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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成19年労基-第6問(労働基準法に定める年次有給休暇)
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■平成19年労基-第6問(労働基準法に定める年次有給休暇)

労働基準法に定める年次有給休暇に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)使用者は、その事業場に、同時に採用され、6か月間継続勤務し、労働基準法第39条所定の要件を満たした週の所定労働時間20時間(勤務形態は1日4時間、週5日勤務)の労働者と週の所定労働時間30時間(勤務形態は1日10時間、週3日勤務)の労働者の2人の労働者がいる場合、両者には同じ日数の年次有給休暇を付与しなければならない。

(B)労働基準法第39条の年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは、労働者の自由であるが、ある事業場の労働者が、同じ企業に属する他の事業場における争議行為に年次有給休暇を届け出て参加する場合は、年次有給休暇に名をかりた同盟罷業にほかならないから、それは年次有給休暇権の行使ではない。

(C)年次有給休暇の取得の要件である出勤率の算定においては、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間、育児介護休業法に規定する育児休業又は介護休業をした期間のほか、産前産後の女性が労働基準法第65条の規定によって休業した期間は、出勤したものとみなされる。

(D)年次有給休暇の斉一的取扱い(原則として全労働者につき一律の基準日を定めて年次有給休暇を与える取扱いをいう。)を行っている事業場において、毎年1月1日を基準日として年次有給休暇を付与している場合に、10月1日入社労働者に翌年の1月1日の基準日に労働基準法所定の年次有給休暇を付与する場合には、年次有給休暇の付与要件である「全労働日の8割以上出勤」の算定に当たっては、10月1日から12月31日までの期間については、その期間における出勤の実績により計算し、1月1日から3月31日までの期間については、全期間出勤したものとみなして計算しなければならない。

(E)年次有給休暇の付与要件である「全労働日の8割以上出勤」における全労働日の日数は、就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日をいう。したがって、所定の休日に労働させたとしてもその日は全労働日に含まれない。なお、使用者の責めに帰すべき事由による休業の日及び正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日については、ここでいう全労働日に含まれない。



■解説

(A)正解
法39条3項、則24条の3
所定労働日数が少ない労働者については、年次有給休暇の比例付与の対象となるが、その要件は次のとおりである。(要件を満たしていない場合は通常の有給休暇を付与しなければならない。)
「週所定労働日数が4日以下(又は年間所定労働日数が216日以下)であること、かつ、労働時間が、1週間につき30時間未満であること。」
問題文の労働者の場合、1人については、週の所定労働時間は30時間未満(20時間)であるが、週の所定労働日数が5日であるため比例付与の対象にならず、また、もう1人については、週の所定労働日数が4日以下(3日)であるが、週の所定労働時間は30時間であるため比例付与の対象とならない。
よって、問題文の場合、両者とも通常の年次有給休暇(10労働日)を与える必要があり、正しい内容となる。

(B)誤り
法39条5項、昭和48年3月6日基発110号
年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは労働者の自由であるが、労働者がその所属の事業場においてその業務の正常な運営の阻害を目的として一斉に休暇届を提出して職場を放棄する場合は、年次有給休暇に名をかりた同盟罷業にほかならないから、それは年次有給休暇権の行使ではない。
ただ、このようにいえるのは、当該労働者の所属する事業場で休暇闘争が行われた場合のことであって、他の事業場における争議行為に休暇をとって参加するような場合は、それを年次有給休暇の行使でないとはいえない。
よって、「同じ企業に属する他の事業場における争議行為に年次有給休暇を届け出て参加する場合は、年次有給休暇に名をかりた同盟罷業にほかならないから、それは年次有給休暇権の行使ではない。」とした問題文は誤りである。

(C)正解
法39条8項、昭和22年9月13日発基17号
年次有給休暇の取得の要件である出勤率の算定において次の期間は出勤したものとみなされることとなっている。
(1)労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
(2)育児介護休業法に規定する育児休業又は介護休業をした期間
(3)産前産後の休業期間
(4)年次有給休暇としての休業日数
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法39条1項、平成6年1月4日基発1号
斉一的取扱い(原則として全労働者につき一律の基準日を定めて年次有給休暇を与える取扱いをいう。)や分割付与(初年度において法定の年次有給休暇の付与日数を一括して与えるのではなく、その日数の一部を法定の基準日以前に付与することをいう。)により法定の基準日以前に付与する場合の年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすものとされている。
よって、問題文の「1月1日から3月31日までの期間(短縮された期間)」については、全期間出勤したものとみなして計算することになる。

(E)正解
法39条1項、昭和33年2月13日基発90号、昭和63年3月14日基発150号
年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の日数は就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日をいい、各労働者の職種が異なること等により異なることもあり得る。したがって、所定の休日に労働させた場合には、その日は、全労働日に含まれないものである。
なお、次の場合については全労働日に全労働日に含まれない。
(1)使用者の責めに帰すべき事由による休業の日
(2)正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日
よって、問題文は正解となる。

  

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