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■平成20年労基-第3問(労働基準法に定める賃金等)

労働基準法に定める賃金等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)使用者は、賃金を通貨で支払わなければならないが、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、通貨以外のもので支払うことができる。

(B)使用者は、賃金を、銀行に対する労働者の預金への振込みによって支払うためには、当該労働者の同意を得なければならない。

(C)使用者は、1か月を超える期間の出勤成績によって支給される精勤手当について、毎月1回以上支払わなければならない。

(D)賃金は、直接労働者に、支払わなければならないが、未成年者の親権者又は後見人は、その賃金を代わって受け取ることができる。

(E)使用者は、賃金の全額を支払わなければならないが、労働協約に別段の定めがある場合に限って、賃金の一部を控除して支払うことができる。



■解説

(A)誤り
法24条1項
通貨払いの原則の例外として認められているのは、法令による別段の定めがある場合(現在のところ規定なし)、労働協約に別段の定めがある場合、賃金の口座振込みによる場合(一定の条件を満たす必要あり)、退職金について金融機関支払小切手等で支払する場合に限られている。
よって、労使協定により通貨以外の方法で支払うことは認められておらず問題文は誤りとなる。
なお、賃金全額払いの原則の例外として労使協定を締結した場合に賃金の一部を控除して支払うことは認められている。

(B)正解
法24条1項、則7条の2第1項、昭和63年1月1日基発1号・婦発1号
賃金を口座への振込みによって支払う場合には、労働者の同意を得ること、本人名義の預貯金口座、証券総合口座に振込むこと、振り込まれた賃金の全額が所定の賃金支払日に払い出し得るように行われることが要件となっている。
なお、「同意」については、労働者の意思に基づくものである限り、その形式は問わないものとされている。

(C)誤り
法24条2項、則8条
臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるものについては、賃金の毎月1回以上一定期日払いの原則の例外とされている。
そして、「準ずるもの」として、1箇月を超える期間の出勤成績によって支給される精勤手当、1箇月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される勤続手当、1箇月を超える期間にわたる事由によって算定される奨励加給又は能率手当が定められている。
よって、問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法24条1項、法59条、
賃金は直接労働者に支払わなければならない。未成年者であっても独立して賃金を請求することができ、親権者又は後見人は、未成年者の賃金を代って受け取ることはできない。
よって、問題文は誤りとなる。
なお、使者に対して賃金を支払うことは差し支えないとされている。(昭和63年3月14日基発150号)

(E)誤り
法24条1項
賃金全額払いの原則の例外として賃金の一部を控除して支払うことが認められているのは、法令に別段の定めがある場合、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合である。
よって、「労働協約に別段の定めがある場合に限って」とした問題文は誤りとなる。

  

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