における労働日ごとの労働時間を定めなければならない。

(E)満18歳に満たない者については、いわゆる変形労働時間制は適用されないが、労働基準法第60条第3項の規定により、満15歳以上で満18歳に満たない者については、満18歳に達するまでの間(満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの間を除く。)、1週間について48時間、1日10時間を超えない範囲内において、労働基準法第32条の2の規定の例により労働させることができる。



■解説

(A)誤り
法32条の2、昭和63年1月1日基発1号・ 婦発1号、平成9年3月25日基発195号、平成11年3月31日基発168号
1箇月単位の変形労働時間制を採用する場合には、労使協定による定め又は就業規則その他これに準ずるものにより、変形期間における各日、各週の労働時間を具体的に定めることを要し、変形期間を平均し週40時間の範囲内であっても使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更するような制度はこれに該当しない。
よって、「変形期間の途中において、業務の都合によって任意に労働時間を変更することができる」とした問題文は誤りである。
なお、法第89条第1項は就業規則で始業及び終業の時刻を定めることと規定しているので、就業規則においては、各日の労働時間の長さだけではなく、始業及び終業の時刻も定める必要があるとされている。

(B)正解
法32条の2、昭和63年3月14日基発150号
勤務ダイヤによる1か月単位の変形労働時間制を採用する場合、各人ごとに、各日、各週の労働時間を就業規則においてできる限り具体的に特定すべきものであるが、業務の実態から月ごとに勤務割を作成する必要がある場合には、就業規則において各直勤務の始業終業時刻、各直勤務の組合せの考え方、勤務割表の作成手続及びその周知方法等を定めておき、それにしたがって各日ごとの勤務割は、変形期間の開始前までに具体的に特定することで足りるとされている。
よって、問題文は正解である。

(C)誤り
則26条
使用者は、法別表第1第4号(道路、鉄道、軌道、索道、船舶又は航空機による旅客又は貨物の運送の事業)に掲げる事業において列車、気動車又は電車に乗務する労働者で予備の勤務に就くものについては、1箇月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない限りにおいて、労使協定又は就業規則その他これに準ずるものにより法定労働時間を超える週又は日の特定を要することなく、1週間について40時間、1日について8時間を超えて労働させることができることになっている。
しかしながら、列車等の乗務員の予備勤務者の労働時間の特例の対象には「航空機に乗務する労働者」は含まれておらず、問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法32条の4第2項
1年単位の変形労働時間制を採用する場合において、労使協定により、対象期間を1か月以上の期間ごとに区分することとし、当該区分による各期間のうち最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間を定めたときは、当該各期間の初日の少なくとも30日前に、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の同意を得て、当該労働日数を超えない範囲内において当該各期間における労働日及び当該総労働時間を超えない範囲内において当該各期間における労働日ごとの労働時間を定めなければならないとされている。
したがって、最初の期間を除く各期間についての労働日及びその日ごとの労働時間を定める場合は、各期間の初日の30日前までに過半数労働組合又は過半数労働者の代表者の同意を得ることで足り、「個々の対象労働者の同意」を得ることまでは必要とされていないため、問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法60条3項2号
満18歳に満たない者については、変形労働時間制、フレックスタイム制、時間外・休日労働、労働時間及び休憩の特例の規定は適用されないことになっているが、満15歳以上で満18歳に満たない者については、満18歳に達するまでの間(満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの間を除く。)、次により労働させることはできることになっている。
1.1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮する場合において、他の日の労働時間を10時間まで延長すること
2.1週間について48時間、1日について8時間を超えない範囲内において、1か月単位又は1年単位の変形労働時間制の規定の例により労働させること
よって、「1日10時間を超えない範囲内において、労働基準法第32条の2の規定の例により労働させることができる」とした問題文は誤りである。

  

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