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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成20年労基-第1問(労働基準法上の総則及び労働契約)
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■平成20年労基-第1問(労働基準法上の総則及び労働契約)

労働基準法上の総則及び労働契約に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

(B)使用者は、労働契約の不履行について、労働者に対し損害賠償を請求してはならない。

(C)何人も、法律に基づいて許される場合のほか、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。

(D)使用者は、前借金と賃金とを相殺してはならない。

(E)使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的な取扱いをしてはならない。



■解説

(A)正解
法5条
強制労働の禁止の規定であり、問題文は正解となる。
なお、不当に拘束する手段には、法16条(賠償予定の禁止)、法17条(前借金相殺の禁止)、法18条(強制貯金)等も該当するが、就業規則に規定する懲戒罰中社会通念上認められるものは含まれない。(昭和22年9月13日発基17号、昭和23年3月2日基発381号、昭和63年3月14日基発150号)
また、意思に反して労働を強制するとは、意識ある意思を抑圧し労働することを強要することであり、詐欺の手段によるものは必ずしもそれ自体としては含まれない。(昭和23年3月2日基発381号)

(B)誤り
法16条、昭和22年9月13日発基17号
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならないが、使用者が実際に損害を受けた場合、損害賠償請求することは認められている。
よって、「労働者に対し損害賠償を請求してはならない」とした問題文は誤りとなる。

(C)正解
法6条
中間搾取の排除の規定であり、問題文は正解となる。
なお、違反行為主体は、法の適用を受ける事業主に限らず、個人、団体又は公人、私人を問わない。(昭和23年3月2日基発381号)
また、「利益」とは、使用者、労働者又は第三者より受ける手数料、報償金、金銭以外の財物等如何なる名称、有形無形たるとを問わない。(昭和23年3月2日基発381号)

(D)正解
法17条
前借金相殺の禁止の規定であり、問題文は正解となる。
なお、労働者が使用者から人的信用に基づいて受ける金融、弁済期の繰上げ等で明らかに身分的拘束を伴わないものは労働することを条件とする債権には含まれない。(昭和22年9月13日発基17号、昭和33年2月13日基発90号)
また、前借金でも貸付の原因、期間、金額、金利の有無等を総合的に判断して労働することが条件となっていないことが極めて明白な場合には、本条の規定は適用されない。(昭和23年10月15日基発1510号、昭和23年10月23日基収3633号、昭和63年3月14日基発150号)

(E)正解
法4条
男女同一賃金の原則の規定であり、問題文は正解となる。
なお、就業規則に差別待遇の規定があるのみで、差別の事実がないときは違反とはならないが、その就業規則の規定は無効となる。(昭和23年12月25日基収4281号、平成9年9月25日基発648号)
また、職務、能率、技能、年齢、勤続年数等がすべて同一である場合、男性はすべて月給制、女性はすべて日給制とし、労働日数の同じ女性の賃金を男性より少なくすることは違法となる。(昭和22年9月13日発基17号、昭和25年11月22日婦発311号、昭和63年3月14日基発150号・婦発47号、平成9年9月25日基発648号)

  

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