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トップページ > 過去問研究室(労働基準法)> 平成18年労基-第7問(労働基準法に定める解雇) | |||||
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労働基準法に定める解雇に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 (A)最高裁判所の判例によると、使用者が労働基準法第20条所定の予告期間をおかず、又は予告手当の支払をしないで労働者に解雇の通知をした場合、その通知は即時解雇としては効力を生じないが、使用者が即時解雇を固執する趣旨でない限り、通知後同条所定の30日の期間を経過するか、又は通知の後に同条所定の予告手当の支払をしたときは、そのいずれかのときから解雇の効力を生ずるものと解すべきである、とされている。 (B)使用者が労働者を解雇しようとする場合においては、労働基準法第20条第1項の規定により、少なくともその30日前にその予告をしなければならないが、その予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。例えば、8月27日をもって労働者を解雇しようとする場合において、8月14日に解雇の予告をしたときは、少なくとも平均賃金の17日分の解雇予告手当を支払わなければならない。 (C)労働基準法第14条第2項の規定に基づく「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」によれば、期間の定めのある労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。)が更新されなかった場合において、労働者が更新しなかった理由について証明書を請求したときは、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。(一部改正) (D)平成16年5月に満60歳の誕生日を迎えたある労働者が、同年8月に3年の期間を定めた労働契約を締結した場合において、本年(平成18年)8月に他の有利な条件の転職先をみつけて退職することを決意した。この場合、当該労働者は、労働基準法第137条の規定により、当該使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。 (E)労働基準法第20条第1項ただし書の事由に係る行政官庁の認定(以下「解雇予告除外認定」という。)は、原則として解雇の意思表示をなす前に受けるべきものではあるが、それは、同項ただし書に該当する事実があるか否かを確認する処分であって、認定されるべき事実がある場合には使用者は有効に即時解雇をなし得るものと解されるので、そのような事実がある場合には、即時解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を得たときは、その解雇の効力は使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生すると解されている。
(A)正解 細谷服装事件(昭和35年3月11日最高裁判決) 労働基準法20条(解雇の予告)違反の解雇の効力が争われた訴訟で、最高裁判所は、「使用者が労働基準法20条所定の予告期間をおかず、または予告手当の支払をしないで労働者に解雇の通知をした場合、その通知は即時解雇としては効力を生じないが、使用者が即時解雇を固執する趣旨でない限り、通知後同条所定の30日の期間を経過するか、または通知の後に同条所定の予告手当の支払をしたときは、そのいずれかのときから解雇の効力を生ずるものと解すべきであって、本件解雇の通知は30日の期間経過と共に解雇の効力を生じる」と判断した。 よって、問題文は正解である。 (B)正解 法20条、民法140条 解雇予告期間の計算は民法の規定により、初日不算入となる。 なので、問題文の場合、8月27日をもって解雇するためには30日前の予告として7月28日に通知する必要がある。(7月29日から8月27日までで30日となる。) 8月14日に解雇予告をする場合には、解雇予告期間は13日(8月15日から8月27日)となり、17日分(7月29日から8月14日まで)の解雇予告手当を支払う必要がある。 よって、問題文は正解となる。 (C)正解 法14条2項、有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成20年1月23日厚労告12号) 使用者は、有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならないことになっており、労働者が更新しないこととする理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。 また、有期労働契約が更新されなかった場合において、使用者は、労働者が更新しなかった理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。 よって、問題文は正解となる。 (D)誤り 法14条1項2号、法附則137条 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第14条第1項各号に規定する労働者を除く。)は、民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができるとされている。 よって、労働契約の期間の上限が5年とされている満60歳以上の労働者(専門的知識等を有する労働者も同様)にはこの規定は適用されず、問題文は誤りとなる。 (E)正解 法20条、昭和63年3月14日基発150号 解雇予告除外認定の処分は、法20条1項但書に該当する事実の有無を確認する処分であって、認定されるべき事実がある場合には使用者は有効に即時解雇をなし得るものと解されるので、即時解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を得た場合は、その解雇の効力は使用者が即時解雇の意思表示をした日に遡って発生するとされている。 よって、問題文は正解である。 |
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