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■平成19年労基-第1問(労働基準法の総則等)

労働基準法の総則等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)いわゆる在籍型出向の出向労働者については、出向元及び出向先の双方とそれぞれ労働契約関係があるので、出向元及び出向先に対しては、それぞれ労働契約関係が存する限度で労働基準法の適用がある。すなわち、出向元、出向先及び出向労働者三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて出向元の使用者又は出向先の使用者が出向労働者について労働基準法における使用者としての責任を負うものである。

(B)労働基準法でいう「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で賃金を支払われる者をいい、法人のいわゆる重役で業務執行権又は代表権を持たない者が、工場長、部長の職にあって賃金を受ける場合は、その限りにおいて同法第9条に規定する労働者である。

(C)会社から給料を受けず、その所属する労働組合より給料を受ける組合専従職員の労働関係については、使用者が当該専従職員に対し在籍のまま労働提供の義務を免除し、労働組合の事務に専従することを認める場合には、労働基準法上当該会社との労働関係は存続するものと解される。

(D)使用者は、労働者が、労働基準法第36条第1項等に規定する労働者の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」という。)であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない。

(E)均等待遇を定めた労働基準法第3条では、労働者の国籍、信条、性別又は社会的身分を理由として賃金、労働時間その他の労働条件について差別的取扱いをすることは禁止されている。



■解説

(A)正解
法10条、昭和61年6月6日基発333号
出向とは、出向元と何らかの労働関係を保ちながら、出向先との間において新たな労働契約関係に基づき相当期間継続的に勤務する形態であり、在籍型出向の出向労働者については、出向元及び出向先の双方とそれぞれ労働契約関係があるので、出向元及び出向先に対しては、それぞれ労働契約関係が存する限度で労働基準法の適用があり、出向元、出向先及び出向労働者三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて出向元の使用者又は出向先の使用者が出向労働者について労働基準法における使用者としての責任を負うものであるとされている。
よって、問題文は正解である。
なお、移籍型出向の出向労働者については、出向先とのみ労働契約関係があるので、出向先についてのみ労働基準法の適用がある。

(B)正解
法9条、昭和23年3月17日基発461号
労働基準法で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者と定義されている。
法人、団体、組合等の代表者又は執行機関たる者の如く事業主体との関係に於て使用従属の関係に立たぬ者は労働者でない(平成11年3月31日基発168号)が、法人のいわゆる重役で業務執行権又は代表権を持たない者が、工場長、部長の職にあって賃金を受ける場合は、その限りにおいて労働基準法上の労働者であると解釈されている。
よって、問題文は正解である。

(C)正解
法9条、昭和24年6月13日基収1073号、昭和33年2月13日基発90号、昭和63年3月14日基発150号、平成11年3月31日基発168号
労働組合のいわゆる専従職員は、使用者が在籍のまま労働提供の義務を免除し、組合事務に専従することを使用者が認める場合には労働基準法上の労働関係は存続するとされている。
よって、問題文は正解である。

(D)正解
則6条の2第3項
使用者は、労働者が過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない。
よって、問題文は正解である。

(E)誤り
法3条
法3条の均等待遇の規定では、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。 」としているが、この規定には、「性別」を理由とする差別的取扱いの禁止は定めていない。
よって、問題文は誤りとなる。
なお、「性別」を理由した賃金に関する差別的取扱いの禁止は法4条(男女同一賃金の原則)に規定されており、その他の「性別」を理由とした差別的取扱いの禁止は「男女雇用機会均等法」に規定されている。

  

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